239・引き続き占拠戦を続けてみた①
サブタイトルがおかしかったので修正しました(7/16)
真っ二つに切られたたこ焼きぃが目の前でくっつく。
こっちの攻撃は基本物理なので、『炎化』された以上、効果が切れるまで実質ダメージを与えられない。猛毒状態にすれば何とかなるかもだが、触れられない以上猛毒状態にすることは無理だろう。
唯一ダメージを与えられるとしたら、ユウさんの『炎陣』くらいか・・・。だがそれでは倒すのに時間がかかるし、フェニックスである以上何かしらの回復手段を持っていそうだ。ここは素直にユウさんを交代させるべきだろう。
そのことをユウさんに伝えると、ユウさんも同じことを考えていたのか素直に頷いた。「私がやる」と言われなくてよかった。
「そうね。じゃあ私となまけが交代するわ。あっちも苦戦してるみたいだし」
「了解」
「なんや逃げんのか?」
「!?」
たこ焼きぃの煽りにユウさんがピクリと反応のする。しかし今のユウさんは冷静だったようで、「下りて」とだけ僕に伝えた。
「いいの?」
「良くないけど、無理して負ける方がイライラするから。あっちで発散するわ」
「・・・わかった」
眼下でなまけもの達を追い回している彼らが不憫だが、ユウさんのストレス発散の為に頑張ってほしい。
「あ、待ちぃ! ほんまに逃げるんかいな!」
僕が背中を見せて急降下し始めたのをみて、たこ焼きぃが慌てつつ追ってくる。しかしユウさんが『炎撃』を放つと、当たらないように回避しつつ追うのを止めた。『炎化』していたからダメージない筈なので、恐らく自身への攻撃に、反射的に反応してしまったのだろう。
そこから考えるに進化して間もないか、普段から『炎化』をあまり使わないのだろう。
「これでよし。あとはアレね」
「アレ何してるんだろう。とりあえず踏んでいいかな?」
「いいんじゃない? 困ってるみたいだし」
眼下ではなまけものがトリケラトプスのような魔物とそれに乗ったつるっつるの人に追われている。何だろアレ、ターミ〇ーター2の敵みたいだ。
「ははは、待て待て~」
「あークソッ! 何だよ、魔法反射シールドとかふざけんな!」
「ははは、俺の前では魔法は全てむりょーー」
ドスゥン!!
なんか楽しそうに笑いながらなまけものに向けてレーザー撃ってたのが腹立ったので踏んだ。あの敵なら物理効かないだろうけど、こっちはしっかりダメージ入ったので物理無効ではないらしい。
踏んだ後、なまけものの首根っこを咥えて、少し距離を置いて着地する。
「おお、助かったぜ。どした?」
「上飛んでるフェニックスが『炎化』してきて物理効かん。だからなまけにやって貰わないと」
「ならちょうどいいや、さっき踏んだやつが魔法反射して困ってたんだ。ココアもまだ起きないしさ」
「あれ? さっき起きなかった?」
「寝ぼけてただけだったよ」
「「・・・・・」」
どうやらココアは戦力外のようだ。
「まぁいいわ。ココアはそのままなまけに任せるわね」
「いいけどユウ1人になるぞ?」
「構わないわ。さっきの戦闘で2人の動きは見てるから大丈夫よ。それに相手は手負いだからね」
ユウさんが起き上がった2人を見てニヤリと笑った。
手負いとは言うものの相手はまだ半分以上のHPを残している。大丈夫だろうか?
「そう思うなら早くアレ倒して援護して」
「それもそうだな」
ユウさんにそう言われ、僕らは頷いた。
そしてなまけものを背に乗せて空中で様子を伺っているたこ焼きぃへと向かう。同時にしたから悲鳴が聞こえてきたが、ユウさんのではないので無視する。
下を覗いたのか、なまけものは苦笑いしている。
「ははは・・、こりゃ俺らの方が後かもな」
「なら怒られるの嫌だし急ごうか。僕は回避に専念するから攻撃宜しく。相手は炎だから水メインで」
「おう」
そしてたこ焼きぃと対面。
「遅いやん」
「悪かった。すぐ倒すから」
「それウチ待ち損やん、か!!」
たこ焼きぃの突進攻撃。相手は『炎化』しているので恐らく近付いて『炎化』によるスリップダメージを狙ったのだろう。そうはさせまいと一定の距離をとりつつ逃げ回る。
しかし鳥系であるたこ焼きぃの方がスピードが速い。適度に『縮地』を使うがすぐ追いつかれる。
「ダメだ、追いつかれる!」
「バフ掛けとくぞ。『シャイン』『ウィンド』」
「おお? おー」
目に見えて速くなった。これはいい。これで相手と同等の速さで動ける。
「嘘やん!? そんなんずるいわ!」
「『炎化』の方がずるいだろ」
追いつけなくなったたこ焼きぃは急ブレーキをかけて停止する。追いつけない=一定距離から攻撃されるだけになるので、そのまま進路を変更して逃げ始め・・・いや、向かう先はユウさんの方だ!
「あの野郎、あのままユウに奇襲するつもりだな」
「間に合うか!?」
「とりあえず出来る限り近付け。たこ焼きぃとユウが相手しているあいつらを長距離魔法でまとめて仕留める。直線攻撃になるから、両方が射線に入る位置に頼む」
「・・・ああ、了解」
一瞬意味が分からなったが、たこ焼きぃはユウさん達のもとへ一直線に向かっている。なのでたこ焼きぃの後ろにつけばいいのだな。
僕もすぐさま方向転換したこ焼きぃを追いかけた。
次回更新は明後日の予定です