325.上陸してみた③
「あーっ! バーベキューしてるぅ!! ずるい」
「あれ? 氷像はもういいの?」
「誰も来ないし飽きたー」
まぁ予想通りの答えが返ってきた。しかし思ってたよりは早かった。見せる相手が居ないからかな。
「なまけ達は?」
「あそこで釣りしてる。苦戦してるみたいだけどね」
海に突き出た岩場の先で2人そろって釣りをしている様子が見えるが、なまけものの動きから目当ての魚は連れていないらしい。しかし何かしらは釣れているようで、釣果自体は悪くなさそうだ。
「それで何でポンタは1人でバーベキューしてるの?」
「してたのもなまけ達だけどね。2人とも急に釣りしに行っちゃったから」
「ふーん。あ、それ食べていい?」
「いいけど・・・どうやって食うのさ?」
ココア本体には口が無い。正直どうやって食うのかずっと疑問だ。もしかして本体に口でもついているのか?
「こうやって」
聞くとココアが実演してくれるらしい。
ココアの氷体一部に穴が開き、本体が出てくる。そこに焼いたキノコを持って行くと、キノコが突如消えた。どうやら口が無く食べる動作は無いけど食べれるらしい。変な感じだ。
「・・・美味しくない」
「そりゃ焼いただけだし」
そもそもそこら辺に生えていたキノコをなまけものが適当にとってきたものだ。味どころか、毒キノコの可能性すら大いにある。
しかし毒だと明らかに変な味がするので、ここにあるキノコは大丈夫だろう。ただ毒の無いキノコは味が無いに等しいので美味しくない。
そこで、
「ならココア、実験する?」
「実験!? するする~!」
流石ココア。この手の話には中身を聞かずに乗ってくる。
僕はテンションが上がるココアに実験用品を見せた。といってもその辺で採ってきた木の実だが。どれが何の実かは知らないが、全部食べて毒ではないことを確認している。毒だった実はさっき焼いて不味く頂いた。
「? この木の実で何するの~?」
「美味い調味料を作る! と言えればいいんだけど、ただ潰してキノコに付けて美味いかどうかを試すだけ」
「なーんだ、それだけぇ?」
「・・・それだけだね」
地味過ぎたのか、そのテンションは一気に元に戻ってしまった。それでも2人が魚を取ってくるまですることもないので、実験を始める。
「でもどうやって調味料にするの?」
「すり潰したり、煮たりかな。あと搾るとか?」
「搾るだけで良いの?」
「その白いのとかだったら良いんじゃないかな。オレンジみたいな味だし」
酸味が魚に丁度良さそうなので、これは搾るだけで良さそうと思っている。
ココアは数個あるうちの1つを食べて。
「あっ本当だ。ちょっと酸味強いけどイケる」
「だからって全部食べるのは無しね」
気に入ったのは分かるが、2つ目は食うな。それ現在唯一上手いと確信してる調味料だぞ。
「じゃあ採ってくる!」
「その辺のちょっと高い木のについてるよ。あと他にもあったら採っといて」
「りょーかーい」
ココアが森の中へと消える。
それを見届けて僕は他の調味料作りを開始する。さてどうしようかなとかんはえるも、その辺の窪みのある平べったい石に木の実を入れて煮たり、石に挟んですり潰したり・・・くらいしか出来ん。
なのでそれぞれの木の実でその2パターンを作ってみた。
次回更新は3日後の予定です。