367.次へ進んでみた
「ポンタはやっぱスピードか?」
「だね。それ一択。なまけは・・・」
「魔力一択。ココアはSGだろ?」
「うん」
「私はーー」
「「「パワー」」」
「・・・当たり」
当てられてユウさんはムッとした顔をする。
出来ればユウさんはもう少し防御に気を使ってほしいのだが、ステータスを決めるのは本人だ。パーティを組んでいるからといっても、他人である僕がとやかく言うつもりはない。もしもの時は今日みたいにフォローすればよいだけだ。
しかしなまけものはそう思わなかったようだ。
「でもユウよ。お前もう少し防御上げた方がいいんじゃないか? さっきはポンタが庇ってくれたが、そうでなかったら即死だったぞ」
「うっ・・・。でも防御って当たらなければ上げるだけ無駄でじゃない。・・・と思うのだけど」
「全避け出来るなら無駄だがな。まぁお前はほぼ避けれるから要らないっちゃいらないんだが、今日みたいなのを見るとやはり少しは上げとく方がいい気がーー」
「まぁまぁ」
と、提案するなまけもの言葉をココアが遮った。
「なんだよ」
「ポンタが居るからいいんじゃない?」
ココアはそう言い、なまけものとココアがこちらを見る。首をかしげる僕に対し、なまけものは何かを理解した。
「成程な」
「何が成程なんだ?」
「いやぁ何でもないぞ」
僕の問いに答えずニヤニヤするなまけもの。その横でココアも似たような雰囲気を出している。この感じ・・・凄いめんどくさいやつな気がする。
突っ込んでも疲れるだけなので、無視する方が良さげだな。
そうと決めれば、即座に話を変える。
「んじゃ次どうしようか。地上出て前の場所から海でも渡る?」
「おい待てよ! 気にならないのかよ!?」
「僕の直感で、無駄に疲れて最終的になまけが鉄拳制裁くらって終わる気がするからスルーしたんだけど・・・続ける?」
「・・・やめておこう」
なまけものはユウさんをチラッと見て、何かを考え、小さく舌打ちしてそう言った。
やはりユウさんを揶揄う気だったようだ。懲りないなぁ。
「ねぇ? ちょっとパワーテストしたいのだけど。いいかしら?」
「いや唐突過ぎるだろ!? 嫌だよ!」
チラッと見られたことに気付いたユウさんも理解したのか、なまけものの肩をポンポンと叩きつつ笑顔で提案。流石に身の危険を感じたなまけものはその場から飛び退いた。
しかしユウさんの中では既に了承済みになっているらしい。それを感じ取ったなまけものは逃げ出した。そして少し遠くでテストと言う名の制裁を受ける。
「なまけも懲りないね」
いつもの光景を眺めていると、いつの間にか避難しているココアが傍に居た。
「それには同意だけど、元はと言えばココアは言い始めたよね?」
「そうだっけ?」
「・・・まぁいいや。丁度いいから聞くけど、次何したい? 一応僕的には、この前の続きで航海するか、当初の目的のイギリス辺りに向かうか・・・かな。ここで戦闘、ってのもあるけどーー」
「それはやだ。ここ暗いし面白くない~」
「と言うと思ってたよ。まぁ最初言った通り、変に長くいるとユウさんが戦闘したがるかもしれないし地上で遊ぼうか。どっちがいい?」
「海!」
「じゃあ船お願いね。前終わったあの島まで移動しようか」
「はいはーい」
2人にチャットだけ送り、僕らは早々に転移。
転移直前なまけものがこちらに向けて何かを訴えていたがよく聞こえなかった。
次回更新は3日後の予定です