385.情報共有してみた
「じゃあ情報共有といこうじゃないか」
次の日。
なまけもの、いや榊がカフェテリアのコーヒーを飲みつつそう言い出した。現在は買い出しの途中、休憩タイムだ。主に運転している僕のね。
というか別に今共有することじゃないと思う。・・・とはいえ2人が反対しないのでまぁいいけど。
「はい!!」
榊の言葉に柊さんが高く手を上げた。
「何かな? 柊君」
「美味しいお酒の情報を入手しました!!」
「魅力的な情報だが今は違うよな?」
「美味しい木の実の情報も入手しました!」
「・・・気になるが今それも違うよな?」
「海の中に洞窟があるって漁師さんが言ってました!」
「それは後で詳しく。てかそれも【海難】全然関係ないよな!」
情報自体は多分いい情報ばかりだ。というか柊さんも何だかんだ情報収集していたらしい。
感心していると、若干不機嫌そうな柳さんに脇腹を小突かれた。
「私だってちゃんとしたわよ。戦いたいって言った張本人だし」
「え? あ、そうなんだ」
正直柳さんはお開き後少しして後ろめたくなり1人収集しているだろうとは思ってたので驚きはない。
しかし柳さんは驚かなかったのがいけなかったのか、不機嫌さが増した気がした。とはいえ指摘しない方が良さそうなので、どのような情報を得たのかだけ聞いてみる。
「そう言っておいてごめんだけど。【海難】に関する情報は得られなかったわ。私も隠しダンジョンの話とか、食料の話とか、潜水艇の話とか・・・」
「潜水艇!!」
「待て柊! 今そこ食いつくんじゃねぇ!」
「潜水艇? 海潜れるの?」
「おい竹ぇ!!」
そう言われても気になるじゃん。潜水艇。なんかいきなり時代変わった感じの乗り物で違和感あるけど。
「なんか魔法で船体を包んで海の中でも移動できる代物らしいわよ。ネツィアの街にあるらしいわ」
「・・・行くしかなさそうだな」
「そうだね!」
「お前ら・・・」
おとと、これ以上話すとなまけものが周囲に迷惑をかけそうなので話を本題に戻す。
「僕は一応聞けた。どうもあの【海難】は何らかの儀式で攻撃無効化状態になってるらしい。無効化状態を解除・・・というか対処するにはその儀式が行われた洞窟に行かないといけないっぽい」
「お、マジ情報。その洞窟は何処だ?」
「そこまでは貰えなかった。多分海に関する敵だから、海周辺の洞窟だと思うけど・・・」
「・・・まぁそこは分けてるか。じゃあ片っ端から隠しダンジョン的なところに行くしかないのか・・・」
「かもね。そういう意味では柊さんや柳さんが聞いた隠しダンジョンを回っていくべきだと思う。どれかに当たりがあればOKだし、無いなら無いでステUP出来るし」
「たった1人倒したいだけなのに・・・。やめた方がいいかしら?」
「今更引けねぇな」
これほど時間を掛けなきゃいけないとは柳さんも予想していなかったのだろう。やめる提案を出してきた。しかし即座に榊が否定する。僕も同様だ、今更やめる選択肢はない。何故なら面白くなってきたからだ。
「でも面倒ばかりじゃない」
「だが回り道はRPGじゃよくあることだ。良いじゃん楽しくなってきたぜ。なぁ? 竹」
「だね」
「・・・よく分からないけどそう言うものなの?」
「「そういうものなの」」
道のりが困難なほど達成感が増える。それに手間な程、倒した時の報酬もデカい筈。
今から楽しみでしょうがない。
「ところでなまけはどんな情報えたの~?」
「あ、そう言えばなまけまだだったね」
「怠けてたんじゃないでしょうね?」
「現実でなまけ呼びすんな。ちゃんと頑張ったぞ!」
「そういえば海渡るのに苦戦してたよね? ちゃんと渡れた?」
「いや無理だったわ」
ははは、と笑う榊。その言葉に僕らは悪い予感を感じる。
渡れてない、ということは・・・
「つまり?」
「なーんにも聞けてません!! すまぁああん!」
「おい、言い出しっぺ・・・」
僕らは大きくため息を吐いた。
次回更新は3日後の予定です