210・社へと向かってみた
「あっぶな!」
どういう原理か分からないが、タイタンが消えたと同時に地面を埋め尽くしていたマグマが消えた。そのおかげで落ちたが死にはしなかった。落下ダメージはきっちりくらったのでほんと危なかった。
「回復するよー!」
「魔力無いんでしょ?」
「あ! そうだった!」
その上ココアの回復も出来ない。少しの間はこのミリ単位のHPで過ごすしかないようだ。何とか生きてたなまけものと合流し、タイタンを倒したことで出現した穴へと移動する。
そこでココアの魔力が回復するのを待ち、HPを半分程回復させた後、先へと進むことにした。
「『神波動』くらって吹っ飛んだ時は死んだと思ったぜ!」
「よく生きてたな。2度目は吹っ飛んでなかったようだけど、偶然?」
「いや・・・あれってタイタンの腰あたりが中心だからさ、衝撃が上からくるんだよ。だから飛ばされるというか潰される感じで何とか耐えれた」
「へー」
「まぁ運が良かったわ。あれで吹っ飛んでたら間違いなく死んでた」
運が良かったのは僕もだ。
最後一度でも狙われてたら僕も死んでた。それに狙われてなくても『神波動』や『火舞台』を使われるだけでアウトだったし、正直やり直したら勝てないだろう。
「しかしあれだけ苦労したんなら報酬も期待できそうだな。あいつスキルも良いの持ってたし」
「あれ? 適正(適性)値取るんじゃないの?」
「まぁそうだけど、すげー良いのあれば取っちまいそう」
それは分からなくもないけど、その場合また違う隠しエリアに行かなければいけなくなる。正直もう隠しエリアは当分行きたくないな。今日だけで結構回ったのでお腹いっぱいだ。
「よっしゃ、行くか!」
ココアによる回復も終わり、先へと進む。いつも通りならあと社ががあるだけの筈なので、皆警戒せずに先へと進む。
「「「「・・・・・」」」」
しかしトラップこそ無かったが運営の嫌がらせは続いた。
社は見つけたしトラップも無かったのだが、社をマグマ溜まりの真ん中に設置しやがった。火山エリアなので普通なのだろうが、小さな飛び石を渡っていかないといけないようになっている。
それを見た僕らはすぐさま全回復することにした。
そして・・・
「はぁはぁ、何とか行けたぜ・・・」
「なまけ落ちすぎでしょ」
「うっせぇ、飛び石のサイズが小さすぎるんだよ! あれにこの骨の足でどうやって乗れっていうんだよ!?」
「踵で乗ればいいんじゃない」
まぁ死ななかったんだしいいんじゃないかな。なまけものだけ瀕死だが全員社にたどり着けたんだし。貰えるものを見てみると、ちゃんと適正(適性)値もあるし、突然変異云々の件も記載されていた。
「じゃあ選ぶのは適正(適性)値でいいのよね?」
「だな。まぁ一応スキルは見るけどな」
僕もとりあえず貰えるスキルを確認。使ってきた『神波動』、『アースブレイク』、『火舞台』の他に『ガードブレイク』、『岩起』 などがあった。『ガードブレイク』は相手の防御系バフ解除付き攻撃で『岩起』はそのまんま自身の目の前に岩の槍を地面から発生させるスキルのようだ。
ちなみに『アースブレイク』は僕らが使っても今回のようにマグマが発生することはない。ただ自分を中心に衝撃波が起こるだけらしいのでやめた。
ここは予定通り適正値にしておこう。
「適正(適性)値取った」
「私も」
「あたしもー!」
「・・・・・」
1人だけ何やら悩んでいるなまけもの。おいお前まさか・・・
「ちゃんと適正(適性)値取ったよ!!」
どうやら他のスキルをただ見てただけだったらしい。びっくりさせるなよな、てっきりスキル取ったのかと思ったよ。
「で? 何か進化先出たのか?」
「・・・出た。そっちは?」
なまけものに言われて調べると新しい進化先が出ていた。
「俺も出た。まだどんなのか見てないけど」
「あたしも出てきたー!」
「私も出たけど・・・」
どうやら皆何かしらの進化先が出たようだ。しかしユウさんが困った・・・というかやらかしたかのような顔になっているがどうしたんだろう。
「今1時なんだけど・・・」
「・・・・・!?」
慌てて僕らは時計をみる。既に午前1時を回っていた。というかもう少しで2時になるじゃん!
これはまずい。明日、いや今日の仕事には無事行けるのか?
遅刻するのをまだいいが先輩がネチネチ言ってきそうで嫌だ。
「すぐ止めよう」
進化先も確認せず僕らは急いでオアシスに戻り、ログアウトした。
そして僕はその日の仕事に遅刻した。何故か柳先輩も遅刻してた。
次回更新は明後日の予定です。