259.マップを見てみた
「・・・さ、さてと、だな。これからどこ行く?」
若干ボロってるなまけものが、マップを開きながら聞いてくる。
ステータスは確認したしフィールドの探索をしたいのだろう。実際僕もそうだ。
「それ新しいマップ?」
「おうよ。すげー広くなってるぞ」
「そんなの周り見たら分かるでしょ・・・」
「何処まで行けるのー?」
見やすいように広げて表示してくれたマップを全員で覗き込む。そこに移っていたのは地球だった。
地図も進化しているようで球体の地球がゆっくり回りながら映っている。
「・・・これ地球でしょ?」
「いや、このゲーム世界の星。まぁ地球って言ってもいいくらい同じだがな」
「パクり!」
「ああ、丸パクりだな」
どうやら地球ではなくこの世界の地図のようだ。確かに良く見ると多少地形が違う。ただ、大陸の数や大まかな形状、配置は全く同じ。
山などの地面の起伏も見えるが、エベレストなどと同じ位置に大きな火山があったりするし・・・。
「なんかゲームの世界って感じが・・・」
「そうね。無くなりそう」
もっとファンタジー感のある地図が良かったと思うが、なまけものが「分かりやすいし良いんじゃね?」と言っていたので、人それぞれのようだ。
確かに分かりやすいといえば分かりやすい。どの辺行くかも実際の国名で言えば大体わかるしさ。
しかしそれにしても、何にも表示のないマップだな。映っているのは僕らの居る場所のマーカーと・・・すぐ傍のオアシスくらいだ。
「私たちは今ここってことよね?」
「ああ、イギリス付近だな」
ん? イギリス? ここドイツ辺りじゃ・・・
「そこドイーー」
「え? フランスでしょ?」
あ、フランスでしたわ。あぶなっ!
「いやフランスはこの辺だろ?」
なまけものがヨーロッパの西端辺りを指差した。その瞬間「マジか、こいつ・・・」と僕らに衝撃が走る。
流石になまけものもその空気を読み取った。
「「「・・・・・」」」
「・・・え? 違う? マジで?」
「・・・そこポルトガルよ。因みにイギリス此処ね」
「そっちかぁ!」
どうやらなまけものは地理が苦手のようだ。まぁ僕もドイツとフランス間違ったけど、このマップ上では国境の区切り線が無いから間違っても仕方ないよね。
しかしこれはちょっと面白そうだ。
「じゃあなまけ、スペインは?」
「あ? ここだろ?」
なまけものが、イタリアを指す。
「じゃあ、イタリア」
「ここ」
「オーストリア」
「確かここ」
「じゃあ私も。ドイツは?」
「んっ」
「日本はー?」
「馬鹿にしてんのかっ!」
流石に遊ばれていると気付いたなまけものが両手を上げて怒り出す。流石に日本は間違わなかったが、ヨーロッパは全滅だった。全ての国がヨーロッパだとは理解しているようだが、きれいに外している。
「ほらもぉ! さっさとどこ行くか決めっぞ!」
「はいはい、分かったわよ」
というわけでこれからどこ行くかを話し合う。リハビリがてら周辺の探索、見える範囲の気になる所まで行ってみる、とにかく行ける所まで遠出する、この辺で遊ぶ・・・は却下で。
「えーっ!」
「えーじゃねぇ!」
色んな案が出るが、どれもしてみたい。
だが僕としては・・・
「とりあえず今日行ける所までどっか行きたいな」
「戦闘はいいのか? 腕訛ってんだろ?」
「進んでたら何か居るでしょ」
「・・・それもそうか」
「私は異論無いわ」
「あたしもいいよー」
というわけで今日行ける所まで進むことにした。海が見たいというココアの要望もあり、とりあえずイギリスに行くことに決める。実際イギリスじゃないんだけど、正式名称がないので仮だ。
今居るのはフランスの中央辺り、結構距離があるが・・・どれ位かかるだろう。現実時間は・・・今9時か、みんなの終わり時間次第だが、行けても到着と同時に今日は終わりかもしれない。
みんな走ったら少し余裕あるかも・・・ん?
「海底トンネルとかあるのかしら?」
「ねぇだろ。流石に」
「でもそれなら泳げない、飛べない魔物はどうするの?」
「・・・どうするんだろうな。まぁ俺らには関係ないし、気にしなくて良いだろ」
「それもそうね」
何気ない会話をしながら、ユウさんが乗ってくる。そして当たり前のようにソリ化するココアと、それに乗るなまけもの。
誰一人自分で歩こうという気が無い。いや、コイツらが歩く訳がなかった。
「降りろ!」
少し飛んで回転。全員振り落としてやったぜ。
地面に落ちたユウさんらが、戦闘態勢で立ち上がる。
「やりやがったな! ポンタァ!」
「歩けよ!!」
その場で乱闘が発生した。
・・・今日イギリス無理かもしれん。
次回更新は明々後日を予定しております