225・イベント前日に確認してみた②
「作戦か・・・、まぁまずこれを見てくれ」
なまけものがドカッとその場に座るとイベントエリアのマップを表示する。どうやらマップは事前に公開されていたようだ。それを大きく広げみんなに見えるようにした。マップは3Dで表示され、高低差も分かるようになっていて、所々に光の点が表示されていた。
今はどうでもいいがこのマップ既存エリアのも無いのだろうか? あれば欲しい。
「ん? この点々は何?」
「光ってるところが占拠ポイントだ。表示しておかないと、探してる間に時間切れになるからな。多分事前にこれで調べとけということだろう」
なまけものはそう言った後、マップの中心を指差した。
「まぁそれは後だ。まずここがスタート地点。で、このマップの上を北として説明するぞ。まずスタート地点周辺は草原エリアだ、で森エリアが北から東にかけて広がっている。北側の森エリアの先ーー」
「待って。今回のエリアって複数のエリアが混ざってるの?」
ユウさんがマップを見つつ質問する。確かにマップ上には場所によって別々エリア名が書かれていたが、僕はそんな気がしていた。魔物や戦法によって得意なエリアが違うのだから、全部同じだと一部の魔物が有利になるからな。
あと同じ理由で、天候もちょこちょこ変わるかもしれない。
「ああ、そうだ。で、続けるが森エリアの先は北から北東に山エリア、東に湖畔エリアとなってる。南側は荒野エリアがあって、その先に南東に沼地エリア、南から南西に海エリアだな。西は草原エリアから直接丘エリアになってて、北東が火山エリアな」
「そうなのね。それで、それがどうかしたの?」
「何処を攻めるかって話だと思うよ。僕の戦闘スタイルだと森などの障害物が多い所は無理だし、火山だとココアがきついから」
「ああそうだ。あと相性じゃなくても草原エリアなどの入口から近いエリアは、奪取してもすぐ取られるだろうから狙うだけ無駄だ。できれば他のプレイヤーが行きにくい場所から攻めるのが理想だな。で、俺らの相性的にも問題ない所だと・・・」
なまけものは少し考えた後、マップを順番に指差した。
「海、山、まぁ沼地ってところか」
「丘とかも相性的には良くないか?」
「丘と荒れ地は平坦を移動するだけだから他のプレイヤーが来そうなんだよな」
「そういう意味では沼地も来そうじゃない?」
「ああ。でも足取られるだろ? そういう意味では嫌う奴いるだろ。俺もやだし」
「確かに。でもそれ私たちもでしょう?」
「沼地やだー」
「俺らには便利な足があるだろ?」
「「あ~・・・」」
なまけものが親指で僕を差す。そして納得する2人。完全に便利な乗り物という認識か僕は・・・。
まぁいいけど。
「でもまぁ沼地は保険だな。もう取るところ無かったら行くぐらいか」
「そんなところね」
「じゃあ具体的にどうするかだが・・・」
イベント開始からの各自の行動を決め、どのルートで占拠ポイントを回るか決める。とりあえず他のプレイヤーが行きにくく僕らが行きやすい場所を重点的に選んでおく。
「バラバラに占拠した方が良くない?」
「やってもいいが最初だけだな。1人の所で襲われたら逆に時間ロスになるしさ。だが占拠時に作られる分身は占拠した時の人数になるから、あまりお勧めはしない」
「そうなの? 分身一人じゃすぐ取られるしあまり意味ないかぁ・・・」
占拠して分身が弱体化する上、1人だけだと相手からしたらカモでしかない。やはりまとまって動くべきだろうな。
この後もそれぞれの気になるところを話し合い、それぞれの意見が出なくなったところで、なまけものが立ち上がる。
「まぁこんなところか。あとは明日次第だな」
「この後はレベル上げ?」
「そのつもり。今みんなどれくらいだっけ?」
「今? 48」
「私も48」
「48になったよ-!」
「俺も48だな。じゃあ全員1上げりゃあいいのか」
「それがどうかしたの?」
「バランス調整の為にレベル範囲が決まってるからな。レベル50になると50~上限なし帯に入っちまう。そうすると分が悪い。49で止めときゃ40~49帯で行けるからな」
「それで・・・。分かったわ。まぁ今からレベル2も上げる気力ないけど」
「フォーメーションはどうする? 進化して4人戦闘まだだろ?」
「それもレベル上げと同時にやるしかないな」
「んじゃ移動しますか・・・」
そして海エリアへと移動。
そこで冒険者を相手に各自の立ち位置などの確認を行う。近くのプライベートビーチを奪い取ったのでレベル上げも捗る。
この調子ならもうちょっとでレベルがーー
『首っ! 首が三つもある!!』
「あっ!!」
しかしその日レベルが上がることは無かった。
次回更新は明後日の予定です