396.レンブラントと戦闘してみた⑤
すみません。昨日投稿ミスしていました
「冗談やめてよね!!」
ユウさんが咄嗟に魔鏡を持ったレンブラントの左手を手首のあたりで斬り飛ばす。魔境は握りしめた手と共にユウさんの足下へ落ちた。
『ぐぅおおおおおお!?』
「ユウさんナイス!」
「また増えるとか冗談じゃないわ! いい加減しなさ・・・い?」
そしてその魔境をユウさんが砕こうとして剣を止めた。「どうかした?」と聞く前にユウさんが飛び退いて僕の背中に乗る。ユウさんの顔を見ると両手を顔の前に合わせられた。
「ごめん・・・やっちゃったぁ・・・」
「? 何が?」
「・・・あれ」
「ん? ・・・・・マジで?」
ユウさんが目を覆いつつ指差した方向を向くと、そこには30人近いユウさんの姿がズラリ。どうやら魔境は写ったユウさんの分身を大量に生み出したらしい。あの魔境は写したものの分身を作るようで、そこに敵味方は関係なかったようだ。
しかし生まれた分身は敵になるようで、大量のユウさんの頭の上にはHPバーがズラリ。
全員が同じタイミングで剣を抜く光景を見て諦めた。
「これは・・・無理かなぁ・・・」
「やり直しね。なまけたちにも連絡しなきゃ」
しかし諦めた僕らに対しユウさんズは予想外の行動に出る。
あっちも予想外だったユウさん増殖に戸惑い、ユウさんズから距離をとっていたレンブラントへ一斉に襲いかかったのだ。
『な、何故わた、ぐぁ!!?』
「「は?」」
当然それも予想だにしていないレンブラントはバリアも張れずにダメージを受ける。ちゃんとダメージがはいるところを見るにユウさんズは第三勢力といったところか。
そのユウさんズは、レンブラントを囲って蹴り合い、剣でタコ殴りにし、最終的には吹き飛ばして部屋の隅へと追いやる暴挙を行っている。そこに微塵も優しさが感じられない。寧ろ憎悪ばかりだ。
そして明らかにオーバーダメージを受けたレンブラントは死なずに部屋の隅で動かなくなった。今なら確実に倒せそうだ。ユウさんズが退いたら『スケイルショット』でも撃ち込もう。どうやらユウさんズでは倒せないみたいだし。
『『『いぇーい』』』
そしてやり切ったと言わんばかりにハイタッチ。
「何これ?」
「さぁ? でもレンブラントがボコボコにされるのは見ていて悪い気はしないわね。私が参加できなかったのが残念だけど」
数分後ユウさんズがスッキリした様子でレンブラントから離れる。そして再度こちらを向いて剣を構えた。
何なのだろう? 敵なんだろうけど、どうしたらいいのか分からない。
攻撃しても良いのだろうか? 攻撃してこないのなら下手に刺激しない方がいいのか?
悩んでいるとユウさんズの1人が剣を前へ突き出す。切っ先は僕に乗っているユウさんを指していた。
決闘でもしたいのか?
「何?」
『そこ、私の場所なんだけど何で乗ってるのかしら?』
違った。
今度は意味の分からないことを言い出した。
「ここは私の場所よ。当然じゃない」
「いや違うけど?」
『何言ってるの? 私の場所よ!』
『違うわ! 私のよ!』
『はぁ? ポンタは私のよ!!』
「・・・誰のでもないんだけど。ねぇ? 聞いてる?」
最初の1人を皮切りにその場にいた全ユウさんが主張を始めた。当然僕の意見など簡単にかき消される、というよりも聞いてもらえない。
しかし何となく分かってきた。増えた彼女らの考え方もユウさんと同じだ。
あの魔鏡は姿やステータスだけでなく、性格も写したものと同じになるようだ。レンブラントの時は気付かなかったが、目の前のユウさんズの行動を見る限りそうとしか思えない。レンブラントを殴ったもの、レンブラントにユウさんがイライラしていたからであり、今の言葉も普段のユウさんがなまけものによく言う言葉だ。
つまり・・・性格も含めたユウさんが増えただけ、ということか。
え? 1人でも気を使うことあるのにこの人数?
「・・・面倒くさっ」
「何か言ったかしら?」
「何も・・・」
次回更新は2日後の予定です