335.襲われてみた③
「まだやってるの?」
「もう終わったの!?」
木の魔物のHPが削れたり回復したりを何度かみた時に後ろからユウさんの声がした。振り向くといつの間にか3人を倒したユウさんが呆れた顔してそこにいる。
1対3だった筈なのにまさかの終わる早さで負けた。
「それほど驚くことでも無いわよ。弱かったし2人も手伝ってくれたから楽できたわ」
「1人倒した!」
「すげぇ弱かったぜ」
「あっ、そう。おめでとう」
てことは倒してないの僕だけ? 待って、これじゃあ僕一人遊んでいたように見えない?
「ちゃ、ちゃんと戦ってたんだからね!」
「? 分かってるけどどしたの?」
どうやらそうは思われてなかったようだ。一安心。
安堵する僕の横で自信がついたであろう2人が、残った木の魔物に詰め寄る。
「じゃあ4人でサクッと終わらせちゃお!」
「ははは、逃がさねぇぜ」
「いい? 確実に倒すのよ」
「「師匠! 了解です」」
いつの間にかユウさんが師匠呼びになってる。
「というか、逃げなくていいの?」
「逃げれると思います?」
「・・・無理かなぁ」
「ですよね、なので諦めます。そもそも回復寄りの種族なので1人で無双する強さはないですし」
木の魔物はどうやらもう勝てないと諦めているようだ。残り3割程のHPも回復せずにこちらの対応を待っていた。この場合は時間をかけずにサクッと倒すのが個人的に礼儀だと思っている。
が、ユウさんがちょっと待ってと言い出した。
「あなたこのパーティじゃまともね」
「まとも!?」
確かに礼儀正しい感じはするが、まともとはどういう意味なのだろう。
「他の3人は変だったの?」
「変というか・・・すぐ怒るし、文句言うし、避けることもできないし。チュートリアルちゃんとやったの?ってレベル」
「ああ、それで・・・」
チュートリアルの件で察した。どうやら物凄い弱かったようだ。通りで(道理で)早いと思った。
そしてそれを聞いた木の魔物はふっと鼻で笑う。
「毎度のことですが、嫌になりますねアレは。出来ることなら解散したいですよ」
「出来ない理由でもあるのかしら?」
「僕らは会社の課題の一環でやってまして・・・、なので終わるまではこのままです」
課題ねぇ・・・。それ、最近流行ってるの?
ゲームを課題のテーマに使うとか、僕らと似たようなことしてるね。
ただ・・・少し言ってあげたい、「やめておけ」と。「周りの目キツいぞ」と。どこの誰か知らない上、もう会うこともないだろうから言わないけどね。
「そういうことなら頑張って」
「無理しちゃダメよ。ほどほどにね」
「あっ、ありがとうございます」
色々と大変だろうとは思う。だから励まして僕らは彼を消した。
「逃しはしないんだね」
「それとこれは別」
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