386.ネツィアの街へ向かってみた
僕が聞いた情報から推測すると、【海難】は一定期間を過ぎると違うところに移動するらしいのでそうなる前に倒したい。その為には隠しダンジョンの洞窟へ行かなければいけない。
「ポンタが聞いた宝箱は俺らが行ったあれだろうからパスするとして・・・。残りは海の中の洞窟とかか・・・」
「となるとやはり・・・」
「「潜水艇!!」」
で、その隠しダンジョンへ行くための潜水艇を取りに港町へ向かう。今回は急ぐため、なまけものにバフして貰った上で全員乗っけての移動。戦闘だとしんどいが、飛んで進む分には問題ない。
「ネツィアの街ってこっちであってる?」
「あってる。そのまま真っ直ぐね」
「ほーん・・・、現実だとヴェネツィアの場所か。名前ちょっといじってるだけで似てるな。他もそうなのか?」
「さぁ? でもそうだとすると名前聞いただけである程度場所の予測しやすいからいいんじゃない?」
「日本とか有名な街ならな。全然知らない街の名だと意味無ぇ」
「確かに・・・あ、なまけバフ切れた」
「かけ直すわ」
そんなことを話しつつ十分そこらでネツィアの街へとたどり着いた。海上都市だ。海の上に街が出来ている。街自体は全体的に白く、空から見ると青い海に浮いているように見える。
「奇麗な街ね」
「発展してんなぁ・・・。ここだけ時代違うんじゃね?」
「確かにこれだけ発展してると潜水艇あってもおかしくないね。問題は・・・」
「問題? なんかあるか?」
「いや・・・嫌な予感しただけ」
建物を見る限り魔法で発展してますって感じを受ける。となればこの街に関わる敵は全体的に魔法に特化している可能性が高い。それだけならいいが、魔法道具的なものを戦闘に使用してくる可能性あるので、場合によっては苦戦を強いられそうだ。
「おいおい、こっちにも魔法特化の俺が居るんだぜ。本物の魔法を見せて分からせてやんよ!」
「「「・・・・・」」」
一瞬なまけものが瞬殺される映像が浮かんだ。とはいえ魔法耐性も高いだろうから、なんだかんだ生き残りそうではある。
そんなことを考えてるとユウさんが僕をツンツンした。反応すると下を指差す。その方向を見てユウさんの言いたいことを理解した。
「じゃあ試してみる?」
「は? 何を?」
「ん」
僕は下を見ろとなまけものにジェスチャー。なまけものも下を見て・・・ニヤリと笑った。
「いいだろう。見せてやるよ」
「OK。じゃあユウさん宜しく」
「OKよ」
「え? おい待て」
慌てるなまけものをユウさんは突き落とした。
大丈夫、高度は地上近くまで下げてある、落ちたところでダメージはないだろう。それに下は芝生だ。クッションで痛みも無ーー
「そういう問題じゃねぇー!」
『うわっ!? 魔物!!』
すぐそばに急に落ちてきた魔物が吠えた(ように見えた)冒険者が慌て始める。しかし動きは冷静だ、ショートソードを引き抜きなまけものから目を離さず構える。
「何だ? 普通じゃん」
「いや、よく見ろ」
他の冒険者と変わらないなと思ったのも束の間。冒険者の刀身が淡い青色に光出し1.5倍ほど伸びる。武器の柄の部分に埋め込まれた宝玉が光っていることからあの武器の特性らしい。冒険者が軽く振ると、降った軌道に合わせて光の円弧が出来る。
それを見たユウさんが目をキラキラさせる。
「何あれ? 私潜水艇よりもあっち欲しい」
「その炎剣で我慢しておきなさい。なまけ、検証よろしく」
「任せぇ!」
なまけものは嬉々として冒険者と戦いを始めた。
次回更新は3日後の予定です




