269.スタートポイントを探してみた
「酷い目にあった・・・」
「だよねー」
「お前らが馬鹿なことやるからだろ」
「でも面白かったよね」
「ココア、また機会あったらやろうな」
「やろやろー」
「コイツら反省してねぇ!」
三つ首全部にたんこぶを作った僕とココアは頷き合う。鈍い音とともに僕の頭にたんこぶが増えた。
因みにこのたんこぶは新たに追加された機能、容姿アタッチメントで着けられる。これにより同じ魔物でも見分けを付けやすくしたりできるが、あえて体を傷だらけにし、こっちが弱っていると冒険者に錯覚させることも出来る。
「まったく・・・、バカやってないで先急ぐわよ。大幅に遅れてるんだから」
「いやなまけとユウちゃんの所為じゃんー」
「違うわよ。なまけの所為でしょ」
「おいおい、それは違うだろ。だいた・・やめようぜ、またコイツらやりだすぞ」
「「ちっ」」
チャンスだったのに・・・。
まぁ本当に進まないのでやめておこう。というか完全にいつもの終了時間過ぎてる。いい加減止めないと明日起きられないぞ・・・。
「なまけ、やっぱり一旦ログアウトするとまたオアシスからなのか?」
「ん~・・・それなぁ」
大した距離ではないので、また最初のオアシスからのスタートでも問題は余りないが、面倒ではあるのでこの辺からスタートしたいところだ。さっきからログイン時のスタートポイントについて調べているが、なかなか見つからない。
というかヘルプ項目が多すぎて、ログイン関連の説明がどこ書いてあるかが見つからない。
「おっ、あったぞ。えーっと?」
このパーティのデータベース担当のなまけもの。流石というべきかあっさりと見つけて1人読み始める。僕らも気になるのでその画面を全員が覗き込む。
小さい画面を見るためぎゅうぎゅうに顔をくっつけた状態でなまけものが分かったことを説明する。
「どうやら範囲限定のスタートポイントがあるみたいだぞ。そのポイントの一定範囲内でログアウトした場合、次はそこから始められるんだと」
「場所は?」
「書いてねぇ」
「場所は!?」
「探すしかねぇな・・・って、さっきから暑苦しいなぁ!!」
「「「あー」」」
なまけものが両手を振り回して押しのけ、その場に転がる僕ら。ヘルプの場所を教えてもらい、自身でも調べるがどうやら本当に書いていない。つまり・・・休みたかったら探せということだ。
「えー今から探すの~・・・」
「もう眠いよ~」
「しょうがねぇだろ。書いてないんだから」
ユウさんとココアは転がったまま起きようとしない。どうやら今のでテンションがガタ落ちし動く気が著しく下がっているようだ。気持ちは分かる。
が、そうも言っていられない。
「とりま上空から探してみる。そのポイントって目印とかあるのかな?」
「なんかネットで見ると祠があるらしいな」
「祠ね。了解」
「私も付いて行った方がいい?」
「いやいいよ。休憩しといて」
どんな祠かは分からないが、まぁ想像と大きく違うことは無いだろうし見たらわかるだろう。そう思いながら僕は1人大空へと飛び上がる。
「祠・・・祠・・・祠・・・」
ブツブツと口に出しつつ、三つ首を総動員して周囲を調べる。ゲーム時間が昼まで助かった。明るいので見やすいぞ。
僕は迷子にならないようにみんなの位置に注意しながら周囲を飛び回り続けた。
その頃・・・
「ねぇ、普通にネットで調べた方が早くない?」
「ああ、というかもう見つけたな・・・。結構近くにありそうだ」
「じゃあ私達先に移動しましょうか」
「だな。待ってからだと遅いし。着いたらポンタに連絡したらいいだろ」
飛行制限を気にしつつ必死に探す僕に「ネットで見つけたから早く来い」とチャットが来るのはもう少し後だった。
次回更新は明々後日の予定です