357.あの人と合流してみた
「よぉっす! まさかこんなところに居るとはな!」
見たくはないカイザーさん登場。帰ってほしい。
ログインしていたのは知っていたし、こっちに向かっているのも気付いていた。けどどうせ位置が分かっても来れないだろうと高を括っていたのだが、普段の無駄なハイスペックを活かしてたどり着いてきた。
こんなことならHPの全回復待たずに先へ進めばよかったよ。
「ちっ! まさかマップ情報だけで推測してここにたどり着いてくるとは・・・」
「おいおいポンタ。せっかく来てやったのにその言い草か?」
「呼んでませんが?」
「可愛い後輩とプレイしたい先輩の気持ちを察しろ!」
ただ一人だと寂しいだけでしょうが!
会社でも隣で面倒多いのに、プライベートでも一緒は嫌なんですけど。
「こっちとしては子供の世話や明日の仕事を考慮して会わない方がいいと判断したんですがねぇ」
「嘘つくんじゃねぇよ。最初の舌打ちでバレてんだよ!」
「ちっ! ミスったか・・・」
「またしやがった! なぁなまけ酷くね? こいつ酷くね?」
「いや、俺も同意見ですわ」
「・・・なぁ? 俺マジで避けられてるの?」
「急にしょんぼりトーンやめてくれません? 気まずいんで」
「まぁ半冗談は置いといて、実際明日とか育児とか大丈夫なんすか?」
育児は知らないが仕事は大丈夫だろう。この人徹夜してもピンピンしてるしな。流石ユウさんの兄貴と言ったところか、体力面も相当ハイスペックだ。
僕の予想通り、カイザーさんは「仕事は余裕だぜ」と豪語する。
しかしすぐしょんぼりし、
「育児は・・・リコちゃんがさせてくれないんだよな・・・」
「男でしたっけ?」
「いや娘」
「ってことはまた変態行動でもしたんですか?」
「溺愛しすぎて独り占めするからじゃね?」
なまけものの意見も十分あり得る。ユウさんへのアレを見ているとねぇ。
しかしカイザーさんは首を横に振った。
「俺じゃない。リコちゃんがそうなんだよ。取られたくないとか言って抱っこすらさせてくれない」
「「おぅ・・・」」
逆だったらしい。
何と言えばいいだろうか・・・、
「・・・心中お察しします。頑張って下さい」
「お察しします」
「助ける気無さすぎだろお前ら」
「だってあの人ちょっと怖いし」
「あっ、ポンタもか? 俺も俺も。優しそうなんだが何考えてるか分からないんだよな」
「だよね~。優しそうなんだけどねぇ・・・」
「旦那を前によく言うよなお前ら・・・。いやまぁ何考えてるか分からないこと多いけどさ」
「「それはダメなんじゃないんですかね。旦那的に」」
「・・・そう、だよな・・・」
「だから急にしょんぼりしないで貰えますか?」
「させてる側が言うんじゃねぇよ! しょんぼりされるのが嫌なら俺と今日遊べ!」
「えー・・・」
いつも以上に面倒くさい。なんで今日に限ってなまけやカイザーさんがこうも面倒な状態で現れるんだろうか。こんな事なら一旦止めておいて、夜中インすれば良かった。
「どうするよ?」
「諦めるしかないね」
僕は大きくため息を吐いて了承した。
するとカイザーさんは一気にテンションをMAXまで高める。
「よっしゃぁあ!! じゃあさっさと行こうぜ! ダンジョンへ突撃だぁあ!!」
「うーわっ・・・」
「・・・こりゃいつも以上に疲れそうだなぁ」
早速了承したのを後悔する僕ら。
しかし神は僕らを見捨ててはいなかった。
次回更新は3日後の予定です。