283.使用人と戦ってみた①
名前:執事長ハンセン
職種:執事
ランク:A
名前:ボートー
職種:執事
ランク:C
名前:ガレオン
職種:執事
ランク:C
名前:カヌウ
職種:メイド
ランク:C
メイドのカヌウを除く3人は執事とは思えない動きで一気に攻めてくる。慌てて上昇するも、彼らはマストを跳躍だけで登って来た。
「そこらの冒険者より強いじゃんかぁ!!」
マーキングして愚痴る。真っ先にマスト先端に立ったハンセンが僕に向かって投げてきた短剣を首を捻って回避。別の首で『火炎』を吐くも、ハンセンは軽々躱してくる。
その回避を見て当たる気が全くしない。まるでこちらの動きを読んでるかのようだ。
『死ねぇ!』
『落ちろ!』
「い!? 『蜃気楼』!」
別のマストから跳躍してきたボートーとガレオン。薙刀と直剣が左右から襲う。咄嗟に『蜃気楼』で回避してしまう。ううっ、SGが地味に減る。
くそう、他2人の攻撃が邪魔だ。この2人も動きが早いし、攻撃の威力も高そう。無視はできない。
ハンセンだけでも手こずるのは確定なのに、彼らも視野に入れて戦うのはキツイな。
なので、一旦距離を取って様子見。周りに停泊している船を盾にして彼らの出方を伺ーー
『背中にも気を付けたまえよ』
「!?」
いつの間にか背中にハンセンが乗ってた。振り落とすために暴れようとした矢先、強いかかと落としを背中に受ける。
「刺さる、刺さる!!」
受けた衝撃で落下、真下に停泊している小さい船のマストがお腹に刺さりそうになる。ギリギリのところで止まり、再度飛翔。背中を確認したがハンセンは居ない。恐らく落下中に何処かの船へと逃げたのだろう。
幸いかかと落としのダメージは少なかった。念のため高度を上げて跳躍では届かない高さまで逃げる。そして停泊している船全体が見える所でストップ。
まずは状況確認だ。飛行ゲージが減っているからあまり長居は出来ない。急いで相手の位置を把握。
メイドは元の船に乗ったまま。ボートーとガレオンは真下辺りの船のマスト天辺。ハンセンもすぐ横の船のマストに居た。
メイド以外が固まっているので、ねらい目は1人離れているメイドだ。
だがあの船での戦闘は避けたい。折角見つけた良さげな船なので、出来れば傷つけたくない。
「まぁそうも言ってられないよなぁ。あまり時間かける訳にもいかないし」
あれだけの人数が参加しているのだ。雑魚が倒され、そろそろこの港町のボス戦が行われてもいい頃合い。目の前の彼らがボスにも見えるが、そうだとするとそれを知っているプレイヤーが今頃港に集まっている筈。
それが無いってことは、彼らはボスじゃない。予想だがこの港町の乱戦エリアとは全く関係ない強キャラだろう。
どうやら調子に乗ってババ船を選んでしまったようだ。おとなしく無個性のその辺の船にしておけばよかったよ。
「はぁ・・・痛っ!?」
ため息ついたら首の付け根辺りに何かが刺さった。ハンセンの短剣だ。
「え? あそこから投げてき・・とぉお!?」
もう一本来た。
跳躍してこれないからと安心してたのが良くなかった。止まっているのは良くないと、慌てて場所を変え、メイドを倒すために僕は急降下を始めた。
次回更新は明々後日の予定です