400. 逃げてみた②
「んっ?」
祈るだけ無駄だった。
なんかさっき見た気が大いにするプレイヤー達が目の前で守備騎士達を倒している。そしてドタドタ走っていた僕はすぐに見つかり目と目が合う。
相手は他の区になるであろう似たような階段の登口のところで降りてきていた守備騎士達を倒し切ったところだったようだ。周囲に倒れた守備騎士達が順番に消えていっている。
「折角後ろから来てた守備騎士撒いたってのに!」
「ポンタは運がないねぇ」
「それは自覚してる」
だが完全に無いわけではない。まだ彼らが見逃してくれる可能せーー
「あれさっき邪魔してた奴らじゃね?」
「消すか」
「だな」
無かった。
だから逃げた。
階段と別の区へ行く道は塞がれている。なので扉のあるあの部屋へと逃げた。行き止まりなのだが関係ない。僕の後ろから追ってくる守備騎士達を相手に押しつけて、彼が戦っている間に逃げよう。
入ってすぐ扉を閉め、扉にもたれる形で開かないように塞ぐ。直後後ろからドアに強い衝撃が、
「戦わないの?」
「数で勝てん」
呑気なココアがそう聞いてくる。僕は首を振って無理だと伝える。
相手の見た目的にもほぼ同等以上のステータスがありそうだし、ココアは攻撃に向かないので勝つには実質一人で相手全員のHPを削りきらないといけない。流石にSG的に無理だ。
「じゃあボスは勝てるの?」
「・・・へ?」
確かにボス部屋へと逃げ込んだが、ボスはいない筈。少なくともさっきの彼らが倒していると思ってた。しかし僕らの目の前、潜水艇の前にレンブラントが立っている。手に持っている銃の形が若干違うがキモさはこちらも一緒だ。
「えと・・・ということはつまり・・・」
直後の行動を予測する。
強制的にレンブラントとバトル→死にたくないので勝つしかない→潜水艇が手に入る→彼らは手に入らなくなり怒る→徹底的に追い回される→消される or 通報される or 粘着される?
「あ、終わる」
レンブラントと戦っても良くない未来しか見えない。
僕はすぐさま扉を開けた。
「どあぁ!?」
「あ、ごめん」
ドアへ突進していたらしい彼らが部屋へと飛び込んできた。どうやら急に開けたのがまずかったらしく、1人がバランスを崩してレンブラントの前へと転がる。
他の仲間のプレイヤーも次々に部屋へと入ってきて僕を取り囲んだ。どうやら逃げようとしてもダメだったか。
相手は何も言わずにすぐに攻撃してきた。『蜃気楼』はSGを温存したいので『縮地』で避ける。そのままレンブラントの後ろにあった潜水艇の上へと移動。
「避けるなよ!」
「おっと、コレが壊れてもいいのか? 攻撃したらすぐ壊れるよ」
そして潜水艇を盾にする。僕は壊れても構わないからね。
「ポンタ最低!」
「え? 真っ先に身内から言われるの?」
そう言われてもこっちは死なないように必死なんだけど!?
逃げしてくれるなら何もせず出ていくのに!
「マジで死にたいらしい」
「マジで最低だな」
「こっちはそれ手に入れるためにずっと頑張ってんだぞ!」
「そーだそーだっ。それあたしの!」
「いやいやっ! そっちが何もしなければこっちもこんなことしないわ! あとココアはちょっと黙って」
大体僕が何したのさ?
やらかしたのはココアとなまけものじゃん!
『おやおや・・・、どうでもいいですがここで暴れないで貰えーー』
「うっせぇ、邪魔すんな!」
「あっ・・・」
ボスなのに蚊帳の外のレンブラントが割り込んできた。しかし相手の1人が何やらスキルで吹き飛ばす。相変わらずの弱ステータスなのか、一気にHPが2割ほどまで減った。
あのスキル・・・喰らうとこっちも一気にヤバそうな威力ある。しかしそのスキルのせいでヤバい状態になった。
次回更新は3日後の予定です