273.呼んでみた
「「・・・死んだ」」
「でしょうね」
何処かで死んだレンゲと、戦闘開始早々メイスによるホームランで星になったショウ君が僕の前で消沈している。
1つ言えるのは、ショウ君無策過ぎんよ。僕からすればステ的に雑魚だが、始めたばかりのショウ君にはキツい相手だ。なのに真正面から体当たりしていくとか・・・。
「チュートリアルではあれで倒せたんだ」
「そりゃチュートリアルだからね。・・・こりゃどこから教えたらいいかな・・・」
と言ってもルールというものはこのゲームにはほぼ無い。好きにプレイするだけだ。なので教えるとしたら戦闘くらい。後はステータスの上げ方?とかか?
しかし僕に向かってくる冒険者はさっきと同様レベル。彼らに合った冒険者は僕を見ると多分逃げるし戦闘を教えるのはキツい。
かと言ってステータスを上げるやり方・・・と言ってもキノコ食うくらいしか僕は知らないぞ。あと最初からそれやったら2人とも速攻で飽きそう。
そもそもレンゲは言うこと聞かないだろうけどね。
「・・・・・ふむ」
仕方ない。呼ぶか。
・・・
・・・・
・・・・・
「ポンタ来たぜぇ!!」
「煩いなもう」
無駄に元気ななまけものを召喚した。本当に暇だったのだろう、呼んだ2分後にはログインして合流して来やがった。
「何だよぉ、MWR持って帰ってるんなら言えよな!」
「すまんすまん。やるつもりは無かったから言わなかったんだよ。というか呼んでおいてなんだが大丈夫なのか?」
「OK、OK! 暇だったしな。夕方まで寝てたし、目もバッチリだぜ」
「速攻生活バランス崩してやがる・・・」
「長期連休最高!」
ゲームできて嬉しいのか、ただ連休初日でテンションがおかしいのか、昨日にも増してテンションが高い。この調子だと連休最終日はどうなってるのだろうか。
まぁどうでもいいか。
「ん? そっちが言ってた2人か?」
「「!?」」
「ああ、そうそうーー」
なまけものはいつの間にか僕の後ろに隠れていたレンゲとショウ君に気付いた。同時にレンゲが更に隠れる。
「何してるのさ?」
「意外かもしれないけど姉ちゃん人見知り何だよ」
「マジで? 僕の前ではあんなに暴虐無人なのに!?」
「慣れたら問題ないけどぉ・・・初対面とかはダメなの」
「雄・・・ポンタ君知らないと思うけど、あの態度俺らの前だけだぞ。周囲の人には普通に接してる」
「マジで!?」
その周囲に接する接し方を僕にも適応して欲しい。そうすれば少しはマシになるのに・・・。まぁ今の人見知りモード? の方が大人しくて助かるけどね。
「さっき言ったけど、この人がなまけもの。僕の同期ね。馬鹿でいい加減で、適当な奴だけど、このゲームに関しては詳しいし悪い奴じゃ無いから、困った時は頼ると良いよ」
「紹介やり直せ!!」
「あとこんな感じで適当に言ってもちゃんと突っ込んでくれるから」
「この人ってポンタ君のパーティの突っ込み要員なのか?」
「まぁそんなとこーー」
「違うわ!! いいか? 俺はパーティの頭脳であり、まとめ役で、超火力の遠距離攻撃を行う出来る後衛だ。ちなみにコイツは俺らの乗り物」
「嘘教えんな!」
「やっぱり?」
「ショウ君違うからな!!」
ひとしきり騒いだ後、本題へと移る。とりあえず戦闘に関してなまけものの意見を聞いてみた。
なまけものは少し考え、何かを調べる。
「俺らの災害レベルだとまだ逃げないぞ。ただ、ポンタがさっき行ったフィールドは、始めたばかりにはきついだろうな」
「フィールドの位置によって冒険者の強さ違うのか?」
「一応な。フィールドをうろついている時に、その場所の冒険者調べられるぞ。で、この辺が初心者用のフィールドだな」
なまけものは見せてくれたマップの一部、オアシス横をトントンと突く。そこは僕がさっき行ったところの反対側だった。
「まぁ初心者用といっても、冒険者のレベル分からないし何とも言えないけどな。ただ全体的に装備が弱いから、まずは此処で戦闘に慣れて、ある程度戦闘してステアップするべきだと思う。理想は一回進化ってとこか」
「なるほど・・・」
流石なまけ。初心者フィールドは関係ないと思って気にしていなかった僕と違い、その辺もちゃんと調べているようだ。煩いけどやっぱり呼んでよかった。煩いけど。
「じゃあ早速行こうぜ。なまけさん!」
「まぁ待て。折角だから・・・」
今にも突撃しそうなショウ君を静止し、なまけものは僕を見た。
「何だよ・・・」
首をかしげる僕になまけものはにやりと笑った。
次回更新は明々後日の予定です




