344.(仕方なく)なまけものを地下世界へ連れて行ってみた
なまけもの :おいちょっと待てぇ!!
ポンタ :何さ?
なまけものを置いて転移したら、10秒もしないうちにチャットが飛んで来た。言いたいことは分かるけどあえて聞く。
なまけもの :おいてくとか酷くないか? 迎えに来てくれたんだろ!?
ポンタ :転移確認しただけ。僕タクシーじゃないし。というか別に一緒じゃなくて良くない?
なまけもの :良くない。一緒にプレイしたい
ポンタ :1人でプレイしたい
なまけもの :そんなこと言うなよ! ・・・もしかして俺が嫌なのか?
ポンタ :嫌だったらチャットなんかしないし、そもそもフレンドになんかならないよ
なまけもの :えへへ~
ポンタ :? とうとうおかしくなったか?
なまけもの :いや、しろよ!
ポンタ :何を?
なまけもの :そこまで言ってて知らんのかい!?
なまけものがおかしい。いや前からか?
酒でも飲んだのだろうか?
ただどうやら一緒にプレイしたいそうなので、仕方なしにさっきのオアシスへ転移して戻る。時間も遅いし、一緒と言っても1時間程度だろう。なまけものは明日仕事だからな。
そんなことを考えつつ転移を終えると、こっちに気付いたなまけものが奇声を上げて寄って来た。
「うわっ!? おい酔ってるのか!?」
「酔ってねぇ! いや・・・居酒屋の匂いで酔ったか? でも飲んでないしなぁ・・・」
「居酒屋? 残業じゃなかったっけ?」
「ひいら・・・ココアを引き取りにな。んであいつの飲食代払わされた」
「・・・それは・・・うん、災難だったな」
「だろ? こういう日は暴れなきゃ気が済まねぇぜ」
つまりムカムカしているということだな。道理でテンション高くめんどくさい状態なわけだ。
「ココアは?」
「ユウに預けといた。流石に女子寮には入れんからな。お持ち帰りするわけにもいかんし」
「言い方! それじゃ明日には社会的に死ぬぞ」
「被害者は俺なんだがなぁ・・・。まぁいいや、それよかお前まだやってたんだな。ユウがもうやめたって言ってたから居ないと思ってたぞ」
「僕明日会社休みだからな。今日はとことん1人プレイしようと思ってたんだ。だから僕に合わせると明日の仕事に響くぞ」
「俺も明日休みだから問題ねぇ」
ふふんと鼻を鳴らしながら宣言するなまけもの。それは僕の1人プレイ時間が無くなったことを意味する。
心の中で大きくため息を吐いた。まぁまた今度でいいか、なまけものと2人なのも珍しいし。
「んで、これからどうするんだ?」
「イギリス辺りに行こうかと思ってたんだけど、途中で地下世界見つけたからそっち行こうかと・・・」
僕は今日初めて知ったが、なまけもののことだから地下世界は当然知っているだろう。
一応イギリス目指す案も提示してみるが、なまけものだから絶対地下世界だろうな。
「地下世界?」
「えっ、知らない?」
「知らん。けど名前的に絶対面白そうだからそっち行こうぜ」
「だよな」
知らなかったのは意外だったが、やはりなまけものは地下世界に行きたがった。入口の場所は知っているので、なまけものを連れてひとっ飛びする。勿論途中のオアシスには寄らない。
「寄れよ!」
「・・・しょうがないなぁ」
どうせ後々ユウさんとココアもつれて来なきゃならないのだし寄る必要ないと思うんだけど・・・。
渋々寄りつつ目的地に到着。相変わらずのブラックホールが目の前にある。目の前の異物に流石のなまけものもちょっと引き気味だ。
「おおぅ・・・。これが入口?」
「うん、そう。入れば地下世界に行ける」
「良く入ったな、これに」
「いや吸い込まれた。こんな感じで、な!」
折角なのでなまけものにもダイ〇ンを体験してもらおうと、空中で回転して遠心力でなまけものを投げた。予想だにしていなかったなまけものはあっけなく投げ出され入口の黒い穴へと落ちーー
「どぇふっ!?」
無かった。投げる威力が足らなかったようで、穴の前の地面に突き刺さる。逆さになり頭が刺さっていたので引っ張って引っこ抜いた。
「すまん。もう1回転するべきだったわ」
「そうじゃねぇ!! 言えよ、やる前にっ!!」
「まぁまぁ、時間の無駄だしさっさと入ろうぜ」
「それもそうだな。で、どうやって入るんだ?」
「飛び込めばいいと思うよ。入り辛かったら突飛ばそうか?」
「いや自分で入るわ」
そう言いつつなかなか入ろうとしないなまけもの。底が見えない分怖いのだろうか?
「なーー」
「待て! 今入るから。だからいいか押すなよ? 絶対に押すなよ! 絶対のぜーったい押すなよ!!」
「分かった」
僕はなまけものをフルパワーで押してあげた。
次回更新は3日後の予定です