250・どうでも良くなってみた④
「『スケイルショット』」
残弾十分。僕は少し体を丸め、直後『スケイルショット』を全方位に放つ。一気に残弾数が0になるフルバーストだ。進化後から使えるようになったのにユウさんが乗ってたせいで使えなかった技の一つでもある。
一撃は弱いが、目眩しと意表をつくことが出来、場合にもよるが相手の飛び攻撃を撃ち落とす効果も期待できる技だ。初めて使ったので確証はないが。
「!?」
「きゃあ!」
流石フルバースト。
2人はまさかの全方位攻撃に怯む。『ウィンディ』に関しては少ないHPのためあっさり消える。さて今のうちにこの場から離れよう。
「そこ邪魔ですよー」
「きゃっ!?」
怯んでるリコさんにタックル。からの縦回転尻尾ハンマーで撃ち落とす。確実に当たった。チャンスだ。
「今なら!」
追撃出来る!
一気に急降下して落ちるリコさんを追う。しかしリコさんは落ちつつも体勢を整えこちらを向いた。
「『月の杵』」
「なっ!?」
ボンッ!
そして手品のように右手に杵が現れる。それを見た直後、嫌な予感を感じ急ブレーキ。恐らく投げてくるのかと思い避けようとするが、予想は外れた。
「『飛翔脚』」
恐らくそれが空中を跳べるスキルだろう。まるでバネで跳ね返って来たかのようにリコさんが僕へと向かって来た。既に杵は振りかぶられている。
ヤバい! このままだとやられる!
直後ドスンッ! と鈍い音と共に僕は空高くへ打ち上げられる。さっきいた高さを超えてさらに上。雲すら小さく見えて来た。
一撃でここまで吹き飛ばすとか尋常じゃない威力。正直ステータスおかしくないかと疑いたくなる。あれ絶対ユウさんよりも攻撃特化だ。
「はぁはぁ・・・。間に合った」
だがその攻撃を受けてもまだ僕は死んでない。咄嗟に最後の『強再生』を使用したからだ。タイミングが良かったのか分からないが、回復し切る前にダメージを受けたため、ダメージ分もセットで回復した。結果的にさっきの攻撃ダメージは無効化したことになる。
千切れた尻尾や首も元に戻り完全復活だ。
「おお、やっぱ首3本無いとな」
3つの視界を見ながら頷く。眼下ではリコさんを乗せたカイザーがこちらを見ていた。遠目で分からないがリコさんは回復しただろう。結構ダメージ入ったと思ったのに残念。
「回復した!?」
「多分『強再生』ね。もしかしたら後2回使われるかも」
「はぁ・・・。時間使わせるなぁアイツ」
そう言っていた時、視界の端が赤くなった。何事かと思ったらカウントダウンのようだ。
残り10分を切ったらしい。もうそんな時間か。海の中の奇襲に時間かけすぎたかな。
カウントダウンに関しては向こうも気付いたようだ。
「どうする? 時間無いぞ」
「場所はある程度確保済み。今からだと急いでもとれて1、2個だからもういいかな。それよりもあの子だけは倒したいわね」
「同感だ。流石にここまでやったら最後までやりたいしな」
どうやら向こうはやる気らしい。
残り10分・・・多分逃げ回っても持たんな・・・
なまけもの :おおぃ。こっちユウ達と合流したぞ。まだやってる?
ポンタ :嫌がらせ中。嫌がってるのカイザーだけだけど
ユウ :グッジョブ!
ポンタ :その様子だともう平気そうだね
ユウ :お陰様で。それより直ぐ死ぬって言ってたのに一向に死なないから、ちょっとどうしたのか心配してたのよ?
なまけもの :カイザーさん、おかしくなったとこまで聞いたけど、今どんな感じ?
ポンタ :一時期ヤバくなったけど、本気になってから落ち着いてる。
ユウ :あれ以上のヤバさって・・・
ポンタ :なんかユウさんに俺もくっついてほしいだの、踏んでほしいだの、抱きついて欲しいだの・・・要約するとユウさんに乗って欲しいらしいぞ
なまけもの :ポンタ・・・要約だけで良かったぞ。ほらみろユウ吐血したじゃないか
ポンタ :あ・・・ごめん
なまけもの :よし、まあヤバいのは分かった。で、俺は無理だけど加勢した方がいい?
ポンタ :要らない、もう負けそうだし。リコさんの一撃マジやばい。一撃で頭ひとつ消し飛んだわ
ココア :笑
ポンタ :笑うな死にそうなんだぞ!
なまけもの :いや死ぬ前提の戦闘なんだろ? 早く死んでこいよ、もうイベント終わるじゃん。あとヤバい言う割にチャットやる余裕はあるのな
ポンタ :今ちょっと大気圏ギリギリくらいに居て距離あるから。ちな絶景
ココア :そこは詳しく言ってよ~
ポンタ :リコさんの杵で打ち上げられた。
ココア :そこじゃない
「そら、さっさと消してやるよ!」
「!?」
ポンタ :カイザー来たし一旦終わる
やはりスピード速いな。
なまけもの達が待ってるので盛大に散って終わろう。
ココア :絶景は!?
後で!
次回更新は明後日の予定です