398.なまけものが襲われてみた
「ユウさん達、可能な限り飛んで回避」
『『『分かったわ』』』
僕は『縮地』で真上に回避しつつ指示を飛ばす。
僕の指示と同時にユウさんズが跳ぶ。流石に全員は無理だったが、数名は跳躍でなまけものの攻撃を回避。そのままなまけものを飛び越えて水が来ていない安全地帯へと着地した。波に呑み込まれたユウさんズは、水に弱いせいもありあっさり消失する。
このままなまけものに全部消してもらうのが一番早く確実で、楽に終わるが・・・。
『好きにやっていいの?』
「お好きにどうぞ」
乗ってる偽ユウさんがそんなことを言ってくるのでお任せすることにした。正直に言うと面倒になったので勝手にやっててもらおう。
「で? 何で乗ってるの?」
『あら? いいでしょ、いつものことなんだから』
背中には何故か跳ばずに乗っていたの偽ユウさんが1人居る。
どうやらこの偽ユウさんは僕が避けると思って跳ばなかったのか?
『ふふっ、やはりここは私の場所ね』
「・・・・・」
どうやらただ僕の背中に乗る機会を窺っていただけだったようだ。まぁいいけど。
そのまま自然落下で着地しなまけものらと対峙する。
『いくわよポンタ』
「え? あ、僕も?」
やり返すつもりはなかったのだが、何時の間にやら偽ユウさん側になってしまっていた。
出来れば戦闘は避けたい。こっち見てる本物のユウさんがものすごく怖いからね。しかしそんなこと言うと乗ってる偽ユウさんに斬られそうだ。
「ちょっとポンタ。何偽者と意気投合してるの!?」
『ポンタは私たちの見方(味方)よ! 敵は黙ったら?』
「はぁ!? 敵はそっちでしょうが!」
『ポンタ攻撃した時点でそっちが敵でしょうが』
斬りかかるユウさんと僕から跳び応戦する偽ユウさん。近くに居るだけで怖いのでそそくさと距離を取る。
はぁ・・・やっぱり面倒臭い。
どうするかなと悩んでいると、ユウさんの戦闘を見て今更ながら状況が分からなくなってどうしようかと顔を泳がせているなまけものと目が合う。
「なぁ? 今更だが何この状況? 何でユウがこんな馬鹿みたいに居るんだよ。HPバーも敵表示だし」
「ほんと今更だよ・・・。簡単に言うと敵のスキルでユウさんが増えた。けどこちらへの敵意は今のところないっぽい。まぁなまけはもう手遅れだと思うけどね」
さっき要らないこと言ってたよね。聞き漏らしてたらセーフだけど周囲のユウさんズ的にはそう見えない。
しかしなまけものは周囲の様子など気にせず、
「何でだよ?」
「だって性格もユウさんと同じだし」
「・・・待て。じゃあ何? これ全員あの暴れん坊と同じなのか?」
流石なまけもの、さらに墓穴を掘った。
これはもう助からないな。いつもなら仲間内の攻撃はノーダメージだが今回はそうは行かない。
なまけものもそれは分かっているだろうに・・・
「馬鹿だねぇ・・・」
「だね。というか避難早いねココア」
「だって死ぬのやだし」
「なら僕からも離れておいた方がいいんじゃない?」
「・・・確かに!」
さっきの偽ユウさんの言動を見る限り僕にくっついているだけで琴線に触れるかもしれない。ココアもそれに気付いたのか、指摘するとすぐさま安全地帯へと逃げる。
そしてなまけものもようやく状況が飲みこめてきたようだ。
「・・・なぁ? 俺は助からないのか?」
「そうだな」
「さっきまであんなに頑張ったのにか?」
「それは知らん」
「頑張ったのほとんどあたしー!!」
「俺も頑張ってただろ!? ポンタ!」
「知らんわ。何で攻撃してきた奴助けないといけないんだ?」
手で全首をプイッと他所へ向けて助けないとアピール。なまけものはすぐにそばのココアへと切り替える。
「ココア!! ココアヘルプ! ヘルゥプ!!」
「知らなーい」
しかし真似してプイっと顔をそむけるココア。直後ユウさんズがなまけものへと襲い掛かった。
次回更新は3日後の予定です