187・カイザーさんと天照戦をしてみた①
「上手にやけましたー」
「いや焦げてるし!」
それは音楽が無いからです。まぁ生焼けよりはマシなので良しとしましょう。それよりも、まず死激茸の激痛がどれくらい減ったかを確認する必要がある。
天照への道があるひと際大きい巨木の前で死激茸を焼いて数分。いい感じに焼けたと思ったのにカイザーさん的には焦げてるらしい。このちょっと焦げがいいのに。
そんなこと言うカイザーさんにはキノコやらん。
「要らん」
というわけで1人BBQ (キノコのみ) と洒落込む。まずは弱めの毒キノコから実食。食感が出ていい感じに歯応えがある。味は・・・弱目の毒だから焼いたことで毒キノコ特有の刺激が無くなった。何が言いたいかというと無味になって美味しくない。
それから次々に取ってきたキノコを焼いては食べ焼いては食べを繰り返す。
「・・・なぁ、そろそろ行かないか?」
「メインまだなのでもうちょっと。食べます?」
いい加減待つのに飽きたカイザーさんに死激茸を差し出す。しかしはたき落とされた。仕方ないので自分で食べる。
「お前よくそう軽々と食えるな」
「慣れてますので」
実のところ、前回の例があるので若干びくついていたのは秘密だ。しかし焼いたおかげか前回のような痛みはなく、辛い程度で済んでいる。まぁ徐々に辛さで痛くなってきたが我慢できないほどでは・・・いや辛い、急いで口直しに回復用のキノコを口に含んでHPも回復。
辛さで少し咽せる僕の様子を見てカイザーさんが恐る恐る聞いてくる。
「だ。大丈夫なのか?」
「ゲホゲホ・・・大丈夫ですよ。・・・あ、新しい進化先出ましたね」
「ほぅ? どんなの?」
「・・・ヴェノム・ドラゴンですね。あんまり要らないっす」
もう毒属性はいい。毒キノコ食ってる奴が言うなって話だが。カイザーもどうでもいいらしく、「あ、そう」とだけ言ってすぐ興味を無くした。
腹ごしらえも済んだので、木の根元の幹を2人でガリガリ削って穴を開け、中に入って先へと進む。この中は罠も何も無かったので、『火球』を定期的に撃ちながらさっきよりも早いペースで進むことが出来た。
そして例の穴までたどり着く。
「ここか?」
「はい。降りたら戦闘ですね」
「謎解きとかは?」
「無いです」
「何だ、隠しエリアの癖にショボいな」
恐らく最初のエリアだからそのようなものはないのかもしれない。まぁそもそも隠しエリアかどうかまだ決まってないんだけど。
「よし、じゃあ行くか」
カイザーさんと一緒に飛び降りる。落下ダメージは回復キノコ(生)で直ぐに回復。
「おお、スゲェなここ」
「景色楽しむのは倒してからにして下さい」
「はいはい。分かってるよ」
地震のような振動とともに水晶が割れて天照が出てくる。先ずは分身を作るまでサクッとHPを削りますか。
『『晶弾』』
「これが『晶弾』ね。思ったよりも遅いな」
天照のことや連携などについては事前にカイザーさんと打ち合わせ済なので、カイザーさんは驚くこともなく回避しつつ上空に移動。あそこからカイザーさんには攻撃に専念してもらう。僕はその間、天照の注意を惹きつけつつ回避に専念すれば良い。
なまけものがカイザーさんに変わっただけでいつもとやることは変わらないので簡単だ。
「ウィンドエッジ」
『!?』
「『スケイルショット』」
カイザーさんには速さのある攻撃をして欲しいと伝えてある。感づかれると『蜃気楼』で回避される恐れがあるからだ。
『ウィンドエッジ』は天照の頭に直撃し、天照が大きくバランスを崩す。その隙に僕も攻撃に加わって追撃。思ってた以上にダメージが入り、良い調子だ。
天照は『蜃気楼』で『スケイルショット』から逃れた後、また同じ行動に移る。こちらも同じ手でさっきの長期戦は何だったのかというスピードで半分までHPを削った。
『・・・水よ』
天照が水を使って分身を作り出す。
「よし来た」
「こっから本番か」
「じゃあカイザーさんは本体をお願いします」
「任せろ」
分身は接近戦をしてくるので僕が受け持つ。カイザーさんには牽制も兼ねてさっきよりも積極的に本体への攻撃をお願いした。
次回更新は明後日の予定です