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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第4章 占拠戦
253/612

251・どうでも良くなってみた⑤

ガァン!!

海の上空。高度が高すぎて突風が吹きあふれるこの場で大きな音が周りに響く。同時にリコさんの手にあった杵が落下していく。下は海だ、余程運のない奴でない限り当たることはないだろう。


「この杵を蹴り飛ばすとはやるわね」

「それ邪魔なんで」


首の付け根についた傷を確認しつつニヤリと笑う。杵は回避したが、同時に飛んできたカイザーの魔法は躱しきれなかった。


「次っ!」

「行くぞ!」

「!? 『火炎』!」


前方に『火炎』で作った炎を壁を展開。ガードが目的ではない、目眩しだ。直ぐ消えるので急いで次の準備をする。恐らくカイザー達も気付いてる。だからブレーキ無しで突っ込んできた。


「『渦風』」

「『ウサナックル』」


しかも『渦風』で攻撃と自分たち道を確保までしてきた。咄嗟の判断にしては流石だと言うべきだろうが・・・今回はミスったな!

『渦風』で何処から来るか丸わかりだ。


僕の眼下でボッ!と『ウサナックル』が空を切る。


「「!?」」


『火炎』の壁を抜けた2人に僕は狙いを定める。

相手はこっちの位置を『火炎』で隠れる前に見えた位置を正確に突いてきた。しかしそこに僕は居ない。『火炎』直後、直ぐ様真上に少し上昇しておいたのだ。


「『猛毒弾』!」

「チィ!」

「うっ!? し、『蜃気楼』」


咄嗟にカイザーが躱そうとするが遅い。攻撃を外した2人まとめて『猛毒弾』を浴びせる。直ぐに『蜃気楼』で逃げられたが確実に当たった。それが証拠に転移した2人から猛毒状態のエフェクトが・・・


・・・猛毒はカイザーだけ?


「へ・・・、ゲームだろうが妻に辛い思いさせるかよ!」

「今更カッコつけても・・・」

「うるせぇ・・・」


そういうのをユウさんに見せてあげれば良いのに・・・。

でもまぁこれで僕の勝ちも見えてきた。カイザーが猛毒で死ねばリコさんは落ちて戦えない。『飛翔脚』でも常時飛ぶのは無理なはず。


「あらそうかしら? 私がこの猛毒を回復ーー」

「出来ないですよね? 出来たら今直ぐにでもしてますよね」

「・・・バレてたか」


ペロっと舌を出すリコさん。そして減り続けるカイザーのHPを回復。


「あなた。まだいける?」

「ああ。問題ない! リコちゃんと一緒で敗北はせん!」


何となく今攻撃したらいけない雰囲気が2人を中心に展開される。

でもイラッとした。


「『猛毒弾』」

「のぉお!? てめぇ今くらい待てや!!」

「嫌です。何か腹立つので」


しかし躱された。しかしカイザーの焦り顔を見れたので満足。

ブラック度が上がったな・・・今確実に。


「うっ・・・」

「あなた!」


自身の回避行動でフラつくカイザー。流石猛毒。猛がつくだけあってまともに飛ぶのは難しそうだ。いや、むしろあの状態でよく飛べているなと思うが・・・。そこはカイザーの気力を素直に凄いと思う。

だが僕は敵だ。あからさまなチャンスであるそれを見て「今だ!」と僕は攻撃に移る。

リコさんは回復に専念しているし、直ぐに攻撃には移れまい。


「はぁはぁ・・、焦ったな? 『縮地』」

「!?」


しかしそれが直ぐに判断ミスだと気付く。理由はカイザーが消えたからだ。

猛毒を受けると、冒険者はほぼ動けなくなるし、他のプレイヤーも動きがかなり鈍くなる。だから猛毒状態=ほぼ動けないというか認識が僕の中で出来てしまっていた。そもそも猛毒はスリップダメージの状態異常だ。スキルが使えなくなったり、動けなくなったりする状態異常ではない。


それを忘れていた僕は、消えたカイザーに戸惑いが何処行ったのか探す判断が遅れた。

その結果はかなり重い衝撃と共に僕に返ってくる。


「猛毒のお礼に私の最強技をプレゼントしてあげる。『バスターハンマー』!」

「っ!!?」


リーチが圧倒的に短く、攻撃も遅い分、威力に全振りした『バスターハンマー』。それが僕の側面から打ち込まれる。あまりの威力に体が文字通りくの字になった。ぶっちゃけ穴が空いたかと思ったくらいの衝撃を受けて吹き飛ぶ。

痛みを堪え、HPを見ると、脅威の9割ダメージ。

なまけものの8重魔法とかもおかしな威力だがあっちは魔法だ。純粋に物理だけでこの威力はヤバい。

さらにヤバいのは、もう1発来ることだ。

視界の端にチラッと追ってくる2人が見える。明らかにあっちが速い。このままだと追いつかれて『ウサナックル』される。

しかしそうでなくてもカイザーが何かしらの魔法を撃つだけで終わりそうだが・・・、顔を見る限りカイザーは飛ぶのに精一杯で魔法を撃つ余力はなさそうに見える。


なら!


「一か八かだ。『縮地』」


逃げるわけじゃない。あえてカイザー達に突撃する。カイザーのHP減少を待ってられない。この一撃で決める。

物凄い速さでライダーキックのように右後ろ足を伸ばし、カイザーの頭を狙った。

流石にこのタイミング。相手は反応できーー


「ごめんリコちゃん!」

「『ウサナックル』!!」


反応してきた。読まれたというのか? あれが!

一気に距離を縮める最中カイザーがリコさんの拳を僕に当てられるよう移動するのが見えた。


「これは・・・参ったな」


直後、大きな音とともに僕のライダーキックとリコさんの『ウサナックル』が衝突した。

次回更新は明後日の予定です

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