389. ネツィアの街へ入ってみた②
「行くぞココア!」
「嫌だけど! あたしもポンタと一緒に行く!!」
「こっちだよ! 諦めろ!」
塔の中に入るやいないや、なまけものはココアを持って僕から降りる。
これも作戦通り、なまけものとココアは足止め係だからだ。
「じゃあポンタ! あと任せたぞ!!」
「そっちも任せたぞ!」
僕は振り向きもせずそのまま奥へと進む。内部はすごく広いが、天井からぶら下がっている照明が邪魔で飛ぶことは難しい。仕方ないので走る。
「敵よ、ポンタ!」
「『縮地』!」
邪魔をしてくる内部の守備騎士は『縮地』で逃げる。時間が無駄なので戦闘は極力しない。守備騎士は追いかけてくるが、こちらの方が走りは速いので逃げ切るのは容易だ。道も一本道だしね。
「見てポンタ! 階段よ!」
「よしっ、・・・うわー・・・」
目の前に現れたのは大きな円の螺旋階段。螺旋階段の中心はか大きな空間になっている。何用は不明だが好都合だ。飛んで下まで行ってしまおう。
そう思ってジャンプしたが・・・
「!?」
違和感を感じ、すぐさま着地。
「どうしたの?」
「・・・飛べない。ここ、飛べない空間みたい」
翼が動かない。どうやらこの建物内は飛べない設定らしい。いやそのような設定今更いる? ただの嫌がらせとしか思えない。
だって飛べないということはこの階段を降りて行かないといけないからだ。
「・・・はぁ」
「ファイトよポンタ!」
「乗ったまま言われても・・・。まぁ行くしかないけどさ!」
階段降りるの嫌で潜水艇取られたとバレたらなまけもの・・・いやココアに何言われるか分からない。ここはやるだけやってみよう。幸い下りだしね。
「待って! ポンタ!!」
そう思い走り出した僕をユウさんが急に止めた。
「何事!?」
「あれ見て! あれ!!」
ユウさんが指差すのは柱の中心。そこに何か透明な箱が下から上がってきた。紐とか動力とか全くついてないただの箱だが一目見て確信する、エレベーターだ。
「乗る!?」
「乗る!!」
このタイミングで上がってきてくれたのだ。乗っていけということだろう。勿論そうさせてもらうとも。
エレベーターは無駄のない動きで足場へと到着したので、僕らは中に乗っていた守備騎士を足場から紐なしバンジーしてもらいエレベーターへ乗り込んだ。あとは一直線に下まで行くだけ。そう思ったがそこまでだった。
「? 動かないわね・・・」
「階層のボタン押してないからじゃ・・・」
「そう言われても無いわよ?」
「・・・無いね」
エレベーターが下へと行かない。箱の中はボタン含め何もないので動かし方も分からない。適当に内側を触ってみるがダメだった。
「ダメじゃない!!」
「魔物には優しくないエレベーターだったか・・・」
諦め降りる。
するとエレベーターは計ったかのように動き出した。まるで僕らが降りる一瞬を狙っていたかのような速さで扉を閉め逃げるように動き出す。
「「はぁ!?」」
嫌がらせか? 嫌がらせだな。魔物イジメだ。
ちくしょう。エレベーターの思い通りにさせてたまるか。
体調不良で少しの間更新出来なさそうです。すみません