402.潜水艇に乗ってみた①
「私を置いていくとかどういう事?」
「どういう事〜?」
「ココアは自業自得だよね?」
結局守備騎士から逃げきれず、脱出失敗し死に戻った僕を待ち構えていたのは明らかに不機嫌なユウさんとその威を借りるココア。取り敢えずココアには黙っててもらう。
「でもあの場に居ても争いの火種にしかなりそうになかったしさ。何で僕が取り合いになるのか知らないけど」
「うっ・・・。それはポンタが・・・乗りやすいし・・・、一緒に・・・」
「ユウちゃんポンタ大すーー」
「ストーーーップ!!」
ごにょごにょ言うユウさんはココアの言葉を遮って遠くへ遠くへ放り投げる。きらりと星になるココア。
「えと・・・ユウさん?」
「何でもないわ。とにかくこの話は終わり!」
「いやそっちが始めた話・・・」
「ん?」
「何でもありません」
睨まれたのでこれ以上言うのはやめた。聞いたらココアと同じ道をたどりそうだしね。
それにこちらとしても終わってくれるなら助かる。
「ところでなまけは?」
「知らないわ。結構粘ってたのは覚えてるけど」
ユウさんが死ぬ前まではまだ複数のユウさん相手に優勢だったらしい。しかし以降一切連絡はない。死んだ情報も来てないので生きているのは確実だろう。
「ポンタ、待つ?」
「待たなくてもいいんじゃないかな。死んだのは気付いているだろうし、そのうち連絡してくると思う。で、いいかな?」
「いいんじゃない、なまけだし。それで次どうするの?」
「潜水艇手に入れたし、海の中の隠しダンジョンでも行く予定。場所はココアに聞かないと分からないけど・・・」
「回収してくるわ」
「わ、・・・宜しく」
てっきり「行ってきて」と言われると思い、反射的に「分かった」と言いそうになる。しかしユウさんは自身で行くと言いココアを投げた方角へと走っていった。「念押し」がどうとか言っていたけどまぁ任せよう。こちらは操縦練習がてら潜水艇でも乗って遊んで待ってることにする。
「よしっ、この辺で遊ぶか。・・・ん?」
襲われても困るので周囲にプレイヤーや冒険者がいないのを確認して潜水艇を出現しようとしたら海が大きく盛り上がる。何事かと思って飛び退くと、盛り上がった中から僕が持っている潜水艇と同じ物が現れた。さらに中からなまけものが現れる。
「よーーっすっ!」
「お、おぅ・・・」
あまりのご機嫌ぶりにちょっと引く。ドヤ顔で潜水艇に乗るなまけものが「どーよ?」と潜水艇に関して聞いてほしそうだったので聞いた。
「何で持ってるのさ? それ」
「ふっふっふ。手に入れた。俺一人で手に入れた!」
強調するな。
更なるドヤ顔にさっき攻撃してきた苛立ちが再燃する。
「あっそう、良かったな。じゃあ壊そうか」
「いやおかしいだろ!? ちょぉ! マジか!!」
『溶解液』吐いたがなまけものの決死のガードで防がれた。
「ならもう一発」
「マジでなんで壊そうとするんだよ!?」
「このチームに潜水艇は二つと要らない」
「あってもいいだろ! せっかく手に入れたんだぞ!! というかもうその辺で良いだろ」
「・・・そうだね」
と言いつつ『火炎』を放つも、なまけものの体を張ったガードで再度防がれた。
「まぁこれくらいでさっき攻撃したのは許しておくよ」
「・・・テンメェ、会社で覚えとけよ」
「それよか早く隠さなくていいのかそれ。ココアに見つかったら取られるぞ」
「! おっと、そうだな。それはまずーー」
しかし潜水艇を消そうと振り向いたなまけものの目の前にタンコブを作ったココアの姿が。
ココアはニッコリ笑顔で、
「なまけ、ありがと~」
「絶対やらねぇからな!!!」
次回更新は3日後の予定です