356.和解してみた②
「ここじゃないかと思うんだけど・・・」
「ないねぇ。どうだ? やり方見つかったか?」
「いや、もうちょっと待って」
結局僕も交じって3人で「どれだどれだ?」と探し回る。そこへ暇そうにしていたなまけものがやってきた。
そしてなにやら操作した直後、ドラゴンが驚いた声を上げる。
「うわっ、なんか出た!」
「出たやつポチってくれれば終わりだから押してくれ」
「これか・・・。よしっ、押したぞ」
どうやらなまけものが変わりに申請を出したようだ。ドラゴンがそれを承認し戦闘状況が解除される。一安心と何とか終わった申請に一息つく。
「なまけはやり方知ってたのか?」
「そりゃな。こんなのすぐ見つかるだろ?」
「「「・・・・・」」」
それは嫌味かな? さっきまで頑張ってた僕らへのさ。
むっとした顔をしてると、ドラゴンが聞いてきた。
「消すか?」
「「消そう」」
「おいおい待て待て!? 何する気だ!? 痛ぇ、痛ぇ!! 押し込むな入らねぇよ!!」
三人でなまけものを近くの穴へ押し込もうとするが、残念、穴が小さかった。上半身が入らずなまけものはまるで栓をしているか状態になる。
「「「今日はこれくらいにしておいてやる」」」
「いきなり何なんだよ!? というか何でポンタもそっち側なんだよ!!」
理解していないようなのでとりあえず放置することに決めた。
小さくため息をつくと、ドラゴンが同情の眼差しを向ける。
「大変だな」
「いや、今日は多少酔ってるから面倒なだけだから。気にせず先行ってくれ」
「分かったけどいいのか?」
「いいよ。隠しダンジョンは何度か行ったことあるけど、早い者勝ちとか無いからね」
アプデ後はあの宝箱ワープだけだが、アプデ前をカウントするとそこそこ行っている。
特に隠すことも無いので、宝箱ワープに関しては情報を伝えておいた。
「マジか! よっしゃあ! 船奪って行ってみるぜ」
「詳細の場所は分からないから、見つけるのは根気いるよ」
実際僕らも偶然見つけたので、正確な場所は分からない。後で文句を言われないようにそこは念を押しておく。
「大体の位置が分かればいけるいける」
「だな。ちょっと潜って探せば見つかるだろ」
しかし彼らは情報を得た喜びであまり気にしていないようだ。恐らく海の広さに絶望するだろうが、言っても聞かないだろうし言わないでおくか。
「おっし。じゃあさっさとここクリアして行ってくるわ!」
「情報サンクス」
「明日テストだが今日は寝れないぜぇ!!」
「だな。わははははっ!」
彼らはお礼を言うと、テンションMAXで突撃していった。襲われる形の出会いだったが、まぁ悪い人ではなかったな。・・・多分。
「なぁ? そろそろ出してくんね?」
「ん? あぁ、はいはい」
ノリで穴へ押し込んだなまけものが助けを求めてくる。引っこ抜いて助け出した。
抜くとなまけものは不服そうな顔のまま大きく伸びをした。
「ったく、ようやくどっか行ったか。消されずに済んでよかったぜ」
「だね。隠しダンジョンあって助かった」
「しかしあいつらどういうルート通ってここにたどり着いたんだろうな?」
「どうやら僕らが気付かなかっただけで、ここに来れる横穴結構あったみたい。あっちはもっと上の横穴から入ったみたい」
「・・・なるほどな。まぁそうだよな、あんな暗い場所で横穴1つとか・・・ここ、絶対見つからんわな」
「だよねぇ」と相槌をうってると、チャットが飛んできた。それを見てなまけものと顔を合わせる。
「来たか・・・」
「来たなぁ」
「どうするよ?」
「放置したいね。無理かな?」
「無理だろ」
僕らは今日一番のため息を吐いた。
次回更新は3日後の予定ですが少し遅れるかもしれません