200・火山エリアの隠しエリアを進んでみた①
「しかしまた隠しエリアか・・・。思ったんだが行きすぎな気が・・・」
「今更!」
なまけものも無事合流できたので全員で先に進んでいると、なまけものが飽きたと言わんばかりのトーンでぼやく。
言いたいのは分かるが、このゲームフィールド無駄に広いのにこういう隠し要素がこれしかないんだよな。
フィールドのオブジェクトも思ったよりも少ないし。最初は気にならなかったが、いろいろなフィールドに行くにつれそう思うようになっていた。
まぁ・・・「ちゃんと隅々まで探索したのか?」と聞かれるとNOなんだけど・・・
「今度ハイキング的に何処かぶらつくか・・・。まぁイベント終わってからになるが」
「だな。因みに聞くけどどこがいい? 僕は全然歩いていない荒野がいいけど」
「やだよあそこ。やっぱり景色のいい所がいいよな」
「・・・一気にエリアが限定されたな」
「しょうがねーだろ。その手に煩い奴が居るんだから」
ココアを横目になまけものはため息をつく。
「まぁそれ言うとは思うが、それだと毎回同じところになるぞ? もしかしたら荒野エリアにもいい景色のある場所があるかもしれないじゃんか」
「名前からして荒れてるんだが? 例えば?」
「例えば・・・」
何かあるだろと考え沈黙が続く。全く例えが浮かばなかった。その様子を見てなまけものが「ほらみろ」と呆れる。
「いいよもう。1人で行くから!」
「まぁ俺はついてってやるから、な?」
「いやなまけ遅いし一人でいいや」
「そんなこと言うなよ!」
勿論冗談だ。
なまけものも分かっているのでそれ以上は言わなかった。というか言えなかった。地面の裂け目から噴き出した蒸気に飲まれその姿が見えなくなる。
「うわっ!? あっちぃ!! なんだこれ!?」
幸い僕は既にその裂け目を通り過ぎていたのでセーフだった。なまけものは両手で蒸気をかき分けるように振りつつ何とか抜ける。やはりあの蒸気にもダメージはあるようで、なまけもののHPが少し減っていた。
「トラップか? くそっ、さっきまで何ともなかったから大丈夫だと思ってたのに」
「こういうのって、気が緩んだタイミングで来るよな」
この裂け目は入り口付近からある。何らかのトラップだと思って最初は注視していたのだが、特に何もなかったので途中から気にせず通ってたのが仇となったか。
噴出のスイッチ類は無いので、恐らく近付いたら噴き出るタイプのものだろう。ただ僕が通るときは発動しなかったので、スイッチがある可能性もあるけどね。
「あはは、なまけ引っかかってるー」
「うっせぇ、笑ってないで早く回復してくれ」
「はいはい」
なまけものが回復中に周囲を確認する。この先も地面や壁は相変わらず裂け目があり何処から噴出するかは分からない。慎重に行けばいいだけの話だが、面倒なのでこの先ずっと確認しながら行ける自信は無い。
考えているとユウさんから提案があった。
「走ればいいんじゃない?」
リスキーすぎる提案だった。要は「トラップが発動する前に抜ければ問題ない」理論だ。
だが、
「他のトラップあった時ヤバくない?」
「そうだけど、ここから見える範囲は無さそうでしょ? そこまでなら走れそうだし」
「ふむ・・・」
確かに裂け目しか見えないので、他のトラップがありそうには見えないが・・・。沼地エリアの酷さを考えると、そう思わせて何かありそうで怖い。
「じゃあ『縮地』で移動して試してみない? あれで引っかかったら慎重に行きましょ」
「いい案だけど、誰がその人柱やるのさ・・・」
「え? そりゃあ」
こっち見ないで。
まぁ『縮地』持ちは僕となまけものだけだが・・・。何故なまけものもこっちを見てるんだ? お前は見られる側だろう?
・・・・・仕方ない。死んだとき一番入口に入りやすいのは僕だし、ここは僕が生贄になるしかないか。
「分かった。じゃああの辺まで『縮地』で移動してみる。死んだら放っといて先進んでおいて」
「いや待ってるぞ。だってその場合俺が『縮地』使わないといけなくなるからな」
「いややれよ!」
そもそも死ぬ気無いけどね。そう思いながら僕は『縮地』を使った。途中数か所から蒸気が噴出したが、『縮地』のスピードでは全く当たらない。
何事もなく着地し、問題ない旨をみんなに伝え僕は再度『縮地』で先へと進んだ。
次回更新は明後日の予定です。