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今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第4章 占拠戦
229/612

227・イベントスタートしてみた

「さぁ行くわよ!」

「おー!」

「へーい」

「・・・なあおい、やっぱりポンタの上と代わらね? めっちゃ冷たいんだが」

「嫌よ、溶けちゃうじゃない」


僕の上に乗ったユウさんの指揮のもと移動フォーメーションに移行する。ユウさんがいつもの所に乗るのは戦闘時と変わらない。違うのは、氷体でソリを形成したココア。そのソリの一部が僕の尻尾に繋がっている。そしてソリの上にはなまけものが乗っていた。


これは僕一人だとユウさんとなまけものの両方を乗せられない。なので1人は乗り物と化したココアの氷体に乗るようにしたのだ。僕が引くのなら2人とも乗せるのと大して変わらないかと思うだろうが、ココアは浮けるので、ココアに乗っている人の重量は僕には掛からない。

なので引っ張っても、風船を引いているような感覚で全然きつくない。尻尾一本が感覚マヒになる程度だ。


そんな僕らの態勢に周囲が奇異の目を向ける。まぁ目立つわな。

早く始まらないかなと思っていると、傍に居たプレイヤーが恐る恐る聞いてきた。


「あの? 何ですかそれ?」

「これ? 早く移動するためですよ」

「チームでしょ? 移動が速い味方に乗る方が色々良いからね」


ユウさんが「当然でしょ」と言わんばかりのトーンで話す。すると何かを察したのか小さい声で僕に聞いてきた。


「嫌なら通報しますので言ってくださいね」


一瞬何のことかわからなかったが、通報から連想して気付く。どうやら無理強いをされていると思ったようだ。

まぁ傍から見れば、馬車の馬役なのでそう勘違いされても仕方ない。ユウさんたちに聞こえると気にしそうなので僕も小さい声で返す。


「大丈夫ですよ。無理やりではないです」

「あ、そうですか。失礼しました」

「いえいえ、こちらこそ。お気遣いありがとうございます」

「何してるの?」

「「あ、いえ、何でもないです」」


互いに頭をぺこぺこしていたので、怪しんだユウさんが顔を覗き込んでくる。おっと、これ以上は面倒になりそうなので彼には早々に退散して貰った。

しかし咄嗟だったせいか言葉がハモってしまったな。別れ際、そのことに気付いて互いにちょっとほっこりした。


そんな中、ようやくカウントダウンが残り10秒を切り、画面全体でカウントダウンが始まった。


「えっと、まずは山だっけ?」

「・・・お、おう。・・・出来るだけ速く頼むわ」

「・・・もう降りたら? 歩いてきても良いぞ?」

「袋叩きされて死ぬわ! ・・・ん? いや、死ぬまでにお前らが占拠してくれれば、占拠ポイントで復活出来るか・・・」

「ココア。なまけは置いてっていいって」

「冗談だろー!!」


なまけものの叫び声がスタートの合図と重なる。もうちょっとやる気が出るスタートをしたかったが仕方ない。僕はいつものように羽を羽ばたかせ一気に上昇した。目指すは遠くに見える山の頂上だ。


「わぷぅ!」

「ぬわぁ!」

「アイツ!!」


周囲で風圧により転けているプレイヤーが多数発生したり、攻撃が飛んでくるけど無視する。開始から5分は無敵モードだからな。当たったところで効かない。


「ココア大丈夫!?」

「大丈夫ー!」


どうやら後ろのココア達にも特に問題はないようだ。一つの首で後ろを確認してみたが、なまけものの震えが酷くなった以外問題ないし、他の飛べるプレイヤーが付いて来てることもない。


「しかしコレ・・・、ソリ引いてるからかトナカイ感半端ないな」


どうでもいいことを呟きながら最高速度で頂上を目指す。無駄にエリアが広いせいで着くまでに10分近くかかった。そして疲れた。

真っ先に向かったからか、当然誰にも奪われておらず、占拠ポイントへ着地と同時に占拠する。この占拠ポイント、頂上にあるせいかかなり狭いし登ってくるのも大変だ。こりゃ高得点な気がするぞ。


「ふぅ・・・」

「お疲れ」

「どうも。おーいなまけ、ポイントは?」

「ちょっと待てよ・・・、おお、3000点!」

「それは多いの?」

「MAXだ。やはり来にくいところはポイントたけーな」

「幸先いいね」

「ああ。よしっ、このまま山を下りつつ占拠ポイント奪ってくぞ。恐らくもう冒険者がうろついてるだろうし、奪われる前に取らないとな」

「じゃあポンタ!」

「またか・・・。了解」


ちょっとくらい休憩させてほしいが、時間ロスを考えると戦闘せず奪う方がいい。全員が乗ったのを確認し、僕は飛び立った。


「ん?」

「あ!」


そして出会った。

目の前に鳥系魔物が4匹。コース的にどうやら僕らと同じ考えで山頂の占拠ポイントを狙って来たようだ。

急いでいるし無視してもいいが、それであの場所が取られるのは困る。取り返せばいいだけだが、引き返すのは面倒だからな。


「おい、どうする?」

「できれば避けたいな。勝っても占拠ポイントでもう一戦だろ?」

「そもそも勝てる気しないんだが? 特に竜に乗ってるアレに」

「というかあれゆずポン酢じゃね?」


あちらさんは戦闘の意思は余り無さそうだ。近付かず、方向を変えようとしている。ならこちらも戦わなくてもいいかな。

というかゆずポン酢って何?


「ユウさん。どうする?」

「消すわよ」


聞く時には、ユウさんは既に剣を抜いていた。


「・・・即決だな」

「こわー」

「なまけとココアはここから援護して」

「分かったー。分離!」

「いいけど。魔力抑えてになるから期待するなよ」

「分かってるわ。さぁポンタ!」

「・・・へーい」


あちらさんには悪いが、先手必勝だ。氷体のソリが僕から分離したのと同時に一気に突進した。

次回更新は明後日の予定です

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