22・森エリアで遭遇してみた
木の実について教えてくれたなまけものに連絡を取る。
ポンタ :木の実不味い
なまけもの :はっは。間違ったな!
ココア :どんな感じ?
ポンタ :まっずい
なまけもの :イエーイw
ココア :イエーイw
ポンタ :教えろよ!
どうやらなまけもの達は知っていた様だ。言えよ!
なまけもの :ふっ、誰もが通る道だ。何事も自分で確かめないとな
ココア :私達も食べて気付いたしね
ユウ :見分け方ってあるの?
ココア :あるよ、葉っぱと中身。不味い方の身は葉っぱが尖っていて、中身も赤いの。美味しいのは葉っぱが丸くて中身は白いよ
なまけもの :採る前は葉っぱを見て、採った後は一度割ると分かる。どうしても不安なら割ってから食えばいい
手元にある木の実を割って・・・割ってみ・・・・。割れない。
仕方ないのでユウさんにやってもらう。残りを全部割ると赤:7、白:2の結果になる。
ほぼ赤だった。
とりあえず確認で赤い実をちょびっと齧る。不味い!
「駄目?」
「駄目。不味い」
齧った実を遠くへ投げる。今度は白い実を齧る。
こっちも怖いのでちょっとだけ。
「美味い!」
さっきのと全然違う。普通に美味い。
ユウさんも満足そうに食べている。
「さっきの味。ココアの言う通りみたいね」
「となると残りは全部不味いのか・・・。次の採る?」
「そうね。もうちょっと欲しいわ」
「分かった。ちょっと採ってくる」
ついでに葉の形も確認しておこう。採る時に気をつければいちいち割る必要もないしな。
そう思い、登ろうとした時、直ぐそばで声がする。
『おい、大丈夫か? もう直ぐでオアシスがある、頑張れ!』
『・・ああ、・・・分かった』
『クソッ、あの狼どもめ。やっぱり森の中では見失いやすくて戦い辛いわ』
『勝ったしいいでしょ? それよりその腕の怪我大丈夫なの?』
『良くないがオアシスで回復すれ・・ば、ん?』
「「ん?」」
『『『『!?』』』』
どうやら直ぐそばだったらしい森の奥から出てきた人と目が合う。
向こうもこっちに気付いた様ですぐさま戦闘態勢に移る。こっちもユウさんがすぐさま剣を抜いた。
相手は4人か。手負いだけど数的に厳しい。
とりあえずマーキング。
名前:レイド
職種:冒険者
レベル:6
ランク:F
名前:ドラマリス
職種:冒険者
レベル:6
ランク:F
名前:ドーマ
職種:冒険者
レベル:7
ランク:F
名前:フラシェ
職種:魔術師
レベル:5
ランク:F
レベルや、相手の負傷を考えると何とかなりそう。数が多いので油断できないが、1人は戦闘が出来そうな状態ではないっぽいし。
さてどうするーー
「私が怪我の少ないレイドとドーマを抑えるわ。ポンタは数減らして」
「あ、はい」
ユウさんはそう言うと、足元にあった木の実を相手に放り投げ、すぐさま突撃して行った。
慌てて言う通りに動く。
対して人間側はユウさんが牽制に投げた木の実を少し下がってかわす。先頭の冒険者がその木の実を見てすぐさま指示を出した。
『これはヒーリスの実! おいお前らはこれ食っとけ! 多少なら回復できる。その間俺はあのゴブリンを抑える』
『了解』
『気を付けろ。あのゴブリンなんかヤバイぞ!』
『問題ない。来たばかりなのか知らないが、この森の中であの剣は役に立たん』
どうっ!と、先頭にいて怪我が1番少ないドーマがユウさんと対峙する様に突っ込んでくる。
ほんの数秒で2人は火花を散らして剣を交えた。
僕はそれを尻目に、残りの3人へ急いで近付く。彼らはドーマの言う通りに木の実を拾って食べようとしている。
「『毒液』」
射程距離に入ったところで毒液発射。しかし小盾に阻まれ届かない。動けなさそうな瀕死状態の冒険者を狙ったのにもう1人の冒険者に防がれた。
『ははは、残念だったな。悪いがお前の仲間が渡してくれたこの実で復活だ! ほらドラマリス、今のうちに食え』
毒液を防いだ冒険者がドヤ顔で言ってくる。
勝ってるつもりでいる様だが、あの実って人間にはどんな味なんだろう?
『待って! 駄目! これマーリスの実よ!!』
『んっ・・・!? ぐぁあああ!!』
『な!?』
「ああ、同じか・・・」
口に入れたドラマリスはその場で悶え苦しんでいる。全部一気に食うから・・・。
と、今のうちに!
「『毒牙』」
『ぐぁ!』
そのドラマリスへ注意が逸れたレイドの足首を思いっきり噛む。毒が入ったのを確認し、次の冒険者へと移動する。後ろで倒れる音がしたので、レイドはもう駄目だろう。ドラマリスも声が聞こえなくなったと思ったら気絶してる。とりあえず『毒牙』っと。
『『ファイアボール』!』
「! あぶなっ!」
咄嗟に避けたけど、尻尾の先が当たってHPが減る。これで3割近く持ってかれるとかやめてよ。
まともに食らったら一撃かもしれん。
『外した! もう一発!』
「やば、『毒液』!」
詠唱を始めた魔術師を狙って毒液を飛ばす。いつの間にか距離を取っていたため、詠唱が終わるまでに『毒牙』が間に合わない。
詠唱を中断させようと思って撃ったのだが、『毒液』は何故か目を閉じて詠唱していた魔術師のケバい化粧ごと顔を覆う。
『いやぁぁああ!!』
そして悲鳴を上げながら倒れ込む魔術師。口から毒も入ってそのまま消えていった。
これで後1人だな。