376.襲われてみた③
引き続きなまけ視点
ボロい船に乗る相手を見上げる。全員がこちらを睨みつけていた。
どうやら船を送還され、手に入れられなくなったのが悔しいようだ。ははは、ざまぁみろ。
「ちっ、船消したら落ちるから消さねぇと思ってたのに・・・」
「もう出さんよな?」
「馬鹿じゃなけりゃな」
「んで、どうする? 倒してくか?」
「どっちでもいい」
「俺も」
なんか向こうは白けてしまったようだ。そっちから仕掛けておいて興味なくなると止めるとか・・・、許されると思ってるのか?
「ねぇ、あいつら逃げるよ?」
「逃がすかよ」
動き出した船に俺は『ファイアxファイアxファイア』を当てる。この攻撃で相手を倒す気などない。船を失ってもらうだけだ。相手もこちらの意図に気付いたようで、急に慌ただしくなる。
さてどう出るかな?
そのまま逃げるか、応戦してくるか、一旦火消しの為に船を送還して立て直すか・・・。
「!?」
答えは青く光る石の弾だった。
それは俺の足場である『アイスウォール』を砕き、慌ててジャンプした俺を狙って再度飛んで来た。しかしココアの『晶壁』であっさり弾かれた。
「やるな」
「えへへ、久々に使った~」
「俺も久々に見た。だがココア、お前のSGは現状かなり重要だから『アイスウォール』以外にに使うのは一旦やめてくれ。足場の『アイスウォール』無くなったら俺ら負けるぞ」
「あっ! そうだね」
「あと着水前に次の出してくれ」
ココアが急ぎ『アイスウォール』の足場を出し、着地するもふらつく。着地の衝撃で『アイスウォール』が凄い揺れる。立っているのがやっとだった。
そこに相手の魔法が刺さる。
「でっ!?」
何とか落ちないように耐えた。
しかしドンドン光石の弾が飛んでくる。咄嗟に『晶壁』で防ぎつつ体勢を整える。
「見て! 船もう一隻出てる」
「アイツら乗り換える気か!」
ココアの船といい勝負できそうなくらい立派な船が炎上するボロ船へと横付けされていた。そして奴らはそっちへと移動している。どうやら乗り換えてボロ船を送還するつもりのようだ。ボロ船へ以外は持っていないと思ってたがどうやら違ったらしい。
ボロ船を燃やして船を潰しつつ落とそうと思ってたのに・・・、これではただSGを無駄遣いしただけだ。こうなったらボロ船が消せないよう、俺があの船へ乗り込むしかない。ココアにそのことを伝え、突撃を開始する。
「よっ、ほっ、はっああ!?」
ココアに小さめの『アイスウォール』を出してもらいつつ船へと近づいたが、相手も予測済みだったのだろう、飛び乗ろうとしたところをキッチに狙われて叩き落とされる。その間に魔法使いももう一つの船へ乗り込みボロ船は送還された。
「チッ! ミスった」
「もっと魔法当てて壊せばよかったのに~」
「そうかもな、SGケチらなきゃよかったぜ。まぁそれでも壊しきれなかったと思うけどな」
壊すにはあと数発必要だ。恐らくどうやっても間に合わなないだろう。
それよりも次へ行動を変えなければ。
「乗り込む?」
「ああ、こうなったら船の上で暴れてやるぜ」
壊さないようにしていたさっきとは違う。相手の船なら好き勝手出来るから乗って暴れ回ってやろう。ただ相手も分かっているだろうし、少しでもミスったら多分死ぬな。ちまちま魔法受けたからHPもそれなりに減ってるし。
「回復する?」
「まだいい。ギリギリまで放置で」
「じゃあ1くらいになったら回復する~」
「・・・もうちょっと早く頼む・・・わぁ・・・」
ココアのボケかマジか知らない返答に困ったその時、目に入ってしまった。
相手の船より向こうに赤い何かが居た。
次回更新は3日後の予定です