311.海戦してみた②
「テメェら!! よくも俺の船をっ!!」
黒い塊が声を荒らげる。顔がないので分からないが半分涙声なので若干申し訳ない気持ちになり取り敢えず頭を下げた。
まぁこれから奪うんだけどさ。
「すまんすまん。でも不可抗力という事でここは一つ。ちゃんと消火したし」
「溶けてんじゃん!!」
「生憎水関係はそれしかなかったんだよ」
その間にも他のプレイヤーから攻撃が飛んでくるので、少し船から距離を取る。飛んでこないところを見るに飛べる奴は居ないようだ。
なまけものがくるまでちょこまかと飛び回り相手のSGを減らし続ける。
「制限されてもやっぱり飛べるってだけで結構有利に立てるわね」
「陸だと相手も動けるけど海の上だと確かにね」
そしてその間に状況を整理。
まず相手の人数は船の上の5人と、落ちたと思われる1人の計6人。その人数の相手は初めてだ。ここは慎重に行くべきだろう。正直海上戦で良かった。地上なら100%なまけもの達が来るまでに負けていた。
「落ちた人どうなったのかしら?」
「さぁ? 上がっては来てないね」
「なら少し海上にも注意した方がいいわね。マーキングどう? 私3人出来たけど」
「こっち4人。1人が隠れてるのか見えない。出来たのはKASUTAOU、( ´∀`)、ノリタマスケ、スターマン」
「KASUTAOU、ノリタマスケ、・・・え、・H・?」
「それも顔でいいんじゃない?」
「じゃあ顔2で」
落ちた誰か以外のマーキングを共有する。ユウさんと合わせて丁度5人分。
名前:KASUTAOU
種族:メタル・エレメント(4)
名前:( ´∀`)
種族:ドラゴンリザードキング(5)
名前:ノリタマスケ
種族:雷雲獣(5)
名前:スターマン
種族:トキシックスライム(4)
名前:・H・
種族:ソニックタイガー(4)
全体的に種族レベルは僕らよりも低めだ。
攻めたのはこちらが先だが、先制攻撃してきたのは向こうだ。なのでレベルシンクも発動していないし、ステータス的にはこちらが有利とみて良いだろう。とはいえ人数的には向こうが有利なので楽観はできないが。
「どぉおすんだよ!? マストどうやったら直んだよぉぉお!」
「まだ怒ってる・・・」
「・・・戦闘中なんだけどね」
KASUTAOUはまだこちらに怒鳴ってくる。馬鹿なのか、空気読めないだけなのか・・・、いや、ただ船への愛着が凄いだけか。さっきからの言動を見る限りだけど。
相手の味方もこれには苦笑いしつつも諦めている。と言うことはいつもこんな感じなのだろう。
放っておいてもいいけど、とにかく煩い。
ポンタ :なまけ、壊れた船ってどうやったら直るんだ?
なまけもの :一回送還・・・1回消して、召喚し直したら直るけどなんで?
ポンタ :持ち主が煩い
取り敢えずなまけものから言われたことを伝える。
面倒だが無駄にSGを消費して船の耐久値を戻してくれるんだ、こちらにもメリットはある。
「本当か!? よし、まずは一旦消すんだな!」
「あっ、バカ待て!」
味方が何かを察して止めに入るが一足遅かった。フッと船が消え乗っていた全員が海へと落ちた。そして急な事で全員がその場で溺れる。
「「・・・・・」」
まさかの光景に僕もユウさんもどうしていいか分からない。しかしKASUTAOUのせいでずっと調子が狂いっぱなしだ。正直目の前でアップアップしている相手プレイヤーを見ると戦闘する気力さえ無くなる。
それになまけものたち来ないし!!
「どうする? アレ」
「・・・助けるのもアレだし、かと言って攻撃するのも・・・なんか悪い気がする。ユウさんは?」
「・・・私もそんな感じ」
呆然と見てると、黒いブイが浮いてるように見えるKASUTAOUがまた騒ぎ出した。
「謀ったなぁああ!」
「「「「お前がバカなだけだ!!!」」」」
直後KASUTAOUは味方からフルボッコにされていた。
次回更新は3日後の予定です。