373.捜索してみた
「んじゃポンタ達よ。捜索よろしく」
「うーい」
「行ってくるわね」
負けた。3人揃って。
チョキを出すユウさんに全員パーで対抗。当然勝てるわけなく撃沈。揃いも揃って頭がパーだったようだ。
手をチョキのまま、ユウさんが1人喜ぶ。
「何でお前らパーなんだよ!?」
「パーは最強」
「いや僕ら全員違うの出したら決着つかないじゃん・・・」
「あぁ~・・・、やるしかねぇのかよぉ~・・・」
嫌そうな顔のなまけものだが、決まったものはしょうがない。その後僕らはすぐにここへ戻ってきた。
「さっきも言ったが、同じ位置にずっといるか分からねぇ。10分探して見つからなかったら次行くぞ?」
「それでいいわ。なまけ達はこの辺で待機よね?」
「ああ、同じ位置に居たらまた同じ結果になるだけだしな。何かあったら連絡してくれ」
「「了解」」
僕は少し高めに飛翔する。
さっきの攻撃された高さは船のマストよりも少し高い位置だった。だからそれよりも高い位置を意識しつつ、探しやすいように低めを飛ぶ。
「む」
この辺かなと思ったあたりで飛行メーターが出てきた。成程、あの波は飛行制限がかからない範囲を飛行している魔物を狙うようだ。だから飛行メーターが出てる分には襲われることは無さそう。
「どう? ユウさんは何か見える?」
「見えないわね。目立つ格好なのよね?」
「なまけが言うにはね」
船で移動中、なまけものがある程度調べた情報によると、あの波自体はどの海でも起こるらしい。大半が急なその攻撃に対処できず死ぬため、ネット上では即死トラップという認識らしい。
中には波乗りしようと挑むサーファーも居たらしいが・・・。まぁ結果は言うまでもない。
ただ、やはり原因を解明しようとする猛者たちがいるので、あの波の発生源は既に載っていた。
原因は僕らの推測と同じ、海を歩く『海難』の二つ名の冒険者の仕業らしい。そいつはサンタクロース並みの目立つ真っ赤な服装で海の上に居るそうだ。
なぜそんな目立つ格好なのかと思うが、そこはプレイヤーに見つけやすくするための運営の配慮かもしれない。そんな配慮する前に、波の威力を押さえて欲しいものだが。
で、そのサンタクロースを探すが、もう移動したのか視界には入らない。
「まさかこの高さだと見えなくなる仕様とかじゃないよね?」
「うーん・・・。それはちょっと困るわね・・・」
一応合わせて近くの陸も見てみるが、やはり居ない。あれからそんなに時間は経っていない筈だがもう移動したのだろうか?
残り時間も少ないし諦めようかと思った矢先、なまけものからチャットが届いた。
「? 向こうに出たのかな?」
「だとしたらもう死んでるわね」
「それもそうか。でもチャットできてるから違う要件かな」
連絡か何かかなと思って開くと、そこにあったのは三文字だけ、
なまけもの :やさい
「「?」」
「買ってこいってこと?」
「誤字か? ボケか?」
「誤送信じゃないかしら」
推測しても分からなかったので僕らは船のある方向へ振り向き・・・急いで戻った。
次回更新は3日後の予定です