280.港町へ行ってみた
「というかさ、あんまりよく聞いてないんだけど、結局何がどうなったんだ?」
「海の上飛んでる最中に僕が強制ログアウトした」
「ポンタが急に消えたから海に落ちた」
「あー・・・なるほどね」
今は3人でユウさんが見たという港町に向かっている。ユウさんとなまけもの2人を乗せて飛ぶのはきついので、元々行く予定だった島には後日1人で行こう。
港町っていうくらいだし、船があれば奪って行くのもいいな。
動かせれば、だが。
「ところでその港町ってのはデカいのか?」
「そこそこだと思うわ」
「そこそこか・・・。俺らだけで勝てるかな?」
「ココア呼ぶ? 来れるか知らないけど」
「無理だろ。あいつ今熱海だったかの別荘へ行ってるらしいぞ。昼頃自慢げに連絡してきやがった」
「別荘・・・」
「そういえば休み前にそんなこと言ってたわね~」
いいなぁ別荘。
実家にはもう居場所の部屋は無いので、別荘のような自分だけの空間が欲しい。
しかしそれならココアは無理だろうな。仕方ないので3人で挑むことにする。
「まぁ勝てない場合は逃げればいいからな。気楽に暴れようぜ」
「後ろから撃つだけのなまけものは良いわよね」
「だよね。こっちは前線に出て戦わないといけないし、逃げたくてもすぐ逃げられん」
「はっはっは。それが後衛の良いところだぜ」
まぁ上空に逃げればいいので、言うてそれほど難しくは無いが。
「とはいえ地形次第だがな。多分家とか建物多いだろうし、攻撃は屋根とかに上ってしなきゃならんから、場所によっては俺も逃げられないな」
「「じゃあ殿宜しく」」
「お前らには助けるという選択肢が無いの?」
状況次第かな。
大体逃げる状況の時ってかなりヤバいだろうし、なまけものに気が回るか不明だ。極力は助けに行くつもりだが・・・。
と、丘を越えた僕らの前に大きな町が見えてきた。ついでに大勢の魔物。皆町から少し離れたところで集まっている。
「あれ? アレがそう?」
「うんアレ。でも何あの人だかり」
「さぁな。イベントでもあんのか?」
争っている様子はない。
ただ、何かをしている様子でもなさそう。ただ皆が何かを待っているかのようにその場で待機している。
その最後尾付近というか、一番近くのプレイヤーに聞いてみた。
「何この集まり?」
「ん? ああ、あの町今から攻めるんだって。デカい町だからみんなで一斉に攻めるんだ」
「へぇ。何時から?」
「9時。あと5分ちょいでスタートだ。あんたらも参加するのか?」
「ん~・・・」
教えてくれた親切なデカいスケルトンさんにそう聞かれ考える。やはりあの町は前の村同様乱戦エリアらしい。しかも村よりも大きいので一度に参加できる人数もかなり多い。見る限り待ってる結構人数はかなり多いが、まだ参加可能のようだ。というか限界ってあるのかな?
考えたが、正直僕はどちらでもいいので2人に振った。あの町には興味あるが、それは乱戦じゃないし。
「参加ねぇ・・・。まぁやらない理由は無いよな」
「そうよね」
「じゃあ参加で。えと、どうしたらいいのかな?」
「ここで待ってりゃいいだけだ。あそこの門が開いたら入って戦うだけだからな。基本早い者勝ちだが、一応マナーはあるからな。注意しろよ」
「どうも」
お礼を言って少し離れた場所で待機。残り5分ならそれほど待つ必要も無いのでHPやFGの確認だけを済ませて、ちょいネットを確認。
後ろではなまけものとユウさんが、何やら作戦を練っていた。
「先手必勝よ。ポンタで一気に中心まで行って殲滅が速くて確実」
「行った瞬間ハチの巣になるわ!! こういうのは屋根の上から狙い撃ちして倒すのが楽且つ確実なんだよ」
「そんなちまちましたことするの嫌っ! じゃあ私が攻めるからなまけはそこから援護ね。ポンタは囮になってもらって冒険者の注意を逸らしてもらう。これでどう?」
「分かった。ポンタもそれでいいか?」
「いいよ」
どうせそうだろうと思ってたから異論はない。
囮役か、ユウさんの足役のどちらかだと思ってたが、今回は囮役か。
丁度いいや、さっきからずっと見えてて気になってるんだよね。アレが。
次回更新は明々後日の予定です