383.盗み聞きしてみた①
盗み聞きは時間がかかるとの判断で今日はお開き。
しかし「やらない」とは言ったものの、なまけものが1人に任せるのはちょっと申し訳ないので適当に飛び回りつつ冒険者を探す。【海難】は海に現れるので、海に近い港街付近なら何か話が聞けるのではと思ってまだ行ったことのなかった港街近くへ着陸。冒険者を探しつつ適当に歩いて港街へ進む。
「ふむ、居ないね」
が、冒険者が全く居ない。たまにある見渡す限り居なくなる状態だ。タイミングが悪い・・・。
なまけもの :流石ポンタ。なんだかんだ言って付き合ってくれるの助かるぜ
ポンタ :感謝してよ?
なまけもの :おーしてるしてる。で? 何か情報あったか?
ポンタ :冒険者が周囲に居ないって情報くらいかな。あ、馬車見っけ!
目の前を馬車が通り過ぎていく。アプデ後初めて見た。倒したらどうなるんだろう。
1人で挑んでも逃げられるだけなので特にかかわる気は無い。冒険者も居ないのでのんびりと動く馬車を眺めていると、他のプレイヤーが取り囲んで破壊していった。
成程ね、4方から挟んで攻撃するのか。あと馬車の中から人出す前に倒していたがあれでいいのだろうか?
今度見つけたらやってみよう。
なまけもの :なんだと!? 今からそっち行く! 逃がすなよ!?
ポンタ :もう取られたよ
なまけもの :なんだよもー! なら言うなよな
ポンタ ;じゃあ次から見つけても言わんわ
なまけもの :それは言えよ
どっちだよ・・・。というか話ずれてんじゃん。
ポンタ :それでなまけの方はどうなの?
なまけもの :ああ、それな。実はまだ街までたどりつけてなくて情報まだなんだわ。なんか【海難】と遭遇しまくってなぁ
なんかなまけものの言いたいことが分かってきたぞ。こりゃ[たどりつけない]→[ポンタまだプレイ中じゃん]→[乗せてもらおう]ってロジックでチャットしてきたな。
このままの流れだとなまけものを運ばないといけなくなる。それは嫌だ。
ポンタ :そうなんだ、何も手伝えないけど頑張れよ。こっち冒険者見つけたからまた後で
そう言って後はスルーを決め込む。丁度2人組の冒険者が歩いていた。
「さて、こっちも始めますか」
あまり意味のないしゃがみ移動で近寄る。隠れるところなどないので彼らの背後に張り付く。振り向かれたら終わりの状態だがこれが一番スリルがあって楽しい。しかも意外にもあまりバレないのだ。
今回も真後ろにいるのに気付きもしない。さてどんな話だろうか。
『次の依頼ってなんだっけ?』
『商船の護衛。ニスの街までな』
『うへぇ・・・、船かよぉ〜・・・。俺が船弱いの知ってんだろ?』
『悪りぃ。まぁニスまでは特に危険も少ないからのんびりしようや。仕事終わりに奢ってやるからよ』
『バオバ酒か!?』
『サラッと高級酒要求しやがって・・・。いいだろう、酔わなかったらな』
『約束だぜ!? よっしゃあ! バオバ酒飲めるって分かったら俄然やる気出てきたぜ!』
『あれ美味いよなぁ。体力回復もするし持ち歩きたいくらいだぜ』
『持ち歩くか?』
『やめとく。戦闘時酒が気になって戦えん』
『確かに! 瓶が割れたら泣くわ』
酒か・・・。ニスの街ってどこだろう、ちょっと気になる。
船で行くって事だから港街だろうけど、この辺多いから分からない。とりあえずメモっとくか。
後はもう情報のなさそうな2人をサクッとやっちゃってと・・・
「『火炎』。ではサヨナラ~」
『でもよ、船といえば最近・・・』
『ああ、【海難】だろ? あの壊し魔この辺で出るらしいな』
あ。
【海難】の話が出た直後。2人は炎に包まれた。
幸い死にはしなかったが、当然戦闘になり情報は手に入らなかった。
次回更新は3日後の予定です