202・火山エリアの隠しエリアを進んでみた③
噴き出すマグマを躱しつつよちよち歩きで先へと進む。目の前をなまけものが巨体に似合わずスイスイ進んでいくのに対し、うまく歩けないこともあってこっちは噴き出す所を通るたびにダメージを受けている。
このダメージペースでは最後まで行けない気がするが・・・、ユウさんとココアはまだ後方だ。
待って回復したいところだが、この場所にずっと居るのはちと厳しい。
気が抜いたら落ちそうになるからだ。
「ポンタ大丈夫か?」
「ヤバい。HP半分切った。そっちは?」
「今の所は行けそうだが・・・こっから先は無理だな。この体だとアレは抜けれないわ」
「アレ?」
どうやらなまけものの前にヤバい何かがあるようだ。しかしなまけものの体のせいで良く見えない。骨の隙間から少し見える程度なのでヤバさも良く分からない。
「良く見えないけど、そんなにヤバい?」
「ヤバい。噴き出したマグマが道を挟んでる。あの狭さだとどう進んでも当たる。普通に歩いて行ったら通り抜けるまでにダメージで死ねるわ」
「はぁ・・・」
どうやら工夫しないと行けないらしい。なまけもので駄目ならユウさんも危ないな。
「『縮地』で移動したら?」
「着地失敗したら死ぬんだが?」
「普通に歩いても死ぬんだろ?」
「・・・まぁそうだな」
とはいえなまけものは『縮地』を使うことに躊躇っている。
まぁ平均台の上で全力疾走以上の速さで移動しろと言っているようなものだ。移動中は地面に足を付けることは無いので大丈夫だが、着地時にミスるとそのまま落ちて終わりだろう。
急ブレーキによる慣性も働くからバランスをとるのも難しいし、なまけものが躊躇うのも分かる。
しかしこのまま考えられるのも困るんだよな。こっちが先へ進めん。
「他に道ないかな?」
下を覗いて安全に着地できそうな場所を探す。しかし残念なことに下はマグマ溜りなどしかなく、安全に下りれそうなところは皆無だった。違う方向から飛び降り、2段抜かしして下りればゴールの目の前まで行けるが、流石にリスキーすぎる。
ユウ :ポンタ今どの辺り? なまけも一緒?
ポンタ :あと3段ほど下りればゴールかな。今なまけが目の前でガクブルしてる。
なまけもの :してねぇ! 思案してるだけだ
ユウ :分かった。こっちはまだ少しかかりそうなの。ゴールしたら無視して先行ってくれていいから
ポンタ :了解
上を見上げると、まだ最初の方をユウさんが歩いている。ココアも居るので慎重なのだろう、一歩がかなり遅い。
確かに時間が掛りそうだ、というかあのペースで今日中にここクリアできるのか?
「で? 思案終わった?」
「まだだ。あとちょっと」
どうやらまだ掛かりそうだ。
「じゃあ行けたら先に行くわ」
「はぁ? どうやって? まさか俺を落としていくんじゃないだろうな?」
「それは最終手段。『蜃気楼』っと」
『蜃気楼』が使えるかどうかの確認も込みで使用。使った直後、近くに噴き出したマグマに尻尾で触れて転移。転移先は既に決めておいたので慌てる必要もない。
「お、うまくいった。ああ、これで楽にいけそう」
「ちょぉ、おまっ! ずるくね!?」
「ふふふ、取らなかったなまけが悪いのだよ。ではお先」
その後も厄介そうなところは『蜃気楼』を使用して移動する。最初は落ちないと使えないと思ってたが、噴き出してくれるのでかなり楽に移動できた。ゴール前のマグマの壁すらも触れるだけで通れる。
安全地帯に入り一息つく。
ポンタ :ゴールしました。いやぁ『蜃気楼』のおかげで楽でしたわ
なまけもの :今だけでいいから俺にも貸して
ユウ :『蜃気楼』? あ、このマグマに触れて移動するのね
ポンタ :うん。先に転移先で安全そうな場所を決めておいたら楽
なまけもの :俺にも貸して!
ユウ :あ、ホントに楽。これだけで簡単にゴールできそう。ごめん、あと数分で行けそうだからちょっと待ってて
ポンタ :了解
なまけもの :貸して・・・。マジで通れないんだよ
ポンタ :『晶壁』で噴き出してるマグマ防いだら?
なまけもの :数秒しか持たないけど行けそう!
どうやら大丈夫なようだ。
その後少しして連絡通りユウさんがココアを連れて到着。
『蜃気楼』で転移移動していたユウさんが来れるのは分かるが、ココアはどうやってついて来たのだろうか。聞いてみると、どうやら『蜃気楼』は触れたものも同時に転移が出来るようだ。
想像以上に壊れ性能だった。今は使っているプレイヤーが少ない為それほど目立ってないが、そのうちバレてナーフされるだろう。
「なまけものは?」
「途中で追い抜いて来たわ。もう少しで来ると思うけど・・・」
「一緒に転移してあげたらよかったのに」
「あ」
ユウさんが「しまった」という顔をすると同時になまけものからヘルプチャットが飛んできた。
次回更新は明後日の予定です。