403.潜水艇に乗ってみた②
なまけものの運転で海底を進む。海底といえば過去に訳がわからない死に方をしたので若干不安だが今のところは問題なさそうだ。少なくともあれはエリア外に出たらの話なので今回は大丈夫だと思うが、やはり不安は消えない。
そして潜水艇は少し狭い。僕が大きいのもあるが、4人も乗るとかなり狭く感じる。ココアがコアだけの状態になってくれているから多少スペースがあるものの、パーティー全員僕サイズだと多分2人が限界だろう。
「次からは分けて乗りましょう」
「だな。狭いわ、ポンタの所為でな」
「言わなくても分かってる」
小さくなる術が欲しいね。というか小さくなりたいね。そうすればもっと小さいところも入れるし、みんなに乗られることも無くなる。
かといってミニマム化優先で進化するのはおかしいしなぁ・・・。
「ところでなまけ。そういえばあれでよく生きてたわね」
「ん? ・・・ああ、あれな。あれお前が死んだら全員消えたんだわ。だから助かった」
「あ、そういう仕組みだったのあれ」
何とかココアから潜水艇を死守したなまけものからあの後の状況を聞く。どうやらあの複製は本人が消えたら消えるようで、ユウさんが死んだと同時に消えたらしい。レンブラントが死んだら戦闘が終わるという点でも納得の仕様だ。
・・・ただ今回写したのがユウさんだった為、レンブラントが死んでも複製が残り続けたというわけだ。
「それで、そっちは何で死んだんだよ?」
「守備騎士に囲まれた」
「潜水艇取ろうとしたら、レンブラントと戦ってた人たちにやられた~」
「・・・ココア。お前横取りしようとしただろ」
「してない! 乗って機を伺って(窺って)たの!」
「というかココアが潜水艇欲しさに残らなければ多分僕ら逃げられたんだけど・・・」
「知らな~い」
まぁたらればだけど。出れないように完全封鎖されていたアレを考えるとココアが居ても厳しかったかもしれないか。
「まぁ状況は分かったよ。となるとお前らは俺が1人になった後向かった方と逆を行ったんだな。こっちは誰も居なかったし潜水艇もあったしな」
「そうなるね。というか守備騎士居なかった?」
「通路には全然。誰も居なくて寂しいくらいだった」
「レンブラントは?」
「全体魔法あれば余裕。増えてもすぐ死ぬし、攻撃手段あの火を噴く銃だけだったから水で押し切ったわ」
「レーザーじゃないの?」
「? いや違ったぞ」
もしかして場所によって持ってる武器が違うのかな?
「場所によって違うのなら運がよかーー」
「あ、なまけ。あそこ見て!」
「んん?」
なまけものの言葉を遮るようにユウさんがある方向を指差す。そこには何か穴のようなものが見える。見た目からしてかなり大きいのでこの潜水艇でも余裕で入れそうだ。
「お、入り口か?」
「行ってみて」
「言われずとも当然行くぜ!」
あの室内と同じ技術であろう船室は、後方のドア以外の全方位の壁が透けて外が見えるので周囲が見やすくて助かる。
奇麗な海中は勿論、光で煌めく海面や、ごつごつした岩や、沈んだ人工物がある海底、よく分からない人のような黒い影などいろいろ見える。
「・・・あれ何?」
「敵な気がする」
「同感だな。剣っぽいの抜いてるしなぁ」
「戦う~?」
「無理だろ、ドア開けた瞬間海水入ってきて自滅だわ。逃げっぞ」
なまけものの当然の判断で戦闘を回避しつつ、僕らはさらに深い海底へと進んだ。
次回更新は3日後の予定です