262.村へ襲撃をしてみた
次回更新は明々後日の予定です
カン! カン! カン! カン!
村の入口付近の物見やぐらに据え付けられた小さな鐘を、誰かが必死に鳴らしている。同時に村人たちがワーワー、キャーキャー叫びながら四方八方へと逃げていく。
そして村を出たところでフッと消える。
「消えるところゲームって感じするよな」
「するね。消えない方がリアリティあっていいんだけど」
「そうするとそいつら追いかけて遊ぶ奴出るだろ? 「何処まで逃げるのかな?」とかさ」
「ああ、なまけみたいなやつね」
「そんなことしねぇわ!!」
「おっと来るぞ」
消えた村人の代わりにポツポツある家から冒険者が出てくる。そしてあっという間に僕らを取り囲む。
さて、見た目は強くなさそうだが・・・
名前:ココノア
職種:村冒険者
ランク:E
うーん・・・。
やっぱりレベルが出ないとどれくらい強いのか分からん。ランクから大体の強さが分かるからまだいいけど、今までレベルで判断してたからちょっとやり難い。
大体ランクはAIの賢さレベルなので、ランクEだろうがレベルが高くステが高い冒険者に殴られると結構なダメージ貰う。だからランクが低いからと言って舐めてかかると、下手すりゃかなり苦戦する。
まぁ4人いれば舐めてかかっても問題ない・・・
「というかユウさんら居ないぞ!?」
「そりゃ俺らが勝手に突撃したからな」
確かに2人だけで突撃が、てっきり後ろから追ってきてくれてるものだと思ってた。ユウらの方を見ると、仕方無さそうにこっちに来ているのが確認できるが、少し距離がある。
正直戦闘開始まで間に合わない。
「じゃあポンタ、久々に連携と行くか?」
「連携って・・・、それ乗せろって意味だろ」
「まぁそうだな」
ならそう言えばいいのに・・・、と思いつつなまけものを乗せて飛び上がる。後は空からなまけものと一緒に1人ずつ遠距離攻撃で消して行くだけだ。
「!?」
「のわぁ!?」
ヒュン!
風を切る音が聞こえ、慌てて体を右に回転させる。同時になまけものが落ちそうになるがそっちは無視だ。
左首を何かが掠った。それを調べる方が先なのでな。
一旦上昇し、周囲を見渡す。
「おいポンタ、どうした?」
「・・・あれだ。どうやら屋根の上に狙撃手いたっぽい」
「んん? あ、あれか」
建物の屋根の上に数人の弓使いの姿が見えた。他の屋根には魔法使いっぽい姿の人も見える。地上に居た時は角度的に見えなかったが、どうやら狙撃隊がそれぞれの屋根にいるらしい。
飛行制限が発動しているので、慌てて高度を下げつつまずは魔法使いへと突進。魔法使い達が慌てつつ『ファイアエッジ』を放つが、『火炎』で相殺。そのまま体当たりで地上に落とす。
後は『猛毒弾』をふりかけて放置。
「『ファイアx3』。しゃあぁ! 命中!」
その間に弓部隊はなまけものが魔法で撃ち抜いている。ほぼ一撃だ、となるとそれほどステータスは高くなさそうだ。
「後は地上だけだな」
「だな」
僕らは遠距離攻撃手段を持たず、ただ武器を構えて此方の出方を伺っている冒険者へと突撃した。