表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日も締めはゲームで  作者: 朝昼 夕夜
第4章 占拠戦
191/612

189・カイザーさんと天照戦をしてみた③

「大丈夫か?」

「多分。ミスって死んだら一からやり直すだけですし大丈夫ですよ」

「まぁそうだが・・・」

「では、合図をしたら正面の水晶を破壊して下さい」


そういって僕は天照へと突っ込む。いい作戦を考える頭脳なんて無いので、こういう時は正面突破だ。


方法はいたってシンプルで、

まず天照の攻撃を回避する→カイザーさんに天照の正面にある水晶を破壊してもらう→『縮地』で至近距離まで接近する→殴る

以上!


正面攻撃なので天照は十中八九『蜃気楼』を使うだろう。『縮地』ですぐさま近付けば水晶のリロードや防御する時間は無いし、攻撃直後だと次の攻撃に移ることも無いだろう。


まずは天照の攻撃を誘発する為に適当な距離まで近付いて様子を伺う。しかしさっきまでバカスカ撃ってきた癖にこういう時に限って相手も様子見を行う。にらめっこしてても終わらないので、『火球』を放って威嚇した。


『『アクアウォール』』

「あ、魔法も使えるのね。おっと」


天照は『アクアウォール』で『火球』を防ぎ、そのまま僕を押しつぶそうとしてくる。あの中に取り込まれると、溺死で100%死ぬので、大きく回避する。そして大きな水飛沫を上げて『アクアウォール』が地面に叩きつけられた後、水飛沫に雑じって天照へと突っ込んだ。

とはいえ水飛沫が目隠しになるとは思っていない、なってくれるとラッキー程度の認識だ。近付いて相手が『蜃気楼』を使ってくれるならそれでよし。駄目でも、攻撃をしてくれればそれでいい。

攻撃後の隙がデカい『晶撃波』や『晶撃』辺りが楽なんだけどな・・・


『はっ!』

「おわぁ!!」


が、水飛沫を抜けた僕の目に映ったのは長杖の柄の先端だった。天照は長杖を槍に見立て突き刺して来た。スキルを使ってくるだろうの前提で行動していた為、スキルを聞いてから回避すればいいと考えていた僕は、それを回避しきれず右前足に杖が刺さる。


痛いし、予想外の行動だが、これは好都合だ。わざわざ向こうから距離を詰めてくれたんだからラッキーとみるべきだろう。


「『毒双斬』」

『!? 『蜃気楼』』


攻撃直後、刺さった長杖ごと天照が消える。少し作戦が狂ったが、結果天照は『蜃気楼』を使った。後はカイザーさんの攻撃を決めればいい。

天照は『蜃気楼』で、僕とカイザーさん両方から一番距離が取れる位置に移動している。だがそこはカイザーさんの射程圏内だ。


「カイザーさん!」

「任せろ。『ツイン・サイクロン』」


ゴォッ!

『ウィンディ』とカイザーさんが『ツイン・サイクロン』を発動。計4つの竜巻が天照を四方から包む。

天照は『蜃気楼』が使えないので通常移動で逃げようとするが、すでに退路は断たれており、数秒後に呑み込まれた。


『あああぁ・・・』


直後、小さな悲鳴のようなものが聞こえ、かろうじて見える天照のHPが勢いよく減っていく。あのペースだとこのまま終わりそうだ。カイザーさんもそう思ったようで、にやりと笑いながら「勝ったな・・・」と呟いている。


・・・・すぐ止めさせるように移動しようかな。

しかし天照が『ツイン・サイクロン』から出てくることはなかった。HPを全損しそのまま竜巻の中で消えてしまう。

経験値が入ったのを確認し、僕はその場に転がった。


「疲れた」

「そうか? それほどでもないだろ」


・・・そりゃあなたは上から攻撃するだけですからね。走り回っているこっちは結構しんどいのですよ!

そんなこと言わないけどさ。


「さて、行くか。前と一緒ならどっかに先へ行ける道が出来てるだろ」

「とは思いますけどね・・・」


夜叉を倒したときは仕掛けが動いてすぐ出てきたけど・・・今回はそのようなことがない。目立つところに無いのかなと考え、静かになった戦闘エリアを2人で探す。


そして数分。


「お、見つけたぞ」

「ありました?」


カイザーさんに呼ばれて、傍による。そこは天照が登場した割れた水晶の側だった。「何処です?」と聞く僕に、カイザーさんは黙って割れた水晶を見る。その視線を追って見ると、割れた水晶の底に穴が開いていた。

あれ? もしかしてこれって・・・


「もしかして最初から行けた?」

「かもしれんな。もしかしたら戦う必要は無かったかもしれん」

「あ、やっぱりそう思います?」


仕掛けが動かなかったということは天照が出現した最初から開いていたということだ。このゲームは一部を除いてボス戦とはいえ逃げようと思えば逃げられる。

今回がどっちか分からないけど、森エリアではおかしい天照のレベルと、『晶弾』しかしてこない最初の戦法・・・、その二つから考えると無理に戦わなくてもいいパターンだろう。

新規プレイヤーがここに来ても一部のプレイヤースキルがものすごい高い人を除いて倒せる人なんていないだろうし。気付いた人だけ先へと進めるようになっていたんだと思う。


「まぁ倒せるしいいだろ」

「そうですけど、骨折り損じゃないですか?」

「そうか? 経験値結構もらえるじゃん」

「そうですけど・・・」


みんなと差が広がるから今そんなに経験値いらないのだけどね・・・。

そう思いながら僕らは開いていた穴へと進んだ。

次回更新は明後日の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ