326.調味料を作ってみた
なんやかんやあって数種類の調味料が完成。
「・・・何と、か・・・出来た」
「う・・・ん」
しかし僕とココアは満身創痍。ある調味料が超刺激的すぎて舌がうまく動かせない。あと体が少しピリピリする。
原因は毒のある木の実を入れたせいだ。
ちょっとピリってした方が良いかなと入れたのだが、煮込んだらおかしくなった。
しかしせっかく作ったのでちゃんと使う。ワサビやタバスコなどと一緒で用量を間違えなきゃ良いのだ。
あとロシアンルーレットにも使えそうだし。
「へっへー、大量大量っ!」
「久々にいい調子だったわね」
「「おかえりー」」
痺れが切れた頃、2人は平べったい石に大量の魚を乗せて帰ってきた。大小様々な魚がおり釣果は良かったようだ。
しかし当初の予定だったあの魚は釣れたのだろうか?
「どうだった? あの魚釣れた」
「・・・釣れねぇ」
「そんなにレアだったの? アレ」
「何? あの魚って?」
「めっちゃ美味い魚。ステも上がる」
「えー! 私も欲しいっ!」
「残念だがココア、全部コイツが食いやがったんだ」
おい待てなまけ、お前ら毒だからって食わせてきたろ。
毒味させておいてその言い方はないんじゃないか? 超刺激的ソースを味覚感じるところに塗り込むぞ?
「ん? 何だそれ?」
「その辺の木の実で作った調味料。無味のまま味わうのあれだし適当に作ってみた」
「どーよっ見直した? まぁまぁの出来だよっ!」
何故見てただけのココアが威張るのか知らないが、採取してくれたので何も言わないでおく。
しかし直ぐに「お前は作れんだろ」となまけもの達にはバレている。
「しかし流石気が効くわね。これだけの魚、焼くだけだと飽きるからどうしようか考えてたの」
「だよな。じゃあ早速食べようぜ」
というわけで各自手頃の棒を用意し、食べたい魚に突き刺してそれぞれ好きなように焼いていく。と言ってもその魚が美味いのかは全く分からないのでここはギャンブルだ。とりあえず無難そうな形のものをまずは選ぶ。
「一応聞くけど毒無いよね?」
「「知らない」」
だよな。
「それっぽいのは捨てたけど、正直分かんね。さっきのアレが美味いんだろ? もう見た目じゃ判断出来ん・・・おっ、もう良さそうだな」
なまけものは小さめの魚を一つ手に取る。いい感じに焼きあがっており、中に火を通す為の切れ込みからは白い身ががホクホクと湯気を立てていた。
なまけものはそのあと、各自に振り分けた調味料を眺め、
「なぁ? どれがおすすめだ? というかこの木の実は?」
「それはレモンみたいに搾ってかけるやつ」
「へぇー、いいわね美味しそう」
「ふーん。俺も一応聞くけど毒ないよな?」
「あるよ。スパイス感覚で入れた」
「あるんかい! ・・・まぁいいや、お前のことだしヤバくはならんだろ。で、どれが美味い?」
「そこは秘密」
「何でだよ!?」
それに味覚は人それぞれだ。だから言わないでおく。
その反応になまけものが疑いの目を向けてきた。
「・・・やばいのじゃないだろうな?」
「全部僕とココアで味見済みだよ」
ヤバめなのはあるけど「あるよ」とは言わなかった。これも人によるからね。
次回更新は3日後の予定です