303. 守護騎士と戦ってみた③
「痛い!」
「耐えろ、俺の盾よ!」
現在なまけものの『生魔吸収』によるSG回復待ち。この『生魔吸収』範囲が思った以上に狭くなっており、守護騎士からSGを吸い取る場合は相手の攻撃範囲内に入る必要がある。
その為に急遽作戦を立てたが、まぁ酷いものだった。
簡単に説明すると、なまけものが魔法を撃てるようになるまで僕が盾になり、魔法を撃てるようになったら乗騎中のユウさんが『陽炎』を誘発させる。『陽炎』の効果が消えたらなまけものが止めを刺すというもの。
結果、僕だけが痛い目に合っている。
ある程度は乗っているユウさんが弾いてくれるが、それでも僕の足元とかへの切り払いなどは流石に剣が届かずガード出来ない。ジャンプなどで避けることは出来るが、相手の動きについていけないので基本は食らう。
我慢しているが・・・いい加減なまけものが笑いを堪えつつ「耐えろ」と言い続けることにイラっときた。
「・・・『蜃気楼』」
「あ! てめぐはぁ!?」
なので回避。直後僕の後ろに居たなまけものに『鎌鼬』が直撃する。ふふふ、ざま痛っ!?
してやったぜと思ってたら、ユウさんに頭を剣で叩かれた。
「ちょっと! 遊んでないでちゃんとやって!! なまけ死んだら勝てないのよ!」
「・・・すみません」
渋々再度なまけものの盾になる。
定期的に『強再生』を使いつつ、なまけもののSGが回復するのを待つ。しかし守護騎士の一撃は重いので、なまけものの準備が整う前にSGを使い切ってしまった。
「SG無くなった! なまけまだ!?」
「あとちょい! あとちょっと!!」
焦って聞くが、なまけもののSGはまだ足りないようだ。振り向けないが、なまけものも声から焦っているのが分かる。
僕の残りHP的に後2回は守護騎士の攻撃に耐えられるが、攻撃頻度が高い守護騎士相手だと数秒しか持たないだろう。しかも連撃もしてくる。
何が言いたいかと言うと、もう無理。
あっさり2撃受けて、最後の振り下ろしが来た。咄嗟に気持ち後ろに下がったが、それでも剣先が届きそう。
そう直感した時、動いたのは体ではなく口だった。
「お疲れ様でした」
「諦めないでよっ!」
ギィイン!
咄嗟にユウさんが剣を首の前に回して受け止める。お陰でお疲れ様しなくて済んだ。代わりにガードしてくれたユウさんの剣が首の付け根に食い込む。
「うぐぐっ・・・」
「我慢よポンタ!」
「い、いや・・無理・・・。ス、『スケイル・・・ショット』」
『!?』
ガガガガッ!
一点集中で『スケイルショット』を当てる。守護騎士は咄嗟に剣でガードしたが関係ない、撃ち続けて相手の動きを封じる。残弾数はまだある。十数秒ならこのまま留められそう。
直後、後ろからなまけものの大声が。
「来たぜ! ポンタァ!」
「来たか!」
「ならすぐ準備して! 行くわよ『狂炎舞』、『炎撃』!」
ユウさんは僕の背中で跳び、空中で『狂炎舞』を発動させつつ『炎撃』を発動。そのままガードして頭がガラ空きだった守護騎士へと剣を振り下ろす。
今までの感じから守護騎士は受けると危険だと判断した場合『陽炎』を使うと推測できる。そしてユウさんの通常攻撃でも『陽炎』使うところから、『狂炎舞』まで使った攻撃だと100%使うと確信した。
『『陽炎』』
その確信通り、剣が当たる直前にその姿が揺れる。そしてユウさんの剣はすり抜けて地面を抉った。
しかしユウさんは気にせずその場からすぐに飛び退く。僕もすぐに飛んだ。
「「なまけ!!」」
「おうよ! 『アクアxファイアxファイア』ァア!!」
揺れが消えた直後、守護騎士は水のレーザーに貫かれた。
次回更新は明々後日の予定です