206・タイタンと戦ってみた③
なまけもの :競争しようぜ。敗者はジュースおごりな
ばらけて穴へと移動している最中、なまけものがチャットでそんなことを言ってきた。
前回決闘しあったときは、似たようなことを言って速攻で負けてたくせに・・・、また同じことを繰り返すのか?
ポンタ :鈍足のなまけじゃ、前の二の舞になるけどいいのか?
ユウ :いいんじゃない? 私たちは得しかないから
なまけもの :俺が負ける前提でいうんじゃねぇよ! だがまぁいい、今回は俺が一番近い所を選んでるからな、最下位になることは無いだろう。ちなみに一番遠いのはポンタな
ポンタ :知ってる
なまけものが指した場所は居た場所から右側、左側、正面の3方向。このフィールドは円形になっているため、普通に考えて正面が一番遠い。
出遅れた僕は他の2人が左右に散ったので、そこに行くしかなくなった。恐らくなまけものは僕が一番遠いところに移動すると知って、自分は負けないと考えたのだろう。
「まぁいいや。負けなきゃいいんだから」
僕はタイタンを迂回するように移動していたが勝負が勝手に始まったことによりやめる。
前を移動していたなまけものが、一瞬こっちを見てニヤリと笑ったが気にしない。どうせ負けるのはなまけものかユウさんなんだからな。
「あれか・・・。で、たぶん入口があそこか。ここからなら行けそうだ」
僕はなまけものが指さした方向に小さなバリスタの発射穴を確認。そして近くにある入れる穴を見つけ『縮地』を使って跳んだ。正面から見たことにより、穴が偽物でないことも確認できた。
「あいつマジか!?」
跳んだ僕に対し、なまけものが驚愕してる。確かに傍から見たら明らかな自殺行為だが、穴は今いる位置より下方にあるし途中にタイタンという足場もある。落ちることはまずない。
ただ予想外だったのは・・・
「熱っつ!!」
着地したタイタンの肩でダメージを受ける。どうやら触れたらダメージが入る設定になっているようだ。ダメージ自体はそれほどないが、またトラップのある穴を通ることを考えると地味にきつい。
『縮地』はクールタイムが必要なので、慌てて『蜃気楼』で狙っていた足場へと移動する。周囲を確認すると、なまけものもユウさんも穴へと到着して・・・あ、なまけものの穴はハズレの窪みだったか。
こりゃなまけものの負けかな。
そう思いながら穴の中を走る。噴射トラップがあるのは分かっているのでチャットにて2人にも連絡しておく。
勝負中なので言わずに相手が慌てているところでリードする手もあったが、死なれる方が困るのでここは素直に連絡しておいた。一度通った道と同じ構造のようで亀裂が見えたら『縮地』で移動を繰り返すだけで簡単に梯子まで移動。そのまま同じように上へと昇りバリスタを発見した。
ポンタ :ポンタ行きまーす
ユウ :えー!? 私まだ梯子なのに!
なまけもの :今穴入ったところなんだが!?
じゃあ予想通りなまけものの負けか。
バリスタを発射し、攻撃相手が居なくなって静かなタイタンへと矢を突き刺す。
『がぁあああああ!!』
少ししてユウさんが、遅れてなまけものも無事起動できたようで、タイタンの悲鳴が2度3度と響いた。
「おっと、早く離れないと」
慌てて下がると先ほどのようにバリスタが引っこ抜かれる。同時にできた壁の穴からタイタンの攻撃が来る前に脱出。遠くでなまけもの達も脱出しているのを確認。
さて勝負の順位は・・・聞くまでもないな。
ポンタ :なまけ、明日の昼にジュース頼むな
ユウ :私は紅茶で
ココア :タピオカミルクティー!
なまけもの :会社内にねーよ! というかココア参加してないだろ! ずっと乗ってただろぉ!!
ココア :発射はあたしがしたもん。だからあたしの勝ちー
なまけもの :いやおかしーだろ!!
直ぐ側に居るんだからチャット使って喧嘩すんな。まぁいいや2人は放っておこう。
まだボス戦は終わっていない。一気にバリスタで攻撃したことにより目下でタイタンが痛みを忘れるかのように暴れまわっている。さすがに今いる位置も崩れそうなので、合流のついでに上へと逃げる。
さてここからどうなーー
『がぁあああああああ!!』
「のわっ!?」
タイタンが大きく壁に拳を叩きつけた。その瞬間、すべての足場が粉々になり僕らは否応なく落とされた。下はマグマだ、慌てて回避を行うように体勢を変えるがそもそも回避先がない。結局何もできず突き落とされた。
「あれ? 痛くない?」
そしてダメージも無い。
そもそも下はマグマだと思っていたが、タイタンが壊した壁やら足場やらが積み重なってマグマ部分の大半が埋め立てられていた。さすがに全部ではないので、マグマが見えている場所は今まで通りダメだろう。
「どうやらイベント的な落下のようだな。焦った焦った」
「ほんとよね。どこかの穴に入ろうかと思ったのにいつの間にか全部埋まってるし」
そこへみんながやってきた。
「あ、お疲れ」
「まだ終わってないけどな。どうやらここからが本番らしい」
「もう終わりでいいんじゃない? 流石に疲れてきたんだけど」
「俺もそうしたいが、あっちはそうじゃない様だ」
なまけものがやれやれと言った直後、僕らのいる場所にタイタンの拳が突き刺さった。
申し訳ありません。
次回更新は少し先の5月8日の予定です。