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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第4章 占拠戦
244/612

242・引き続き占拠戦を続けてみた④

逃げた?  答えはノー!

最初から倒すつもりだったとも。逃げたのはフリで奴らの目を欺くためさ。

と、ユウさんに言い訳しておく。


ユウさんから「敵前逃亡とは何事か!」と無能指揮官のようなことを言わ、あいた! 失礼、「逃げるのは嫌」と駄々をこねられたので仕方なしに戦闘することにした。


「ちょっと待って? 戦いたいは駄々なの?」

「駄々だな。おっと、ここで暴れるのは勘弁な」


まぁ冗談はここまでにしておこう。というよりこれ以上先で騒ぐとバレる。バレたら負ける。

僕らは今ココアの氷体を利用して海の中を進んでいる。これは中々の体験なのでもうちょっとこうしていたいのだが、すでに敵は目の前だ。彼らは占拠ポイントの周囲に陣取り、皆海面に顔を少し出して誰か来ないか待っている。

どうでもいいことだが、占拠ポイントは島かと思ってたけど、海の中から覗いたらただのそれっぽい板だった。海に浮いているというよりその場に固定されているかのようで、波どころか水面の揺らぎですら微動だにしない。

明らかに不自然すぎる。上からだと気にならないが、もうちょっとどうにかならなかったのかと思ってしまう。


僕らはそんな占拠ポイントの真下まで移動すると、彼らの会話が聞こえてきた。


「来ねーなー・・・」

「まぁこんな辺鄙なところに来る奴なんて殆ど居ないしな」

「かと言ってこの戦法以外だと俺ら勝てんしな。陸じゃ奇襲成功してもレベル差やステ差で押されるし」

「まぁある程度はこうなるって分かっててこの種族にしたから別にいいんだけどな。ははは」

「実際泳ぎたいだけだからな俺ら」


彼らにも色々あるようだ。

まぁわざわざこのような場所でこんな戦法取るぐらいだから、陸の対人成績は余り良くないのだろう。元々戦闘よりも探索を楽しみたい派のようだし。


まぁだからといって攻撃やめようとかは無いけど。声を出すと聞こえる可能性があるのでチャットで合図。


ポンタ   :さて、攻撃しますか

なまけもの :あの会話聞いて即「攻撃する」って判断する?

ポンタ   :だって今関係ないし

ユウ    :先にやったのは彼らよ。見逃すなんてあり得ないわ

ココア   :早くやろうよー

なまけもの :そりゃそうかもだが・・・、なんかやる気削がれたぞ俺は

ポンタ   :じゃあなまけの一撃で楽に葬るの宜しく

ユウ    :そうね。苦しまないようにしてあげて

なまけもの :鬼か!?


いや、さっき決めただろ。

攻撃を外したり一撃で仕留められなければこっちの部が悪くなる。なのでなまけものの一撃必殺で終わらせる予定だ。僕とユウさんは基本『蜃気楼』による回避要員なので、攻撃する予定はない。まぁ相手がギリギリ生きてたら『スケイルショット』でも撃つくらいか。


なまけものは仕方ないなと小さくため息を吐きつつ頭を掻くと、球体の氷体に手を当てて攻撃準備に入る。どうやらああすれば氷体に穴を開けずに魔法が撃てるそうだ。


なまけものは魔法を発動しようかとして、何かを考えチャットを送ってきた。


なまけもの :一応言っておくけど、相手死ななくても文句言うなよ?

ポンタ   :多分言わない

ユウ    :多分大丈夫

ココア   :多分言うかもしれないー


なまけものは小さく「そうか・・・」と呟くと大きくため息を吐いた。

そして相手が射程に入っているのを再確認したのち『ファイアx8』を発動。占拠ポイントを中心に大きな爆発が発生して周囲に隠れていた彼らを海ごと呑み込んだ。相手の声は爆音でかき消される。


「のぉおおお!?」

「きゃああ」

「あーーーー」

「おっと、やっぱ水の中で使うもんじゃなかったぜ」


『ファイアx8』の衝撃がこっちにも来た。

爆発に呑まれた海は蒸発しそれによって生じた複雑な流れに氷体ごと巻き込まれる。氷体の中で色んな箇所に体をぶつけながらゴロゴロと転がる。暫くして流れが落ち着く時には、僕らは団子状態となっていた。

全員ぐったりして誰も話そうとはしないまま数十秒がすぎる。


「・・・おい、ポンタ。頼むからどいてくれ」

「? あ、ごめん下敷きにしてたか!」


誰も動かないなぁと思ってたら全員の上に僕が乗っかる形になっていたようだ。申し訳ない。

急いで起き上がって謝ると、みんなもゆっくりと立ち上がる。

流されてなのか、ココアが浮上したのか知らないが、僕らを包んでいた氷体は海面に浮いていた。ココアが上半分を消すと、一気に海風と潮の香りが僕らを包む。


「あたた・・・。ひどい目にあったわ・・・」

「だよねー。危なかった」

「お前ちゃっかり自分だけ氷体でガードしてんじゃねーよ! 氷の塊がぶつかってくるこっちの身にもなれよ」

「そもそもなまけのせいじゃんー」

「みんなで決めた魔法だろ! ちゃんと倒せたし良いだろ」


確かになまけものの言う通り今回使う魔法も最初に決めていたし、相手は全滅している。

確認は出来ていないが、少なくとも周囲には居ない。居たらレーダーに映るし、今頃僕らは攻撃の的でハチの巣になっているだろう。


「いいんじゃない? 無事倒せたということで。それよか占拠ポイントの奪取をーー」


占拠ポイントへ行かなければとそちらを向いた僕はそこで固まった。

次回更新は明後日の予定です

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