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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第4章 占拠戦
246/612

244・引き続き占拠戦を続けてみた⑥

「あれ一応あなたのお兄ーー」

「やめて吐き気する!」

「・・・・・」

「もう末期だねー」

「・・・他人事だな」

「あたしの身内じゃないしー」

「ッ!?」

「ちょっとそれ以上はダメだ。ユウさんが強制ログアウトするぞ」


ユウさんの顔色が悪い。このままでは精神異常を読み取って強制ログアウトしてしまう。そうなればユウさんはイベントに参加しなかったことになり報酬も無くなる。


「ううん。このまま続ける位なら無くなった方がマシかも・・・」


すでに立つ気力すら

ダメだ。精神的にも末期に近い。ここは逃げよう。


「ここにカイザーさん近付いてきたらヤバーー」


「呼んだか?」

「!? 『縮地』ぃ!!」


呼んでないのにいきなり近くに現れた。反射的に『縮地』を発動してその場から離れる。幸いにもユウさんはまだ大丈夫のようだ。ログアウトしていない。


「逃げんのか?」


そう言いつつカイザーさんが追いかけてきた。だがこのまま逃げ続ける。

戦うとユウさんがヤバいのもあるけど、普通に戦ってもヤバいからね。


「ふはははは。待てぇ!」

「凄い勢いで追ってくるよ。しかも顔キモいし」

「嫌ぁ!! 言わないで!」


カイザーさん、なんかゲーム内だと現実以上にユウさんへのシスコン度が増してるよな・・・。もう変態じゃないか。まぁあの人のことだから、恐らくアレ全部演技なんだろうな。少しでもフレンドリーに接してユウさんに近づきたいためにわざとやってる気がする。


方向性がおかしいので完全に逆効果だが・・・。


しかしこのままだとユウさんのストレスが限界突破しそうなので、『縮地』を可能な限り使いまくって逃げに徹する。しかしカイザーさんも『縮地』を使って追ってくる。いつまでたっても逃げきれない。


「もう戦った方が早くないー?」

「そうだけど戦ったら負けると思う」


戦闘しても勝ち目が無さそうな気が、なまけものがやられた時からずっとしてる。

カイザーさんだけなら何とかできそうな気もするが、リコさんが未知数すぎるんだよな。強者感がすごいというか、状況対応能力が高そうというか、何やっても歯が立たなさそうな感じがする。

ずっと笑顔でいる余裕な雰囲気がそう感じさせるのだろうか。


「私・・・負けてもいい・・・」

「ポンタ。ユウちゃん何もしてないのに死にそう」

「そう言われたってー!」


逃げるだけで精一杯だ。というか向こうのほうが速いんだから、そもそも逃げ切れるわけない。未だに追いつかれないのはカイザーさんが加減してるからだろう。


その加減してるであろう本人は一向に戦おうとしないこちらに少し苛立った様子で言葉を発する。


「おいおい・・・。やる気あるのか?」

「いや喋らないで!! カイザーさんの声でユウさんに生理的ダメージがいくから!」

「ちょ待て!? どういう意味だ!?」

「ユウちゃんが生理的に無理、限界だってー」

「!!!?」

「あなた!? ちょっと、またぁ!?」


カイザーさんがゲーム内にも拘わらず吐血した。それ程の衝撃だったのだろう。そのままリコさん共々海へと墜落し沈む。

よく分からないけど助かった。


「何か知らないけどやったー!」

「ナイスココア」


とはいえ倒したわけではない。実際にHPダメージは無いだろうしすぐ上がってくるだろう。今のうちに逃げれるだけ逃げないといけない。

カイザーさん、ユウさんに拒否られるメンタルは弱いけど、回復早いからな。恐らく十数秒もせずに出てくるだろう。このまま沈んでくれれば息切れで倒せるのだが流石にあり得ない。


「ん? 息切れ?」


そうか。息切れか。これなら逃げ切れるな。

僕に見られ?マークを頭につけ、首をかしげるココアにもう一度潜るよう指示した。


・・・

・・・・

・・・・・


ザバァ!!

それから1分近く経った辺りでカイザーさんが復活。物凄い勢いで上昇してくると、息を切らしながらこちらと対峙する。リコさんも同様なので、息切れ寸前だったようだ。


「はぁはぁ・・・。危なかった」

「そのまま死んでくれればこっちとしては助かるんですけどね。それにしてもリコさんも息切れするんですね。水属性なので水の中いけるのかと思ってました」

「知らなかった? 私もう水属性じゃないのよね。まぁココアちゃんにも教えてないから知らなくて当然だけど。なーに? いけたら困る事でもあるの?」

「そりゃ逃げられる選択肢が減りますので」


こちらには水の中でも移動できる方法を持ってるココアが居る。リコさんが水の中でも自由に動けるなら無理かと思ったけどやはりダメなようだ。落ちてく時の焦りから多分そんな気はしていた。


「あら、あなたも水の中は無理でしょ? どのみち逃げられないんじゃない?」

「それはどうですかね?」


リコさんの質問にニヤリと笑って返しておく。同時にリコさんが一瞬だけ笑みを消した。すぐ笑顔に戻ったがありゃ何か考えてるな。

因みに逃げられるとは思っていないし逃げようとも思っていない。逃げてた主な原因はすでに撤退させたからね。


「ところでお前・・・。ユウを何処へやった?」

「ココアに頼んで先に逃げて貰いましたよ。カイザーさんの声聞くだけで気分悪くなるそうなので」

「!?」

「あなた!!」

「・・・ああ、大丈夫だ。ハッタリだ。・・・そうだろう? ユウが俺を嫌いになるわけないもんな」


この人現実見えてるのかな? アレだけの拒絶反応でその言葉は出ない筈なんだが・・・。全てがスキンシップだと錯覚する変なフィルターでもついているのだろうか?

取り敢えずそのフィルター取らないことにはユウさんの未来は変わらなさそうだ。


「何言ってんですか。嫌い通り越して兄妹であることすら拒絶反応出てるんですからいい加減現実見たらどうです?」

「馬鹿かお前は! ユウが俺を嫌いになるわけないだろうが!! 現にいつも俺に構ってくれる!」


それあなたがちょっかい出すからでしょうが!

ダメだ・・・フィルターが脳と一体化している。リコさんに助けを求めるかようにチラッと見たが首を振られた。「私でもダメ」と諦めの顔が言っている。


「はぁ・・・」


今日何度目かもう忘れたため息がまた出た。


次回更新は明後日の予定です

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