301.守護騎士と戦ってみた①
名前:守護騎士の霊<炎>
職種:守護霊
ランク:B
「まんまね」
「だね」
台座から噴き上げた炎はそのまま騎士の形を作り、両手で身の丈以上の大剣を構える。すぐ側にいたなまけものは熱さにビックリしながらこっちへと逃げてきた。
「あっちあっちぃ! あーもう! いきなりとかないわ!!」
「火入れるからだろ」
「んなこと言われてもよ〜」
「でも目は覚めたんじゃない?」
「ちょっとはな、けどまだヤバい。戦闘中は頑張るわ」
そう言うとなまけものは後ろへと下がって行く。ユウさんは腰の剣を抜きつつ前へ、どうやら今回は僕に乗らず戦闘をするようだ。確かに天井は低いし飛び回ることができないので乗らない方が正解か。
「じゃあ上から援護する」
「了解、合図するわ」
「後ろで隠れとく」
「「戦え!」」
「へいへい。じゃあ『アクア』チャージして待機しとくわ。ユウは射程に入るように後退しつつ、ポンタは躱せないようにフォロー頼むな」
「「分かった」」
頷き僕は飛ぶ、直後ユウさんと守護騎士が眼下でぶつかり合う。同時にユウさんが『炎陣』を発動させたので一気に二人の周囲が暑くなる。
「あら、そっちも『炎陣』? 面白いじゃない!」
「作戦忘れんなよ~?」
「SGの使いすぎも注意してね」
どうやら守護騎士も『炎陣』持ちだったらしい。ユウさんのHPがもの凄い遅さではあるが減り始めている。あまり気にしなくて良さそうではあるが、減ってはいるのであまり呑気にしている余裕は無いな。
相手のSGは無限、つまり『炎陣』は消えないからこのまま続けばユウさんが確実に負ける。
「さて、どう攻めるか・・・」
取り敢えず天井付近に移動し、守護騎士の後ろを狙える位置にスタンバイ。『溶解液』を使うか、『スケイルショット』にするか考える。相手は炎を塊だ。一応鎧や剣を持っていて人の形をしているとはいえ、体部分は炎で出来ているのでどちらも効きそうにない。効くとすれば『溶解液』が剣や防具を溶かすくらいか。
しかしあの守護騎士、ユウさんと普通にやり合ってる・・・。
「そこ! 『炎撃』」
『『陽炎』・・・』
「あれ? きゃあ!?」
タイミングを見計らっていると、ユウさんの『炎撃』が守護騎士を真っ二つに切り裂いた。しかし守護騎士が使ったスキルの所為か、守護騎士はその姿が揺れるだけで、『炎撃』を受けた様子はない。ユウさんの声からするに手ごたえも無かったのだろう。
そして空振ったユウさんへ、守護騎士の一撃が当たる。咄嗟にガードをしたものの間に合わなかったユウさんが横薙ぎに振られた剣で吹き飛ばされた。そのまま壁沿いまで転がる。吹っ飛び具合から思ったよりも攻撃力が高いようだ。それを示すかのように今の一撃でユウさんのHPが3分の1も減った。
「ユウさん!」
倒れたユウさんに追撃しようとする守護騎士に『溶解液』をぶちまける。視界外だったおかげかもろに当たったが、ダメージはあまり無い。防御力も高い・・・というよりも不定形の火が本体なので物理に強いだけのようだ。
だがそれでも攻撃を受けると多少のけぞるようで、その隙にユウさんを拾って天井付近へと避難できた。
「ごめん」
「いいよ、それよりなまけは?」
多少のけぞって動きを止めたのだ。なまけものの攻撃チャンスだったはず。しかしなまけものの攻撃は無い。いや、チャンスだと思ったのは僕だけで、なまけもの的には攻撃チャンスでは無かっーー
「zzz・・・」
「「寝てるっ!!」」
たわけでは無いようだ。
なまけものは首をカクンッと不定期に落としながら突っ立っていた。意識もないのでチャージしていた魔法もキャンセルさており、ただの的と化していた。
次回更新は明々後日の予定です