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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第5章 大規模アップデート
257/612

256.アプデ後にログインしてみた

「アプデ終わったぁああああああ!!」

「煩さいぞポンタ」


金曜日、夕食後、いつもの時間に集まる。場所はいつものオアシスだ。

長期メンテナンスが終了し今日からログイン出来る。そして同時に僕らもゴールデンウィークに入り1週間の休み。+久々のドラゴンボディでテンションが爆上がりだ。


何より研修の発表を終えたことが僕のテンションをおかしくさせる。多少周りのプレイヤーがドン引きしてるが、発表中ドン引きする新人よりは遥かにマシだ。


「うぉおおおおお!」

「ちょっと落ち着きなさいよ、恥ずかしい」

「ぐおっ!?」


ユウさんの振り回した炎の剣が僕の横腹に当たってその場に転がる。お陰で少し落ち着いた。


「珍しいよな。お前がそんなテンションって」

「いててて、だってようやく今日の発表から解放されたんだからな! みんな何もしないし、というかその場すらいないし!」


去年と違い、研修室には発表者だけ集められた為、僕1人だけだった。他の発表する同期がいてくれたので良かったが、ガチの1人ぼっちだと終わってたね。僕のメンタルが。


ジロリと周りを見渡すと彼らはちょっとばつの悪そうな顔をし、


「仕方ないだろ! こっちは普段の仕事あんだからさ。ちゃんと見てたし」

「そうそう、ちゃんとオンラインで参加してたから・・・」

「ごめん。忘れてた」


てへっ、とするココアに全員が呆れる。確かに居なかったが、まぁココアはそんなことだろうと思ってた。


「しかし流石ポンタだな。俺、知らん人の前で発表はできんわ」

「そうよね。ああも堂々と出来るのってかっこいいわよね」

「だよねー」

「ココア出てないよね?」


まぁ褒められて悪い気はしない。そう言われると照れつつ「仕方ないなぁ」と許してしまうな。

自分でも思う。チョロいと。


まぁ実のところ、発表者には社長から直々に高級そうなケーキの差し入れがあったので、その時点でみんなに対する不満は消えているのだが・・・。


これは黙っておこう。


「よっしゃ。じゃあこれからアプデの内容確認を兼ねて色々試してみようぜ」


丁度いいタイミングで、なまけものが話題を変えてくる。ユウさんに変に勘ぐられる前にここは乗っておこう。


「実際何が変わったか通知来てる?」

「大きな点は公式HPに書いてあったが、変更点が多すぎて細かい変更は来てないぞ」

「そのおっきな変更点って何?」

「俺も仕事中にちょろっと見ただけだが、エリアの構成とスキルの使用について、と・・・後なんだっけな?」


情報が公開されたのは今日の筈。

仕事中にそれ見る余裕あるなら発表やれよ思うが、話が進まないので言うのは止めた。なまけものは思い出そうと唸っているが、どうせプレイしてると分かるので、とりあえずオアシスから出てみないかと提案した。


「それもそうだな。早く行こうぜ!」


そしてみんなでオアシスの外へと歩き出す。実を言うとログインした時点で、アップデートの結果が目に見えていた。

その一つが、


「あれぇ? エリアに行く門無いよ~」

「もうないぞ。今回のアプデで全エリアがシームレスに繋がったからな。今はオープンワールドの時代だぜ」


オアシスから各エリアへとつながるゲート。

それが完全に取り払われ、オアシスの向こうには広大なフィールドが見えている。


さっきなまけものが言ったように、今回のアップデートでエリアの構成が大きく変わった。

今まではオアシスを拠点として、そのオアシスと繋がっているエリアに移動するという方式だった。その為、各エリアは個々で独立しており、エリア移動の際は必ずオアシスを経由する必要があったが、今回から全てのエリアが繋がり、違うエリアに移動するのにオアシスを経由する必要は無い。

このアップデートで今までのようなオアシスを中心にエリアが広がるのではなく、エリア全体の中にオアシスがあるという構成に変更された。

なのでなまけものが言うように、全てを一つのフィールドとすることで、出入り時に視界が暗転することも無い。


ただ、オアシスの本来の役目であるHPの回復や、リスポーンポイント。ログインポイントなどの要素は変わっていないし、非戦闘エリアなのもそうだ。エリア全体が繋がり、オアシスを経由する必要は無いとはいえ、オアシスが不要となることは無い。またなまけもの曰く、フィールドの各ポイントにある別のオアシスとの転移も可能なので、重要性でいうと今まで以上となるだろう。


ちなみにオアシスとフィールドの境目はオアシス全てを囲む緑のラインで分かる。戦闘中だとここラインが赤くなり入れなくなるらしい。

あ、これは後ほどヘルプの情報で知ったやつね。


「おおう、広いぜ! マジオープンワールドォ!!」

「ほんとっ!! しかもこの姿じゃなきゃ現実かと思っちゃうくらいきれいな景色」

「これならあたしのベストホームも見つかるかも!」


緑のラインを跳び越え、辺りを見渡す。各自それぞれの感想を言って見える景色に感動している。

しかしフルダイブのオープンワールドは凄い。姿が魔物だからゲームだと分かるが、本当に現実の自然の中にいるみたいだ。

アップデート前も同じような感想をした気がするが、それはそれだ。


「あそこ高いな。俺ちょっと行って周りみてくる!」

「あ、あたしも!」


そして我先にと、近くの小高い所へ走り出すなまけもの達。

僕はその場で飛翔し彼らの頭上を通り過ぎる。


「あ!? ずりぃぞ!!」

「あー!」


下から「乗せろー」と言われるが無視してさらに高度を上げる。

そしてそこから見た景色は圧巻だった。


「おお~・・・」


ただ驚き、周囲を見渡す。自分の真下の草原から、近くの森。少し離れたところには川が見え、上流には湖も見える。遠くには山脈も見え、一番高い山の近くに日が沈み始めていた。体をその場で回し、後ろを見ると、地平線が広がり先は見えない・・・いや、かすんではいるが、向こうにも山が見えるな。


事前情報では見える範囲は全部いけるそうらしいが、これはちょっとやり過ぎではないかと思いたくなる。


「凄いわねポンタ」

「えっ!? ユウさん!?」


3本の首の一つを背中に向けると、いつもの位置にユウさんが当たり前のように乗っていた。

乗せたつもりはなかったのだが、どうやらユウさんは僕が飛ぶだろうと予測して知らないうちに乗っていたようだ。何で乗ってるんだと驚く僕にユウさんは小さく笑う。


「ずっと乗ってたのに気付かなかったの?」

「気付かなかったね・・・」


恐らく周囲を見たいという気持ちが強かったからだろう。

ユウさんは、僕と同じように周りを見て景色を堪能している。


「いい景色~」

「もっと上まで行って・・・ん?」

「どうしたの?」


ふと視界の端に見える青いゲージに目が行く。3分の1程減っているそれは、現在進行形で減り続けている。満タンから今の量まで減ったのであれば、さっきから出てたのだろう。

ユウさん同様こっちも全く気付かなかった。


そのゲージには最悪の言葉がついていた。

運営め、やりやがったな!


「体調でも悪くなった?」

「いや、飛行ゲージが・・・」


それは飛行制限だった。

次回更新は明後日の予定です

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