304.ステータスをアップしてみた
「「うぇーい!」」
前脚でのハイタッチは僕の体の構造上難しいので、頭突きでなまけものとハイタッチ。
守護騎士はあのまま壁に突き刺さりそのまま消える。そして中央の台座が光出す。
「ふぅ・・・、何とか勝てたわね」
「一撃で済んでよかった。あれ耐えられてたら負けてたかも」
少なくとも僕は死んでたと自身の残りHPを見て確信する。
その言葉になまけものもうんうんと頷き、
「だよな。まさかSG尽きるとは思ってなかったぜ」
「それはなまけが無駄撃ちし過ぎるからよ」
「いやいや、『陽炎』だっけ? あれの所為だろ。一瞬とはいえ無敵とかないわ」
「でも道中意味もなく無駄撃ちしてたよね」
「してた!」
わはははとわらうなまけもの。正直途中の寝落ちなど言いたいことはまだあるが、こちらもそろそろ眠気が来ているので突っ込むのは止めた。
僕は小さくため息をつき光る台座へと近寄った。すると台座上に光の文字が浮かんでいるのが見えた。
そこには、
[力を守る騎士を打倒した冒険者よ。望むのであれば力を分け与えてやらなくもないぞ]
「何様だよ、ただの台座ごときが」
「なんか随分上から目線よね・・・。どうでもいいけど」
「というか冒険者って・・・。これ人間用?」
「となるとここは人間用に作られた試練って感じか?」
「文字出てる時点でそうなんじゃない? 人間からすると魔物は文字読めない認識だろうし」
「確かにな。まぁ力は魔物だろうが貰えるようだし、良さげなのを貰おうぜ!」
「「おー」」
少しワクワクしながら、何が貰えるのかのリストを開く。やはり『陽炎』とかの新規スキルを手に入れたいと思ったが、表示されたリストの内容はしょぼかった。
「・・・スキルは『鎌鼬』のみ。後はステアップだけかよ」
「スキルこれだけ?」
「みたいだね。次のページとかないし」
『鎌鼬』も遠距離攻撃なのであると便利ではあるが、持っているスキルで十分代用できる。ユウさん的にはアリだろうと思ったが、本人曰く『火炎』で十分だそうだ。そもそもユウさんはSGが少ないので、SGを消費するスキルは基本要らないらしい。
「俺もいらねぇ。魔力アップにしとくか、いや今回のことを考えるとSGアップか?」
「僕はスピード。ユウさんは?」
「パワーよ」
「「・・・・・」」
「何で黙るの? 攻撃力が高ければスキル使わなくても楽に戦えるでしょ?」
「・・・そうだね」
「ユウならそれでも問題ねぇか・・・」
ぶっちゃけユウさんにはもうパワー要らないと思うけど、本人がそれでいいのならいいや。
それぞれ欲しいものを選ぶと台座から光が消える。インフォの欄に[スピードがアップしました]と表示されたが、相変わらずどれだけアップしたのか不明だ。その上体感でも分かるほど変わったわけでもないので、ちゃんと貰えたのか分からないまま終わった。
「で? どうやってここから出るんだ?」
「あれじゃない? さっき出て来てたわよ」
ユウさんの示す方向にあの箱がいつの間にか置いてあった。あの海底から引き上げた箱だ。しかし今回は鍵は付いていない。
「宝箱?」
「な訳ないだろ。どうせ同じだ」
「・・・だよね」
中には十中八九帰り用の転移装置が入っているのだろう。
何か違うものが入っていて欲しい気持ちもあるけど、そうなると出口何処?と探し回らないといけないので、眠気が出始めた今となっては転移装置の方がありがたい。
「んじゃ帰るか」
「そうね」
「うん」
なまけものはそう言って僕らの了解を得た後、箱を開ける。あの時と同じように目の前が真っ白になりまたあの浮遊感に襲われた。
そして目が見えるようになった時、僕らは森の中に居た。
船へは帰して貰えなかった。
「何処だよ!!?」
そしてなまけものは絶叫した。
次回更新は3日後の予定です