406.遺跡に入ってみた①
「・・・罠もあるとか聞いてねぇぞ・・・」
周囲が洞窟のようなところから、人工的な遺跡内部へと入ったタイミングで満身創痍のなまけものが床に転がる。やはりあの洞窟からの侵入は想定されていたようで、道中トラップだらけだった。
先頭を走っていたなまけものはことごとく引っ掛かり、半ば死にかけだ。
そしてなまけものが引っかからなかった罠にはきっちり僕が引っかかっている。もちろん僕も死にかけだ。
「回復かんりょ~!」
「ココアありがとう」
「HPが0近くなった時は死ぬかと思ったぜ・・・」
HPを全回復したなまけものはやれやれと首を振りつつ起き上がる。浸水はこの遺跡に入る直前の天井が落ちてくる罠で道が塞がれたのでこれ以上入ってくることは無さそう。安心はできないがさっきよりはのんびりと攻略できそうだ。
現在の場所は遺跡の直線通路のようなところ。片側は大きなクラゲと人を足したような像が通路左右に建っており、もう方がは何もない。像が遺跡来訪者を出迎えるよう配置されているように見えるので、像のある方が奥に行けると思う。
「ちょっと奥見てくる」
なのでまずは像の無い側の奥を確認する。少し登ったところにさっき潜水艇を下りたところと同じような水面のある場所に到達。水面の中、さらに奥の方へ進める穴が見えるので、防錆設備が守っているあの入口から入るとここにたどり着くのだろう。そう結論付け引き返してみんなと合流。
「やっぱり入口だった」
「だろうな」
「分かってたなら確認するだけ無駄じゃない?」
「これはもう癖のようなものだから。分かってても・・・ね、確認しないと落ち着かないから」
「それでこっちが行き止まりだろうと行くと正規ルートだったりとかな」
「あるあるだね。で、行き過ぎて戻れなくなると」
「それな!」
そんなことを離しながら、像のある方へとみんなで移動する。近くでみるとかなり大きい。見上げないといけないくらいだ。
「罠・・・は無いわよね? 追ってきたりしないわよね?」
「コレに追われるのはちょっと・・・」
地下世界のことを思い出してか、ユウさんが少し怯え気味に言う。僕も流石にそれは無いと願いたい。こんな大きい像。踏まれただけですぐ死にそうだ。しかしなまけものが像の周辺を調べて首を横に振った。
「それはなさそうだ。見てみろ、像と壁がくっついてる。コイツが動くとなるとこの辺全部崩れるぞ」
「「はぁ・・・良かった」」
なら安心して通れそうだ。
「というかお前らビビりすぎだろ」
「急にくる罠はわね、心臓に悪いのよ」
「そういうけどたまに即死系混じってるしさー」
滅多に無いし普段なら気にしないけど、こういう来るのが面倒な場所だといやだ。来る気がなくなる。
「ははは、じゃあまぁ食らったらのんびり待っててくれたらいいぞ。後は俺らに任せておけ。な? 俺の力でサクッと終わらせてやんよ」
「・・・ならそうさせてもらおうかな。美味しいものでも食べて待ってるわ」
「それ、あたしも追加で!」
「私もそっちがいいかな。なまけ、よろしくね」
「へ? 俺1人で?」
「いけるでしょ? それだけ大口叩くのだから」
「いや、それは・・・」
流石のなまけものも焦る。ユウさんはそれを見て小さく笑う。
「冗談よ。さっさと行きましょ」
「何だよ一瞬マジかと思ったぞ」
「あたしは冗談じゃないよ」
「冗談にしとけよ!」
なまけもののツッコミにみんなで笑う。
しかしその笑い声は直後の大きな音でかき消された。
次回更新は3日後の予定です