336.村に入ってみた
襲撃はあっさり勝てた。けど問題が出た。
何が問題かって? 攻撃力が弱すぎる!! 冒険者だとそれなりのダメージ出るのにPvPだと全然出ない。これでは今後戦闘がしんどくなるぞ。
1度目は毒のスリップダメージで何とかなってたけど今はない。急ぎ雷属性を付ける必要がありそうだ。
ふっふ、実は既に属性は決めてあるんだ。と言っても速さと攻撃力を併せ持つ属性としてはほぼ一択なんだけどね。風も考えたけどあっちは攻撃力が何か弱そうだからやめた。
そして雷属性の手に入れ方も考えてあるし、出来そうな場所もネットで把握済みだ。天候も・・・丁度いい。
「というわけでユウさん後宜しく」
「何? 急に」
1人行こうとしたら尻尾を掴まれた。
「いやちょっと進化してくる」
「さっきしたばかりじゃない。今度にしなさい」
「でもさっきの戦いで攻撃力が足りないと感じたし」
「今度にしなさい。今しなければならないことじゃないでしょ」
「・・・はい」
・・・悲しい。
「流石のポンタさんも師匠には逆らえないんだ・・・」
「逆らうと面倒だからね」
「どういう意味かしら?」
「そのまんまーー」
直後『泥弾』が視界を覆った。
そういうとこですよユウさん。
結局、進化しに行きたかったが諦め、当初の予定だった村へ到着。かなり小さめの村・・・、入口から出口が見えるほど小さい。これくらいなら冒険者の量も少なめだろうし、初心者用の乱戦エリアなのだろう。
さっさと倒して終わらせようと思ったが、先頭を歩いていたユウさんが謎の壁に阻まれる。
「あれ? 入れない」
「誰か終わらせた後みたいだね。入れるまであと7分かかるみたい」
インフォメーションに再侵入までのカウントダウンを見て答える。微妙に長いが待つしかない。何処か行った瞬間に他のプレイヤーに取られるかもしれないからだ。
とはいえ適当にだべっているとすぐに時間は経ち、村へ入れるようになった。
「いい? 1人も逃すんじゃないわよ! 殲滅よ!」
「「おー!!」」
血の気多いなぁ。まぁこの感じだと僕はそれなりの動きで良さそうだ。適当にフォローしておけば3人で何とかなるだろう。小さい村だ、出てくる人数も10人程度だろうしさ。
・・・とはいえ僕らの強さも低めだ。真面目にはやらないとね。
『うぉおおおおおおお!!』
「あれぇ?」
と思ってたのは数秒前。
目の前に40~50人くらい現れる冒険者に僕とユウさんは呆然とする。しかも問題はまだ全員じゃないってところだ。家のサイズから出てくる人数が明らかにおかしい。10人で一杯になりそうな小さい家から途切れなく出てくる。
「だろっ!? おかしいだろアレ!」
「おかしいねアレは・・・。ユウさん」
冒険者ランクはF、Gと弱い設定だが数が多い。囲まれると袋叩きで一気にやられるだろう。・・・仕方ない。
「ユウさん」
「・・・いいの?」
「苦渋の決断だけどね」
「そう言われるとすごい嫌なんだけど・・・」
そう言いつつもユウさんは慣れた様子で僕にまたがる。泥のべちょぉとした感触に寒気がするが、勝つためには仕方がない。後でオアシスで洗おう。
「その顔・・・かなり傷つくわね・・・」
「なら早く進化して」
「それは分かってるわ。さ、2人も一緒に行動しなさい。囲まれないようにね」
2人が頷いたところで僕は冒険者の塊へ突っ込んだ。
次回更新は3日後の予定です。