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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第5章 大規模アップデート
289/612

288.使用人と戦ってみた⑥

ハンセンの短剣回収は思ったよりも面倒だった。

てっきり多くて4本くらいかと思ってたのに、服の下からどんどん出てくる。一体何本仕込んでるんだと突っ込みたいくらいだ。


「ポンタ、また投げたわ! こっち来る」

「了解」


なので僕は延々といつ終わるか分からない短剣回収を繰り返している。

といってもこっちに向けて飛んで来た短剣を僕かユウさんが掴んで捨てるだけだ。持っててもいいが、その短剣にもし転移されたら面倒なので回収後に海へと落としている。


泳げないハンセンはこうするだけでもう拾えない。溺れるから転移も出来ない。


「じゃあこれもぽいね」

「何本目?」

「私だけで9は捨てたかな」


ユウさんがまた捨てた短剣が真下でぽちゃんと音を立てる。同時にハンセンの怒りのボルテージが上がっていく。


『主から頂いた我が剣をまた!』

「そろそろ高血圧で倒れそうね」

「そうだと楽だけどね」


どうやらイライラ度合いは逆転したようだ。こっちは対策が見えたので大分気が楽になったが、向こうは短剣に愛着でもあるのだろう。一本捨てるたびに怒り、攻撃が単調になりだしている。


とはいえ攻撃も激化しているので、倒しやすくなったわけではないけどね。

しかしさっきまでの遠距離ちまちま攻撃が減り、近距離戦闘が増えてきた。おかげでこちらの攻撃チャンスも増える。


「『炎撃』」

「『火炎』」

『ぬぅう!? くっ!』


僕らの攻撃にハンセンは怯んで離れる。

HPはまだあるが、さっきからこの調子で半分以上はHPを減らせた。転移回数も目に見えて減り、ハンセンを見失うことも無くなる。


「もう勝ったも同然ね、そろそろフィニッシュよ」

「・・・そうだね。そうなるといいね」

「? どういうこと?」

『短剣よ。我が命を糧に分身となれ、『ライフインクルード』!』

「こういうこと」


目の前でハンセンがまだ持っていた短剣をばら撒く。数は5~6本。その全てがスキルの発動とともに光出し黒い霧を纏っていく。そしてものの数秒で半透明の真っ黒なハンセンへと変わった。前置き通り分身だろう。分身は出来るやいなや、すぐさま僕らへと向かってくる。それぞれ個別でスキルが使えるらしい、『飛翔脚』を使用して後ろへ回り込む者もいる。


因みに本体は一番遠くで高みの見物。HPが減っているからか攻撃に参加する気は無さそうだ。


「もうっ! あと少しなのに!」


まぁこうなる感じはしてた。ユウさんがフラグ立てるから・・・。

しかし分身か。どのような分身だろう。HPやSGの残量から面倒なのは勘弁してほしいところ。そう願いつつ一番最初に近付いて来た一体を攻撃。・・・軽く躱されたが、回避直後のその分身をユウさんが変わりに切りつけた。


『----』


どうやら分身は声が出ないらしい。切りつけれられた分身は、痛がりつついったん後退した。

正直、攻撃を受けたら消えて欲しい所だったが、最悪なことに分身へのダメージは無い。押し返せるものの普通に攻撃してるだけでは倒せない様だ。


「効いてない!?」

「多分分身の依り代になってる短剣壊さないと無理かも。それか、本体を倒すしかないか」


とはいえ推測だけどね。

ただ依り代の短剣は場所が分かりやすいように淡く発光しており、あたかも狙ってくださいと言わんばかりの主張をずっとしている。黒い姿の分身の一部が光ってるの依り代の場所もすぐ分かる。


「あそこ狙えばいいのね」

「恐らく。とりあえず数減らして本体叩こう。僕は回避に専念するから攻撃宜しく」

「分かったわ」


これが最後の筈。出し惜しみせず僕らは分身たちへと突撃した。


~そのころ~


「くっそぉ、もっとジャンプ力欲しいぜ」


軽々マストを足場に跳んでったユウに対し、船から船へと跳ぶのがやっとのこの体。魔法メインなので多少は仕方ないが、やはりこういう場面だと移動だけで大変だ。

遠くでポンタやユウが楽しく戦闘してる。早く参戦したいのに船の位置が悪いのと、奴らが飛び回るせいで、なかなか魔法を撃てる所までいけない。


「ヤベェ、何か終わりそうな気配」


せめて一撃だけでも参加したい。

しかし長距離魔法を撃つにもあと船一隻分は移動しないと無理だ。次の船へと渡れば、なんか1人高みの見物してる奴には届く。

そんな慌てている俺の耳に水を叩くような音が聞こえ、


『ハァハァ・・・。な、何とか助かった・・・』

「何だこいつ」


なんか執事服を着た奴が船にしがみついてる。必死なところを見るに泳げないのだろうか。

その執事服は上を見上げ、


『くそっ! 急いで加勢しないとハンセンさんがっ!』


何やら慌てている。となると、


「『アクアxファイア』」

『ぎゃあああ!』


消すに限る。魔物じゃないから基本敵だし。

ちょい強めに攻撃したら、その執事服は放った水の魔法に飲まれ海の沖へと流されていった。少しして遠くの海にきらきらした光が見える。


「しかし何だったんだ? アイツ」


まぁどうでも良いか。

次回更新は明々後日の予定です。

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