372.ジャンケンしてみた
オアシスに戻るとなまけものが襲い掛かってきた。
咄嗟に尻尾で薙ぎ払う。急所に当たった。なまけものは倒れた。
経験値は貰えなかった。
「何・・・すんだ・・・」
「いや急にくるから・・・」
なまけものを起こし状況を聞く。やはり予想通り死んでこちらに戻って来たらしい。復活したはいいが僕らが居なかったため探し回っていたようだ。
「チャットすればいいだろ・・・」
「すぐ近くに居ると思ったんだよ。で居ねーから今送ろうとしてたとこだ」
なまけものは書いてた途中のチャットを削除しつつ、こちらの様子を聞いてきた。僕らは『蜃気楼』で回避したこと、『蜃気楼』が発動したことであれは攻撃ではないかという推測を伝える。
「成程な。敵は?」
「ざっと見たけどそれっぽいのはいなかった。HPヤバかったし追撃前に転移したから、細かくは調べてない」
「プレイヤー・・・ではないよな」
「無いと思う。あんなスキル、海ではクソすぎる」
「だよな。やはり冒険者か」
僕もそう思い探したが、ぱっと見陸地には居なかった。というよりも陸が離れているので見えなかったと言った方がいいが。
「なら海の中か? どちらにせよあれだけ陸から離れている以上海か空に居ると考えた方が良さそうだな」
「でもそうだと探すの大変だぞ」
「だろうな。俺も探す気力は無い」」
どうやらなまけもの的にはスルーする気のようだ。僕も同意。理由は相手を探すのが面倒だからだ。その上倒すともなれば海上戦にもなるだろう。僕は飛べばいいが船に乗って戦うなまけものやココアには部が悪すぎる。あの波出されたら即終わるだろうし無駄に船を破壊するだけだ。
あの海域を通れなくなるけど面倒ごとに時間を取られるよりはいい。ココアも船壊されたくないだろうからスルーに回るだろう。
「よーし。じゃああっちの大陸に上陸して荒らし回ろうぜ!」
「「おー!」」
「ちょっと待って!?」
「「「・・・・・・」」」
さあ行こうと切り替えたのにユウさんからストップがかかった。まぁ全員予測はしてた。ユウさんが逃げ帰ったまま終わるわけないと。
「言っておくがユウよ。戦闘はしないからな」
「負けたままでいいの?」
「いい。無駄でただ疲れるだけの戦闘になりそうだからな」
「というか探すの大変だし時間の無駄だと思うよ」
「船壊れるのやだ」
「むぅ・・・」
どうやらユウさんもその辺りは理解しているらしい。しかし自身の負けず嫌いが邪魔して納得できないらしい。僕らは互いに顔を見合わせてどうしようかと悩む。するとなまけものがため息を一度吐き、「むむむむむぅ・・・・」と唸るユウさんに提案した。
「ならジャンケンだ。ユウが勝てば戦闘、俺らの誰かが勝てば無し!」
「まぁそれでいいかな」
「いいんじゃない〜」
困った時はジャンケン。ジャンケンは大抵の事を解決してくれる。
しかしユウさんには悪いけどこちらの勝率は7割5分、ほぼ勝ちだ。悪いけどここは諦めてもらおう。
「じゃあ行くぞ・・・」
「「「「じゃーんけーん・・・」」」
ポンッ!
僕らの次の目的は決まった。
次回更新は3日後の予定です