368.話ししてみた①
「出航~!」
船旅開始。テンションを上げ続けているココアの船に乗り。取り敢えず陸地が見えている方向へと移動を開始。方角的には南下しているようなので、向こうに見えるのはアフリカ大陸になるのかな? 今いる場所はリアルだと地中海になるからね。
「おい、なんで助けてくれなかったんだ?」
「巻き込まれたくないし」
その船の上、なまけものが恨めしそうに言ってくる。そんなこと言われても知らん。
「というかお前、ユウのテスト標的になるのを察知して逃げたろ」
「いやいや、そんなことないよ。というか僕らが移動することで止めてあげたんだけど」
こっちが待つから終わらない。なら待たなければすぐ止めて追ってくると思ってのことだとなまけものに説明。今考えた建前だけどね。
「・・・まぁ実際そうだったからそういうことにしといてやるよ」
「どうも」
「あとユウに言っといてくれ。最近暴力多すぎるってよ」
「何で僕が・・・」
まぁ僕もそう感じるけど。ジャイアン化してる気がする。
現実のストレス蓄積量が増えているのだろうか?
「お前が言う方が効果的だからだ。俺よか仲いいだろ?」
「大して変わらない気がするけど・・・。まぁ会う機会は多いしそうなのか?」
「何が「そうなのか?」なの?」
こっちの話で自身の名前が聞こえたのか、ユウさんが寄って来た。代わりになまけものが何故か離れていく。
不自然な速さで逃げるように離れたなまけものにユウさんが怪訝な顔をした。
「何? また変なこと言ってた?」
「ビビってるだけじゃないかな? 最近ユウさんが暴力多すぎるって言ってたし」
「・・・・・」
ユウさんがなまけものを睨んだ。なまけものが僕を睨んできた。目が言ってる「何で今言うんだよ!」と。「別に良いじゃん」目線で念を送ると、「よくねぇよ! 俺消されるじゃん~」と言いたげになまけものが慌てだした。
ユウさんは小さくため息を吐き、
「ポンタもそう・・思う?」
「ごめんだけど、昔に比べると大分多くなったとは思うよ。まぁ大半はなまけの所為なところあるから何とも言えないけど・・・ゲーム内でリアルの知り合いとはいえある程度抑えないとね。他の人に見られたら誤解される場合もあるから」
「う・・・」
ユウさんの顔が暗くなる。
少し言い過ぎたか? いやでも今はなまけものが許しているから特に問題になってないだけで、何かの拍子に問題が起きるかもしれない。
そうなったら、このメンバーでのパーティ解散だろう。僕としてはそっちの方が嫌だった。
いやでもこれでユウさんがゲームしなくなったらそれも困るし・・・。
悩む僕と、暗いままのユウさん。互いに何も話さない時間が過ぎる。そんな状況をなまけものとココアが遠くから見守る。「フォローしてほしいんだけど・・・」と目で合図すると、2人そろって「頑張れよ」という目で見られた。
仕方ない・・・。
「ユウさん。少し飛ばない?」
「え? あ、うん。いいけど・・・」
僕はユウさんを乗せ飛び上がる。
「ちょっとその辺飛んでくる」
「いいけどあんまり遠く行くなよ? いつ戦闘になるか分からないからな」
「了解」
なまけものはそう言うが、目は「なんで離れるんだよ。話聞けねぇじゃんか!」と訴えてきている。隣のココアも同じ目だ。
僕は目で「2人とも邪魔」と返し船を離れた。
次回更新は3日後の予定です