231・占拠戦を続けてみた②
あれから数か所周り、徐々に占拠ポイントを奪っていく。今の場所で6か所目だ。
まだ僕らが奪ったところは何処も奪われていないけど、そろそろどこか奪われるだろう。半分くらい行きやすい低ポイントの場所なので、できればそっちに行ってほしいが・・・。
「おっ! 2000!」
「いいわね!!」
「いえーい」
ここも中々の高ポイント。僕らには関係ないが来るまでの足場が悪いからかな。
しかし、今回のイベントは飛べるプレイヤーに有利過ぎるな。地道に歩いているプレイヤーに申し訳ない気がする。
だからといって、抑える気は無いが。
「ふぅ・・・ちょっと休憩」
「ポンタ疲れたか?」
「まだいける。戦闘はみんな任せだしそんなに疲れてないよ」
移動の代わりに戦闘はなまけものとユウさんが率先して行っている。とはいえプレイヤーとはあれ以降で会っておらず、冒険者ばかりだから2人で対応できてるんだけどね。
そんな僕の返答に、なまけものが僕の後ろを指差した。
「そうか、ならもうひと踏ん張り頼むわ。来るぞ」
「ん?」
つられて振り向くと、何か飛んでくるが冒険者なわけ無い。
真っ直ぐこっちに向かってくるところから、狙いはここだな。できれば通り過ぎてほしいけど・・・
「無理か」
慌ててその場から飛び退く。
ワンテンポ遅れてその場所に大きな羽根が何本も突き刺さった。あの距離からもう攻撃してきた、僕らも急いで戦闘態勢に入る。
「あ、なまけは乗れないから下よ」
「マジで!?」
と言いつつも、そうなるだろうと分かっていたなまけものはそれ以降何も言わず僕の少し後ろで戦闘態勢に移行する。
「おい、ココア?」
「あたしも乗るー!」
「マジで!? って、流石にお前はこっちでフォローしてくれ!! 俺一人だと寂しいだろうが!」
「そこまで懇願されたら仕方ないなぁー」
「緊張感がないな・・・」
今回の相手結構やばそうなんだけど・・・。まぁあの2人はあれでいいんだろうけど。そう思いながら僕は飛びあがり、相手と同じ高さまで上昇する。逆に相手は少し下降すると何かを下に落とした。それはなまけものから少し離れたところに着地し、のそのそと動き始め・・・あ、なまけに速攻爆撃されとる。
「どうやらプレイヤーのようね」
「あっちはなまけに任せよう。僕らは・・・」
なんか相手もう終わりそうだけどさ・・・
そう思いつつ前を見据える。
そこには大きな鳥?が僕らと対峙してやろうといわんばかりにこちらを見ていた。見た感じは鳥だが、なんか恐竜っぽい感じもする。
そして、その背中に別のプレイヤーが乗っていた。
「「パクリ!!」」
「「違うわ!!」」
まさか騎乗戦法がパクられるとは。
しかし相手の乗ってるの何だあれ? 真っ黒い塊で、人のシルエットをしているようだが・・・首が無いぞ。
「デュラハン・シャドーらしいわ」
「あ、どうも」
名前:店チョー
種族:デュラハン・シャドー(6)
レベル:49
名前:チキン
種族:アルゲンタヴィス(6)
レベル:49
珍しくユウさんがマーキングしてくれたので情報を見せてもらう。どうやら黒いのは影だからか。よく見るとペラペラしていて、影が自立してるような印象だ。首が無いのはデュラハンと聞いただけで納得。頭は・・・ここから見える限り無いな。
で、鳥の方・・・アルゲンタヴィスだが、体は濃い藍色をしており、翼を広げるとすごく大きく見える。だが翼が大きいだけなので実際背中に乗れるのは人一人分くらいだろう。
上にデュラハン・シャドーを乗せつつ落下させた味方を運んできたところから見ると、パワーが強いのかもしれない。となると戦闘方法は魔法より物理寄りかな。
「突然変異種か。いい勝負になりそうだ」
「どっか行ってくれる方が助かるんだけど?」
「じゃあここの占拠ポイントくれ」
「それは無理」
僕がそう言ったとたん。チキンが「だろうな」と呟き上昇する。そしてボケっとしてた僕の真上近くまで上がると大きく翼を羽ばたかせた。
「『フェザーシャワー』」
「避けてポンタ!」
言われずとも。
横に大きく移動し、羽根の雨を回避する。どうやら最初の攻撃もこれだろう。速いが直線攻撃なので躱すのはそれほど難しくない。
「ぎゃああああ」
「ん?」
避けたと同時になまけものの悲鳴が聞こえる。慌ててみると、よけた『フェザーシャワー』がなまけものに降り注いでいた。どうやら、僕となまけもの両方とも射線上に入っていたらしい。いや、入るように移動したというのが正しいか。
なまけもの :こっちに流れ弾来させるなよ!
ポンタ :すまん。気にしてなかった。大丈夫か?
なまけもの :ダメはココアが今治してくれる。
チャット通り、なまけものに『ヒール』がかかる。それを見たチキンが舌打ちした。
「回復持ちかよ。面倒な」
「さっさと終わらせて加勢しようぜ」
「だな」
そして突っ込んでくる。店チョーが影で出来た剣を抜いているので。あのまま切りかかってくるつもりだろう。
ならやられる前にやり返すまで。僕は『縮地』を使って突撃した。
次回更新は明後日の予定です