327.調味料を食べてみた
今回はなまけ視点からです
「ぐ・・・ぉぉ・・」
「ほらぁそんなにつけるから・・・」
衝撃的な刺激で体中がピリピリ痺れる。どうやらポンタ達が仕込んでいたハズレ調味料を引いてしまったらしい。痛みとかはないが、体中が痺れて上手くしゃべることが出来ない。そして座っていることも出来ず仰向けで倒れ込んでしまった。
そしてそれを見てニヤニヤするポンタと大声で笑うココア。余程変な顔をしているのか、ユウですら笑いをこらえている。
「・・て、てめ・・・ら・・・」
「だから言ったよ、「付け過ぎたらヤバいって」さ」
確かにポンタはそう言った。聞かなかったのは俺だ。
見た目がケチャップだし、ポンタも使ってたし、他の調味料が特に問題なかったから油断した。
しかしポンタ。こんなにヤバいやつならもっと強めに止めろ。
「あははははっ。見てっ! なまけのあの顔っ!!」
「ココア。こういう時にカメラを使うのよ」
「あっ。そうだね!」
「大丈夫。なまけが食べた時から録画してる」
「や・・・めりょお・・」
止めて欲しいが、止める術はない。体が動かせるようになった時には、ココアに全身撮られた後だった。
ココアはポンタに隠れる形で、
「ふぅー、たいりょーたいりょー!」
「今すぐ消せっ!」
「やーだよー」
「ちっ」
逃げるココアを追うには体の痺れが抜けてない。
それにどうやってもココアが消す訳がないので、飽きて消してくれるのを待つしかない。
「はぁ・・・。おいポンタ、これ何入ってんだよ?」
「その辺の木の実だけ。スパイスに毒入りちょっと入ってるけど」
「やっぱり毒かよ!」
「害は痺れるだけだけど、付け過ぎなければ何ともないから」
「そうね。寧ろちょっとつけるだけなら逆にありだわ」
「・・・確かに」
ユウのやることをまねて食べてみる。確かに舌先がピリッとする程度で特に何ともない。寧ろある方がいい。他の調味料に混ぜると更にいい。
「でもこれは違う意味でもありね」
「違う意味?」
「戦闘でも使えそうってこと。毒の実の用量換えて、相手の口に入れるの」
「「「!!!?」」」
ユウの提案に衝撃を受ける俺ら。
まさかそんな鬼畜思考だったとは・・・
「え? おかしなこと言った?」
「鬼だね」
「悪魔~」
「いや死神だ、あだぁ!?」
何で俺だけ叩かれんだ? ああっ、手の届く範囲に居たせいか。
ユウは1人納得できない様子で、
「何でよっ!?」
「食えばわかる」
そう言って俺はデスソース(仮)をユウの魚にタップリかけてやった。獲ってきた中で1、2を争う美味い魚のやつにだ。
「ちょぉ!? 何してるのよっ!!」
「まぁ食えよ」
「そうだよ食えよ~」
「食べたらヤバさ分かるよ」
「嫌よ痺れるじゃない!」
俺の様子を見ていたから、嫌がるユウ。面白そうだと乗っかるココアとポンタ。
ユウは押し付けられた魚を頑なに食べようとせず、最終的にはスキルで魚を灰にしやがった。なんてもったいないことを・・・
「「ああ~・・・」」
面白そうなことが見れなかったココアとポンタが落胆の声を上げる。
「はぁはぁ・・、何なのよもー・・・」
「食ったら分かるが、これかなりヤバいからな? 一度戦闘で使って広まったら、以降はソースの入れ合いばっかりの戦闘になるけどいいのか?」
「・・・それは嫌」
「だろう? なら止めとけ。それに冒険者相手ならまだしも、プレイヤー相手だと相手を不快にさせるし、下手したらBANされるかもしれない。だから変なことはしない方がいい。なぁココア?」
「やばっ!?」
「待てぇ! 逃がすかぁ!!」
デスソース(仮)を持って後ろから忍び寄ってきたココアは、俺が振り向くとデスソース(仮)を放り投げて逃げ出す。流石にそろそろお仕置きが必要だ。俺はポンタの肩を叩き、咄嗟に追いかけた。
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なまけものに肩を叩かれた時に、その意図を理解する。
2人っきりにするから、今のうちにユウさんとのギクシャク状態を元に戻せと言いたいのだろう。状態としては大分いつも通りに戻ったと思うが、まだちゃんと謝ってはいない。引き延ばすと余計に言いにくくなるので、ここはなまけものの配慮に感謝しつつ今のうちに言っておこう。
ただし、
「あああぁああぁああ!!」
ココアが放り投げたデストロイソース(僕命名)がユウさんの顔にかからなければね・・・
取り敢えず顔洗う水汲んでこよう。
次回更新は3日後の予定です